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容疑

 ピンチです。

 良く分からないけど、拘束されております。


 ━━家の姉妹から!


 何故こんな状況になったのか、説明します。

 あの後、荒野の街道を砂漠に向けて進みました。いや~。蒼空がいると、分かれ道もすいすい面白いように進みます。

 敵も単体のが、2回くらいしか出て来なく、楽な道中でした。

 1時間半くらい経ったでしょうか? 蒼空がここら辺で休息を取ろうと提案しました。砂漠に入ってからじゃ、休むのに苦労するからと。

 なるほど。と、俺は頷き焚き火をしました。

 すると、蒼空が異邦人は落ちるように進めてくれました。私が見てるからと。

 話し合いの結果。蒼空に任せて全員落ちる事になりました。

 ログアウトし、自分の部屋で背筋を伸ばしてから、リビングに入ると━━確保されました。

 めでたし。めでたし。━━じゃッ! なああああああい! 何なのこの状況!? 俺何もしてないんですが!!


「さて被告人、お兄様。あなたは家族に隠し事をしてますね?」


 何? この急に始まった裁判!? ヤバい。有罪を受ける気しかしない!


「してません!」


 俺が真顔で答えると、


「もう! 翔ちゃんの嘘つきいいいいいいい!」

「おにぃの馬鹿ああああああああ!!」


 と、言う。涙を流してる風を装った、叫び声を頂きました。てか近所迷惑です。苦情が来たらどうするの?

 俺がそんな風に心配していると、呼鈴を鳴らす音がリビングに響き渡った。

 げ! 苦情来ちゃった! 急いで出ねば! って、星ねぇが、は~い。とか、軽い乗りで玄関に行ってしまった!

 リビングのドアを叩く音がし、ゆっくりと扉が開く。

 ご近所様ごめんなさい。家族全員で騒いでました━━って! お前らかい!!

 幼なじみーズが、星ねぇさんに促されて、リビングに入って来た。

 ほんと俺の謝罪を返して欲しい。いや、マジで! ほら妹達が俺の両手を持ったまま吹くのを堪えている。


「お邪魔します」

「おじゃましま~す」

「帰れ!」

「「ひど!」」


 くそ! 大袈裟に驚きやがって! そもそも何で来た? あ! 今気付いたけど、こいつら制服だし、ヘッドギア持って来てる! 泊まる気だ!


「では、証人はお好きな席に着いて下さい」


 逸夢と奈々夏は、家での定位置に腰を下ろした。因みに逸夢が一人掛け用のソファーで、奈々夏が星ねぇさんの隣だ。


「てか、証人ってなんだ?」

「お兄様が色々黙ってた事の証人です」

「ちゃんと話したろ?」

「いいえ。黙ってましたよ?」

「はっはっは~。まっさかぁあ~」

「いえいえいえ。まっさかぁあ~。です!」

「ちょっと二人で盛り上がらないでくれない? わりかし本気で」


 星ねぇが仲裁に入ったので、舞依と二人して黙る。今いる全員、星ねぇには弱いのです。


「さて、翔ちゃん? 可愛い狼さんと兎さんの話しからする? それとも、翔ちゃんが受けたイベントの話しにしようか? ねぇえ! どっちがいい?」


 ビックリするほど筒抜けですね! ま、良いけどね。


「何から聞きたい?」

「イベント!」

「話題の狼と兎がいい!」

「好きな人のタイプがいいわ!」

「スキルの覚え方でお願い!」

「理想の女性。で、お願いします」


 ちょっと待て! 全員一緒に言うな! あと2名! 関係の無い事ぶち込んで来るな!


「変なのもあったけど、まずはスキルな。これは多分知らないの奈々夏と逸夢だけだぞ?」

「げ! マジ!?」

「うん。美紀が走り回ってる間に発見してる筈だし、星ねぇは美紀からポロっと聞いてそう」

「あら、流石翔ちゃんね。よく分かっているわ。それにこれは、もう直掲示板にも載ると思うわよ?」


 そうなんだ! なら大分広まってるんですね。スキルの覚え方。


「一応、教えてくれる?」

「同じアクションを、繰り返して覚える。だな~」

「そうなの!?」

「ああ。5から始まって0に成ったら修得。なんだけど、多分他の人達は、1に成ったら、ポイントで取っちゃうんじゃないか?」

「そうよ。ゲームする人からしたら、0にまで落ちるとは思わないもの。だから、掲示板に載るのも遅れたんでしょうね」

「うん? そうなの? 俺は単純に、独占したいだけだと思ってた~」

「ま、まさか~」


 星ねぇが狼狽えています。図星見たいです。


「では、次の質問をどうぞ」

「はいはい! 狼さんと兎さんの話しが良い!」


 俺が尋ねると、美紀が隣で元気良く跳ねている。ちょっ! 美紀! 俺の手を持ったままはしゃがないで! 手が揺れてるから!


「えっと、狼はサラふわで、兎はもふもふです」

「うん? 他には?」

「他に?」

「そう! 他には無いの?」


 と、言われましても~。そうだ! あの事があった!


「狼は危険なので、近付かないでください。以上」

「もっとあるでしょ! どんな風に可愛いか! とか!」

「う~ん。いつも可愛いから、なんとも」

「うぅぅぅぅ。今度見せて貰うからね!」

「あ、うん。その内にね」


 何か美紀が唸り出したが、どうしたんだ? お兄ちゃん的には心配です。

 さて、残すはイベントの事だけか。


「イベントと言っても、買い物に行っただけだぞ?」

「買い物、ですか?」

「そう」

「因みに何を買ったの? 翔ちゃん」

「ツルハシやスコップ。あ、ポーションと新しい扇も買った!」

「そう? 楽しそうね。街を回ったりもしたんだ?」

「うん。したよ? 雑貨屋とか、武器屋とかね」

「そう。分かったわ。判決は有罪ね」


 うん? 判決? ああ。確か裁判って言ってましたね。今思い出しましたよ。って! ちょっと待て━━!


「有罪ってどういう事!?」

「隠し事してるでしょ?」

「何の話し!?」

「いつ?」

「?」

「翔ちゃん知ってる? 翔ちゃんって、意外に注目集めてるのよ? その翔ちゃんの目撃情報が、ある時期からパタンっと、無くなってるの? 分かるわね?」


 やっべぇぇぇ! 騎士団と、出掛けてた時期の事だ! バレてる!!


「それは鍛冶の為に籠っていたからです!」

「そう? ならなんで、アメジアに大量のアイテムを売ったり出来たのかな? しかもドロップ品」

「な、なんでそれを!」

「鎌かけた」

「げ!」

「その反応からしたら、図星見たいね」


 もう、しょうがない。端折って伝えるか。


「街の騎士団員達と、別の街に行きました。そして買い物をしました。以上です」


 えっ? 端折り過ぎだって? こんくらいで良いんです。


「嘘!?」

「お兄様! 次の街に行かれたんですか!?」

「うわっ!」

「本当!? 翔!!」


 あれ? もしかして、まだ次の街見つかってないの? やっちゃったパターン?


「叩けば何か出ると思っていたけど、恐ろしい物が出て来たわね」


 人を埃見たいに言ってくれるじゃないか! 我が姉は!

 それは置いといて、言わないと行けない事がある。


「そこの街、関所があったから、異邦人だけで入れないと思うよ?」

「でも、紹介があれば、行けるのよね?」

「多分ね。馬で飛ばして6時間掛かるけど」

「遠ッ!!」

「それに近道して行ったから、安全なルートだと何日掛かるか分からないよ?」


 ま、それでも行きたいなら、止めはしないさ。


「気になるけど保留にしましょう。場所だけ教えてくれる?」

「いいよ。確か、東の平原を越えて、渓谷が見えたら、渓谷にそって南下するの、そしたらゴツゴツとした岩肌だらけの要塞が見えて来るから、そこが目的地だよ」

「分かり難いわね」


 それは俺に言われても困ります。俺が決めた訳では無いので。


「ま、いいわ。ご飯食べましょう。約束の時間に間に合わなくなるわ」

『賛成!』


 星ねぇの提案に、満場一致で頷いた。皆この後、予定があるのです。

 因みに今晩の夕食は、舞依お手製のカルボナーラでした。半熟卵とソースの相性が堪りませんでした。




 ログインしました。

 寝る準備まで終えて、20時前にはこの世界に帰って来ました。


「ただいま。蒼空! 白夜! て、どうしたの?」


 戻って来て早々なんだが、女性が震えています。何かあったのでしょうか?


「何かありましたか?」

「お、狼さん怖いですね! で、出て来た敵を、容赦なく食べてました!」


 ああ。蒼空は倒しながら、食事をする見たいだからな~。何でも、効率が良いそうです。

 辺りはもう既に暮れていて、気温も夏なのに肌寒い。火に当たっていないと、凍えそうだ。


『『お帰りなさいです(わ)! マスター!』』


 蒼空と白夜が飛んで来たので、2匹共抱き締めてモフります。暖が取れて最高です。


「さむっ! 意外と寒いわね。砂漠だからかな?」

「本当だ! 我慢出来るけど、肌寒い!」

「うん。これはヤバい!」


 エレナ、シンバ、ルナが、ログインして来ました。この予想外な寒さに驚いている様です。


『で、どうしますか? マスター。私達は食事済みですが、マスター達はまだですわね?』


 う~ん。そうだな。どうしよっか?


「飯どうする?」

「食べてから行こうぜ。フルにした方が、安心出来る」


 エレナとルナが、同意をする様に頷いている。決定ですね。


「なら、食べてから移動しよう。お姉さん。ちょっと待てもらっても?」

「はい。大丈夫です」

「ありがとうございます」


 許可も出たし、早速落ちてる木を拾い、ウォーターを使い綺麗に洗います。周りが不思議そうに見ていますが、気にしません。

 次に、空間収納から適当に肉を取り出し、洗った木に刺し焚き火で焼きます。こんがり焼けたら完成です。


「豪快!」

「長年一緒にいるけどトータって、時々躊躇いも無く、ワイルドになるよな」

「うん。普通は落ちてる木に、直接肉を刺すなんてしない」


 うっさい。子供の頃からの育ちのせいじゃ! それに刺す前に洗ったろ? なので問題ない。

 焼けた肉を頬張る。うん。意外に上手く焼き上がった。噛めば噛むほど、肉汁が溢れて来て美味です。ご馳走様でした。


『蒼空。砂漠までどんな感じ?』

『ここから先は、街道を外れて進みますわ。なので、敵とのエンカウント率も上がると思いますので、注意が必要ですわ』

『分かった』

『あ! そうでした! ここから先、まだ冷えますので、覚悟していてくださいマスター』


 そんなに冷えるの? 昼間との気温差もあって、余計に寒く感じるよ。もう帰りたいです。━━いや、行きますよ?


「じゃあ、そろそろ行こうか?」


 ご飯を食べ終えたのを見計らって、声を掛けると、全員が一斉に頷いた。


「そうそう。皆、ここから先、街道外れるって。それにまだ寒くなるらしいから、覚悟しといてね~」

「げ! マジかよ!」

「これ以上寒くなるのは、辛いわね」

「うん。気を引き締める」

「うっ! 分かりましたぁ」


 各々から、嫌そうな返答が来た。気持ちは痛いほど分かります。俺も勘弁して欲しいもん。ま、そうも言って入られないので、これから砂漠に向かいます。


「では、行きますか?」

『了解!(です)』


 俺は仲間の返事を聞いて歩き始めた。

 あ~あ。行きたくないなぁ。

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