探し物
「こんにちは~。心配で戻って来ちゃいました~」
「え!? えっと?」
赤髪の女性に声を掛けたら、戸惑っています。うん。だよね~。警戒しない方が可笑しいよね。
「実はパーティーメンバーと来てたんですけど、3人教会に逝ってしまって、流れ的に解散になったので、手伝いに来ました」
「はぁ」
「何を探してるんですか?」
「あ、あの~」
「何してんのよ!? あんたは!」
痛い。頭を叩かれた。心なしか、ダメージを受けた気がします。と、それよりも━━。
「何で来たの?」
「トータがどこかに行っちゃうからでしょ!?」
「またな! っていたじゃん?」
「いや! 言ってたけどさ! 普通街で解散するじゃん!」
「知らん。パーティー組んだの3回目だしね。気にした事も無かった」
皆街まで戻る物なのかな? 良く分からないです。
「急いでた理由はルナから聞いた。で、この人?」
「そうだよ」
「何を探してるんですか?」
「あ、ペンダントです」
「どんなのですか?」
「翡翠が中心に付いたペンダントです」
おや? 警戒心が薄れましたな? これが同性同士の特権ってやつですか? もしかしたら諦めただけかも知れませんが。
「もしよろしければ、一緒に探して貰えませんか?」
イベント【想い出のペンダント】(難易度B)を受理しますか? ってインフォが来ました。ありがちなタイトルですね。
「いいよね?」
「うん」
「ああ!」
「受けるけどちょっと待って!」
イベント【想い出のペンダント】を受理しました。
げ! 今のが返答になっちゃった! 皆と話したかったのに!
「どうした?」
「ちょっとあっちで話そう」
俺が、言うと全員が不思議そうにしている。うん。だよね。急にこんな事言ったら戸惑うよね。でも、しょうがないんです。イベントになっちゃうんだもん。
「えっと? あの~、探してくれるんですよね?」
「はい。探します。その前に少しやる事があるので、少々お待ち下さい」
ペコッと女性に頭を下げて、他のメンバーに少し離れようと促す。
「で、どうしたのよ?」
「いや、どうしたのよ? じゃないよ、このイベントに付いてだよ。もう受理されたけど、どうする? 何日掛かるか分からないぞ?」
女性から数メートル離れた場所で、エレナが尋ねて来たので正直に話すと、
「ハッ?」
「えっ!」
「イベント?」
何言ってんのこいつ的な反応を受けた。いやいやいや! あなた達にも出たよね? インフォメーション!
「何言ってんの? トータ?」
「だからインフォ流れたでしょ? イベント、想い出のペンダント。って!」
「ハッ? 流れて無いけど? ね?」
エレナの言葉にシンバとルナが頷く。
どうなってるの? もしかしたら最初に声掛けたからかな? 良く分からないけど、取り敢えず━━。
「申請出すからパーティー解散してくれ」
「分かった」
「え! 逆の方が早いんじゃ?」
「多分何かあるんでしょうね。トータがイベントって言ってる何か? が━━」
いや、さっきからイベントだって言ってるじゃん!
「解散したぞ」
「分かった」
シンバの言葉を受けて、パーティー申請を送る。
「嘘!? なにこれ! イベントじゃん!!」
いや、言ってる。ずぅうううううううっと! 言ってる。
「本当にイベントだったの!? インフォでトータからパーティー申請が届いております。この人物は現在イベント、想い出のペンダント。を受理しています。本当に組ますか? って出てるんだけど!!」
「信じられない!! 初めて!!」
あれ? この反応もしかして━━。
「お前らイベント受けた事ないの?」
「ない」
「ねぇよ!」
「無いわよ! その反応、トータもしかしてあるの!?」
「あるよ」
「何で言わないのよ! そんな情報まだ上がってないわよ!?」
多分。上がって無いんじゃなくて、上げなかったんだろうな。きっと守れなくて死に別れして。
「凄い!」
「大発見だ!」
「終わったらアップしなきゃ!」
はしゃいでるところ悪いが、少し落ち付いて貰おう。
「なあ? このゲームの住人の扱いってどうなってるか知ってるよな? キャラデザの時に天のくそ声さんが言ってたやつ」
おっと行けない。当初の怨みが沸いて来ちゃって、暴言吐いちゃった。メンゴです。
「覚えてない」
「聞いて無かった」
「う~ん? なんだろう?」
こいつら本当に連れてって大丈夫か? 俺は住人を死なせるのヤダぞ?
「今から言うから覚えとけ。住人も死に戻るが、イベントでの死は復活出来ない。詰まりは本当の死だ」
「うん? それが?」
「どうしたんだ?」
「?」
ああ。うん。分かった。普通はこんな反応なんだね? もしかしたら掲示板にアップされない推測も、成功したけど、こんな反応をされると分かってたから、上げなかっただけかもな。それとも俺が考え過ぎてるだけなのかな? なんだか悲しいです。
「ま、いいや。死んだら終わり。って、覚えてれば。これ以上待たせちゃ悪いし行こう」
「あ、ああ」
「う、うん。戻りましょう?」
「分かった」
幼なじみーズの様子が変です。俺からアンニュイな雰囲気を感じて、躊躇ってるのかもな~。
さ、長時間話してる訳にも行かないので戻ります。
「ごめん。待たせた。探そう。どこら辺で無くしたか分かりますか?」
「この辺だと思います」
「理由とかはありますか?」
「えっと、その、夫がこの辺りで殺されたと聞いて、その時無くした物だと思います」
なるほど。それで想い出のペンダントか。
「それは、お気の毒でしたね。そのアイテムって、持ち運びに関する事はどうなってますか?」
「夫婦のみです」
へぇ~。夫婦のみとかもあるんだな~。もしかしたら恋人のみとかもあるかも知れないな~。
「持ち運びって?」
「所有者許可の話し」
「えっ! あるの!?」
「あるよ。てか黙ってくれ、話が進められない」
「分かったわよ」
これでやっと女性の話しに集中出来ます。
「御遺体は?」
「はい。騎士団の方の待機所に運び込まれて、そこから私に連絡が来ました」
「その時にはもう既に?」
「はい。無くなってました」
「道中は?」
「探しましたけど、ありませんでした」
「ですか。すみません。色々聞いてしまって」
「いえ」
「なら、可能性がありそうなのは、やはりここみたいですね。探しましょう」
時々襲ってくるモンスターを倒しながら、1時間くらい辺りを探すも見つからない。何か見落としてるんだろうか?
「見つかったか?」
「駄目だ!」
「無いわね」
「全然」
はてさて、どうしたものか? ヒントになりそうな物も無いんだよな~。
「こう言う時、テイマーが居てくれると助かるんだけどね~。ほら、臭いで探せるじゃん?」
「ああ。その手があるな。忘れてた~」
そうか蒼空に頼めばいいのか。完全に俺の中では最強の従魔ポジションでした。
「忘れてたって、テイマーの友達がいるの?」
「いないよ。今から呼ぶ?」
「うん? 呼ぶ?」
俺は念話を使い蒼空に話し掛ける。
『蒼空、今大丈夫?』
『大丈夫ですわよ?』
『なら、ちょっと探し物手伝ってくれない?』
『分かりましたわ。今から喚んで下さい。マスター』
『あ、威圧は解除してね~』
『理解ですわ』
クルルが怯む程の威圧だ。俺以外の人が耐えられるとは思えない。
「召喚。蒼空。白夜」
皆が好奇心旺盛な瞳で見詰める中、可愛い従魔の名前を呼ぶと、俺の正面が光り弾け、中から蒼色の狼と、真っ白な兎が現れた。
この説明そろそろ変えようかな? 蒼空と白夜でいい気がします。
「蒼空、白夜!」
『『マスター!』』
飛び込んで来る麗しの従魔を抱き締めて、心逝くまでもふる。もうこのまま眠りに付きたいくらいです。はい。
「青い狼と白い兎!!」
「掲示板に上がってた! 近付けないやつ!!」
「な?! 驚き!!」
なんか外野が五月蝿いですね。感動の再会に、水を差さないで頂きたい。17時間振り位に会ったのに! うん? 良く考えると、あまり経ってないか? 否! 心の問題だからいいのです!
「ちょっと、説明して!?」
「そうだ初耳だぞ!」
「いや、帰り道で今度紹介するって言ったから初めてではないよ? では紹介するね。蒼空と白夜。どこかで会ったらその時はよろしく。さ、ペンダント探しに戻りましょうか?」
「いやいやいや! 戻らないよ!?」
「そうよ! 触らして!」
「こくこく」
俺的には、いつまで掛かるか分からないから、早くペンダント探したいのに。
「蒼空ちゃん。白夜ちゃん。撫でさせて欲しいらしいけど━━」
『嫌! ですわ!』
『私もあの女性以外は嫌です!』
珍しい。蒼空が被せて言うほど嫌だなんて、それにいつも撫でられてる白夜も女性以外断るなんて、何かあるのかな?
「ごめん。嫌がってるから無理!」
「えええええ! どうしてもダメぇ?」
「上目遣いで可愛く言っても駄目!」
「か、可愛いだなんて!」
「な、どうしてもか?」
「うん」
「分かった。許可降りるまで待つわ」
「おう。そうしてくれ」
さて、何で駄目なのか聞いとくか、理由がありそうだから。
『なんかあるの?』
『私はマスターと、同じ従魔以外に、触らせる気は無いですわ。でも、もう一つ理由がありますわ。白夜と同じですわ。ね? 白夜?』
『はいです! マスター見たいにこの世界を生きてくれればいいんですけど、彼女達は違いますから、必死に生きてる私に触れて欲しく無いです!』
なるほど。必死に生きてる物達からしたら、嘲笑れてるいるように感じるのか。なら当分は無理そうだな。
さて、女性が、どうしたものか? と悩んでる。助けねば。
「では、蒼空の嗅覚を使って探しましょうか? 旦那さんの臭いがするものありますか? 他のアクセサリー的な物で」
チョイスが可笑しいって? だって衣類は嗅ぎませんわ! って蒼空に言われてしまったんです。もう武器かアクセサリーしか思い付きませんでした。
女性は指輪を取り出し蒼空に嗅がせる。
すると━━、蒼空の魔力が地面を円形に広がり、一方向で何かを捉えると、魔力が集中し伸びて行った。
『次の砂漠まで入ってますわね。マスター、急いだ方がいいですわ』
『分かった。ありがとう』
すると、蒼空は定位置の懐の中に入って来て、白夜は抱っこしてとねだるので抱える。ま、何時もの事です。
「砂漠まで続いてるって」
「砂漠、ですか? でもどうやって?」
確かに、持ち運べない物が移動するとか謎ですね。
『モンスターは運べますわ』
『えっ! そうなの!?』
『はい。刺さったままでも生活が送れるように、モンスターは持ち運び権限無効なんですわ』
『なるほど。そうなんだ~』
蒼空から聞いたことを、皆に伝えると、
「はぁ。そうなんですね。モンスターは運べるのですか。初め知りました」
「やばい気を付けよう。ロストするかも知れない」
「うん。無くしたら洒落にならない」
「気を付ける」
「多分自分のは解除すれば戻ると思うぞ?」
「「「あ!」」」
なんて、会話をしてるも、実は移動時間がどの位掛かるか分からないから切羽詰まってるんだよね。今日中に終わればいいが。
『砂漠までは、ここから2時間くらいで着きますわよ?』
『本当? なら行ってみるかな?』
大体19時位には着くか。急ごう!
「これから砂漠に向かうから、用事のある人は抜けていいよ?」
「「「大丈夫!」」」
「何時まで掛かるか分からないぞ?」
「「「問題なし!」」」
なら、他に心配な面は無いな。
「では、行こう。敵が出て来たら頼むわ! 援護はするから」
「分かった」
「任せて!」
「うん」
パーティーメンバーは大丈夫そうだな。後は女性か。
「では準備はよろしいですか?」
「はい。大丈夫です。いつでも行けます!」
女性は両手を握り締めて頷いた。
うん。こちらも大丈夫そうだ。
「分かりました。では行こう!」
「「「了解!」」」
「はい! 行きましょう!」
俺達は街道に戻り、まだ見ぬ砂漠へと歩き出した。




