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ホーリースターの現状

「で、どうだった? 俺達の戦闘は?」


 ボスを倒して早々に、シンバが駆け寄り尋ねた。


「あ、うん。そうだね。参考になったよ」

「ふん。そうだろ? 授業料を取りたいくらいだ」

「ダン! 俺が話すから向こうに行ってろ!」

「はいはい。リーダーが言うんなら向こう行ってますよ」


 そう言うとダンはカカオ達の方に移動した。


「なにあれ!? 感じ悪! 私抜けようかな~?」

「ま、待って! ほらあいつも理由があるんだよ!」

「ふ~ん。トータの初期装備とか最弱王ってアダ名も理由にありそうだけど、私でしょ? それ?」

「うっ! やっぱり分かるよな?」

「だって、私達の追っかけじゃない? 移動中とかも、無理に話してこようとしてさ」

「ま、そうなんだけど!」

「ストレスしか感じなくなってきたから、私抜けて他入ろっかな~?」

「気持ちは分かるけど、さ?」


 はぁ~。トップパーティーもやっぱり大変なんですね。でも、アカリねぇのパーティーはそんな事は無かったけどな?


「そうだ。新しく3人で組まない?」

「ヤだけど?」

「そっそれは~て、嫌なのかよ!? びっくりだよ!」

「なんでよ!?」


 いや、前にも言いましたよね? エレナさん? シンバはどうでもいいけど。


「説明はした」

「ああ~。聞いた!」

「俺は聞いてない!」

「確か住人と関わって行きたいんだよね?」

「そう」

「うん? 住人?」

「NPCの事よ?」

「なんで!?」


 シンバの顔が驚愕に染まる。


「なんで、て聞かれても、楽しいから。と、しか答えられない」


 ま、蒼空と白夜とも、もっといっぱい旅したいですけらね。


「私も、着いてこっかな~。今では不満だらけだし。ほら、今も向こうで、攻撃を受けたルナをイジッてるし」

「は~あ。俺からも何回も言ってるんだけどなぁ~」


 エレナとシンバが愚痴る。ふむ。シンバはこのパーティーをどうしたいんだろう? 気になります。


「シンバ? お前は自分のパーティーをどうしたいんだ? はっきり言って、お前に合わないぞ?」

「それは━━、そうなのかな?」

「そうね。私が抜けたとしたら、シンバは続けて行けるの? このパーティー?」

「無理だな。そうしたら何がしたかったのか、分からなくなる」

「それが答えだよ。エレナが抜けたら分から無くなるくらいなら、一層解散した方がいいと思うぞ? 後悔しないためにも」

「分かった。考える」

「そうね。そうしなさい。じゃ皆と合流しましょうか?」


 エレナの提案に俺とシンバは頷いて従った。

 それにしてもアイツ気になるな? もしかしたらアイツ次第で速攻で空中分解するかもな、このパーティー。




「そっちに行った!」

「俺がやる!」


 別の場所から飛び出したサソリを目敏く見付けたエレナが警告を出すと、ナオトが飛び出し倒そうとする。えっ!? 今のはルナじゃない? サソリから近かったし、攻撃の構えもとってたしさ。

 ナオトは攻撃を受けながらもサソリを両断した。

 ただ、ルナがナオトが無理をした所為で、ナオトと戦っていたモグラから攻撃を受けてピンチでしたが、自力で倒しました。

 さて、少し落ち付いたので説明しますと、南の平原を南下して荒野地帯に入りました。ほら西部劇に出て来そうな。そして今現在荒野入り口から1時間南下した場所で戦闘中です。


「ヒール。ルナ大丈夫? ちょっとナオト! 気を付けなさいよね!?」

「俺じゃなく対処出来ないそいつが悪いんだろ!?」


 いや! お前が悪いし! 本当シンバは何で今も組んでるんでしょ? ま、長い付き合いなので大方理由は分かりますが、多分自分が誘った分見捨てられない。とか、そんなとこだろうけどな。本当考えた方がいいと思うぞ?

 モグラがエレナに向かって突撃するもルナが巧みにガードする。そこへ俺がウォーターボールを放って仕留める。それで戦闘終了です。


「お疲れ様。少し休憩しよう!」


 シンバが声を掛けると、カカオはシンバに、ナオトとダンはエレナに速攻向かいました。大変だな、あいつらも。

 さてと、ここから少し離れた場所で、地面を見て歩いている女性が気になりますが、まずはルナと話して見ましょう。


「ルナさん。なんでこのパーティーにいるの?」

「それはどういう意味?」

「だってこのパーティーに合わないじゃん」


 俺がそう言った途端にルナの眉間に皺が寄った。ま、この言い方じゃ怒るわな。でも、聞かせとかないと詰むしな、このパーティー。


「ちょっとトータ! どういう事!」

「そうだよ! ルナはルナなりに貢献してるんだぞ!」

「そうだ! 部外者が口出しすんじゃねぇよ!」


 他からも罵声が聞こえるが無視します。


「いや、別に、このパーティーが、サクヤ達と同じくらい強い。とか、言われてるのが不思議なだけ」


 ま、サクヤとライライが所属するパーティーは見たこと無いけどね。でも、俺はサクヤとライライの兄だから、どんな感じかは予想が付きます。


「どういう事よ!」

「だってこのパーティーってさ。アカリねぇのパーティーはともかく、サクヤ達のパーティーに勝った事無いだろう? しかも良い勝負が出来たのも、最初の試合の少しの時間だけ」

「な、なんで分かるの!?」


 ふむ。やっぱり最初に俺の思った通りだったか。


「弱点を突かれたから」

「それがルナだってトータは言いたいのか!?」

「うん? そうだけど少し違うかな? ルナさん? あなたスカウトされたでしょ? ラピスラズリと神楽から」

「な、なぜそれを━━」

「だって俺が姉妹だったら引っこ抜きますもん」

「「嘘だろ(でしょ)?」」


 何か? エレナとシンバがショックを受けてるけど、あなた達も知ってるでしょ? 俺達一家の性格。

 例え友達のパーティーでも、不遇な評価を受けている人がいるなら容赦無く連れて行きますよ。俺達一家は。


「で、どこから話す? 弱点な理由からにするか? 弱点なのは最初に無効化すれば、上手く立ち回れる人がいないから、後は各個撃破すれば済む」

「でも、良い勝負もしたわよ!」

「そう? なら質問だけど? アカリねぇと、サクヤ達の戦いは見た?」

「見たぞ。中々見応えがあった━━あ!」

「気付いたか?」

「うん。私も気付いた。アカリねぇ達のパーティーにあんなに上手く立ち回れるのに、私達相手に苦戦する筈ないって事よね? 弱点も知ってるし」

「ま、相性の問題もあるだろうけど、欠陥に気付いていて、どう攻めればいいかも知ってる奴が、理由もなしに苦戦する筈ないだろう? 多分アカリねぇ達を倒すための練習だったんじゃない?」


 少し言い過ぎたかな? ま、大切な幼なじみだ。いつまでも家の家族に勝てないのは悔しいだろうからね。真実を知った後の頑張りに期待してます。


「悔しいなぁ~」

「そうだな。一緒の実力だったのに、なぁあ」


 ゲーマーとして譲れない部分はあるよね。よく家の姉妹競り合ってますから。


「おいおい。そんな話し信じるのか? あるはずないだろ? そんな1人くらいで負けるなんて」


 ふむ。他のメンバーも頷いてますね。


「なら、話しは早い。ルナさん抜きで戦って見ればいい」

「はっ! いいだろう! 俺達の実力見せてやる!」


 またしても信じてないメンバーだけ頷いたが、エレナとシンバは不安そうだな。ま、ちゃんと立ち回れれば、死なないから大丈夫だよ。


「では、行ってら~」

「トータ、気楽そうよね?」


 よく言われます。

 不安そうに敵を探すシンバとエレナを、手を振って見送る。まあ、何かあれば連絡が来るだろう。気になる事を済ましますか。


「ちょっと俺向こう行くけど、どうする?」

「え? はい。着いてく」

「うん。分かった」


 ルナを連れ、下を向いてうろうろ歩き回っている、女性の元まで移動する。ルナからは、どこ行くんだろう? と言いたそうな視線を感じますが、気にしません。


「こんにちは~」

「えっ? な、なんですか?」


 思いっきり不審がられてますな。そりゃそうだ。普通に怪しいもん。

 外見は20代後半って感じの赤髪の女性で、明らかに街で見るような軽装だ。


「何か探し物ですか?」

「えっと?」

「ずっと探してますよね?」

「は、はい」

「護衛はいないんですか?」

「い、いませんけど」

「そうですか。大丈夫ですか?」

「一応は、対処くらいなら」

「そうですか。でも、下ばかり見ていて、周りへの注意が散漫になってましたよ? ここら辺、意外とモンスター多いので、気を付けて下さいね?」

「はい。気を付けます」

「では、俺達はこれで。戻ろうルナさん」


 踵を返して戻る。終始戸惑ってたけど、注意は促せたしいいか。


「あのプレイヤー、戸惑ってた」

「あれは住人だよ」

「?」

「NPC」

「あんなリアルなの!?」


 おや? 声からしたら凄い驚いてるんだけど、ルナさんてあまり表情に出ないんだね。


「そうだよ。もしかして話した事無かった?」

「ない」

「そっか~。今度話してみたら、意外と楽しいよ?」


 俺もそこまで知り合いが多いわけではないけどね。


「うん。今度からそうする。着いた」


 会話してる内に元いた場所に戻ってきた。


「だな。で、シンバ達は?」

「いない」

「う~ん。どこかな? お、いた。おや? 1人居なくなってるな? あ、もう1人死に戻った。ピンチみたいだな~」

「た、大変! 助けなきゃ!」

「ダッシュは取ってる?」

「まだ、今から取る!」

「走ってれば取れるから、無理して取る事は無いぞ? じゃ、先行ってるな~」

「えっ! そうなの!? て、行っちゃった」




 駆けてる間にもう1人死に戻り、残りシンバとエレナだけになりました。因みに今回は【救世主】は発動していません。多分ですが、どうしても助けたいと思ってないからでしょうね。死んでも教会行くだけだし。

 シンバの横に回ったデカイミミズに飛び蹴りを入れる。グニャ~っとした感覚がした。うえ~。気持ち悪いが我慢します。

 そのまま一回転し着地する。

 ミミズは飛んで行き荒野を転がる。


「「トータ!」」

「なんだ?」

「あ、いや、別に。な?」

「そ、うね?」

「そっか~。来るぞ」

「ああ!」


 正面から来るサソリの尻尾をシンバが剣で弾く。その間に俺はファイヤーボールを蹴り飛ばしたミミズに放ち倒す。

 シンバにエレナが回復を掛けると、サソリが一瞬反応し、その隙にシンバはスラッシュを放ち両断する。


「エレナしゃがめ! ウォーターボール」


 モグラがエレナの横から迫って来ているので、エレナにしゃがんで貰い、水の玉をぶつける。

 モグラは水の玉に当たり、後方へと飛んで行き消えた。

 残すは、シンバとやり合ってるサボテンのみ。だがそれももう直終わるだろう。シンバが切り刻んでいる。

 さて、もう暇になったし、一応モンスターの鑑定結果上げますね。


 猛毒サソリLv3 サソリの上位種『備考』強い毒性を持ったサソリ。ほぼサソリと同じ見た目だが、尻尾の先だけが違い、上を向いている。

 サボテンLv16『備考』荒野や砂漠を歩き回っているサボテン。

 ミーズLv18『備考』ミミズ型のモンスター。

 穴堀モグラLv3 モグラの上位種『備考』モグラが土属性を得た種族。土の中から襲ってくる。


 ふむ。サソリの毒欲しいですね。その内集めに来ましょうかね。と、戦闘音が止まった。終わりのようです。


「お疲れ~」

「悪い助かった!」

「ありがとうトータ」


 いえいえ。無事ならそれでいいです。


「で、なんで死んだの? ルナさんの必要性を分からせる為だったのに、死んだら続き行けないじゃん」

「完全に油断してたからね。隙を突かれて撃沈。そこから無理に出ようとしてまた撃沈。で、3人じゃ立て直せなくてまたまた撃沈。って感じかな?」

「お前らどんだけルナさんに甘えてたんだよ?」

「言わないで、痛感したから」

「そう。ならいいや」


 後はパーティーの問題ですからね。俺から言う事は無いです。


「連絡取ったら落ちるってさ、相当ショック受けてたよあいつら」


 見栄張って出てったら、何も出来ずに完敗ですからね。気持ちは分かります。


「どうする? 戻る?」


 ちょっと前に到着したルナさんが尋ねる。


「そうね。戻りましょう」

「ああ」


 あれ? これって心配事に移れるチャンスじゃねぇ? よしなら今すぐ抜けよう。


「じゃ! 俺は抜けるから! またな!」


 パーティーを脱退して、シュタっと手を上げて駆け出す。勿論あの女性の元にだ。

 なんかこう言うと好きな人に逢いたがってる人に聞こえるな~。一切違うけど。


「おいトータ!?」

「ちょ?! どこ行くのよ!?」

「待って! わたしも!」


 なんか後ろで叫んでるけど、ま! いいよね! よくある事よくある事!

 さ、いざ彼女の元へ~!

 うん。やっぱり一目散に好きな人に逢いたがってる人にしか聞こえないな~。ま、どうでもいいか。



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