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助っ人

 眠いです。

 だけど、このホームルームが終われば、家に帰れる。ゲームが俺を呼んでるぜ!! 

 柄にも無く、無理にテンションを上げて見ましたけど、俺には合いませんね。戻します。


「皆、気を付けて帰れよ」


 担任はそう告げると教室を後にした。

 やべ~。何話してたんだろ? 眠過ぎて聞いてなかった。でも、きっと大した話しじゃ無いだろうし、別にいっか~。

 そんな事よりも今日の予定ですよね。何しようかな~。先ずは畑でしょ? 次は図書館にも行ってみたいし。あ、でも本屋を探し歩くってのもいいな~。あ、後、炉! 炉を置ける場所か、鍛冶が出来る場所を探さなきゃ! やりたい事だらけです。

 俺が物思いに耽っていると、奈々夏が現れた。


「色々私の事に関して言いたいけど、今は流すわ。翔、帰りなんだけどちょっと待って、今アクシデントが発生したから、逸夢が対応しに行ってる」

「マジでか!? で、どんな内容?」


 ま、ゲームの話しだろうけどね。俺の旅が遅くなるのは、ちょっとね。いや、待つけどさ。


「パーティーメンバーの1人が風邪引いて来れなくなったらしいんだ。でどうするかの相談」


 なるほど。パーティーって一人掛けると成り立たなくなるって聞きますし、居ない穴をどう埋めるか話さないといけないのか。パーティーって色々と大変なんですね。ソロで良かったです。


「そうそう。トータ知ってる? 運営が闘技大会開くんだって。初のイベントだよ!」

「おお! 闘技大会か! 景品は出るの?」

「出るよ! 優勝者に100万ゴールドと、ボーナスポイント20。準優勝者に50万ゴールドと、ボーナスポイント10。3位に10万ゴールドと、ボーナスポイント5。4位にはボーナスが5出て、予選を勝ち抜いた者には、参加賞でボーナスポイントが2ポイント貰えるって!」

「ふ~ん。そうなんだ~」

「あんまり嬉しそうじゃないわね?」

「いや、そんな事はないよ。賞金もボーナスポイントも両方欲しいしね」


 昨日と言うよりも、今朝方に大量の寄付した奴が、何言ってんだ? って、感じはしますがね。


「うんうん。翔も大分ゲーマーらしくなって来たじゃない。感動だわ~」

「で? 大会ってどんな内容なの?」

「個人戦とパーティー戦に別れていて、両方とも予選があってね、勝ち抜いた人が本選に出れるの。そうそう。エントリー期間は今日から1週間。どちらか片方のみだって。あ、後なんか特殊なペット不可なんて条件が有ったわね。特殊なペットって何? って感じだよね~」


 そ、そうだね。多分あの娘を指してるんだろうけどね。よ、よく分からないよね~。


「そうなんだ! 個人戦出ようかな~」

「えっ!? ほんと!? 応援するからね!」

「あ、うん。ありがとう」


 この前の最弱王の件でか、奈々夏のテンションが可笑しい。俺少し引いてます。


「おう。お待たせ!」

「あ、逸夢! お帰り!」

「あ、うん。奈々夏どうした?」


 あ、イケメンが帰って来たね。奈々夏のテンションに困惑してるけど。


「聞いてよ! 翔が大会出るって!!」

「おお! マジか!? やったな!」


 幼なじみーズがハイタッチする。教室中に空気を潰した破裂音が響き渡った。


「やったな! 序でに翔一ついいか!?」

「やだ!」

「まだ何も言ってないのに!?」


 逸夢がショックを受けてるけど、大体分かる。俺の予定が狂う。


「頼む。2日間だけパーティーに入ってくれ、他にいないんだ! レベルも近いって聞いたし!」


 ほら、やっぱし! そんな事だろうと思ったんだ!


「翔私からも、お願い」


 くっ、二人が頭を下げるからまだ残っていたクラスメイトの視線が俺に刺さります!


「分かったよ。ただし条件がある! どうしてもやりたい事はやらして貰うからな!」


 畑は毎日行きたいからこれだけは譲れないのです!


「マジ!? やった~!」

「サンキュー! 助かる!」


 逸夢がガッツポーズを取り、奈々夏が手を一度叩いて、喜んでいる。

 こう嬉しそうにされると、俺としても嬉しい物があるね。


「うん? あは~。どうしたの翔? 幸せそうに微笑んじゃって?」


 うっさい! こんな事に気付かなくていいんだよ。あ! 逸夢もにた~って、嫌な笑み浮かべ出した!


「知らん! っで、集合時間と場所は?」

「おやおやおや? 誤魔化すの?」

「良いのかい? そうやって誤魔化して?」

「行かんぞ?」

「「すみませんでした」」


 二人が同時に頭を下げる。たくっ~。なら、やらなきゃいいのにぃ~。ま、仲がいい奴どうしの特権的やり取りですな。


「うんっと、教会前に1時集合な!」

「うん。分かった! また後で!」

「いや、立ち上がって別れの挨拶してるとこ悪いんだけど、私達も同じ方向だし、もう帰るわよ?」


 真面目にツッコミやがってこれだからノリの分からない奴は━━はい! すみませんでした! あわよくば置いて帰ろうとしてました! 非は認めますのでそんなに睨まないで下さい!

 それから家に着くまで奈々夏からの糾弾の嵐でした。とほほぉ。




 ログインしました。━━途端教会の人と目が合いました。覗き込まれてます。

 俺は跳ね起きると、失礼しました! と、一礼してダッシュで教会を後にする。やべ~。超不審がられてましたよ。ま、もう会わないだろうし、別にいいけどね。

 そのままダッシュで畑まで移動する。

 間を利用して蒼空と白夜には、2日間友達の助っ人する事になったから自由行動ね。っと、念話しました。

 さてさて、俺の可愛い薬草達は~っと、か、枯れとる!

 俺はダッシュで畑の中に入り、しなしなに枯れた薬草達の前まで移動する。

 嘘何で!? 今朝まであんなに元気だったのに!?

 地面に倒れ伏す薬草へと手を差し伸べるも、薬草が起き上がる事はない。

 はっ!? そうだ! 柔軟草は!? あれさえ無事なら━━orz終わっ、た。もうお仕舞いだあああああああ!! 鉄扇が! 鉄扇が作れない!! はぁ~。どうしよう? 一分の望みを掛けて鑑定してみようかな?

 鑑定してみたら、枯れた薬草。効果なし。後は土に還るのを待つばかり。っと、出た。因みに柔軟草も同じ結果です。

 うーん? 庭師じゃダメなのかな? それとも種からじゃないとダメとかかな? よし、種が売ってるか探し回って見よう。

 あー。それにしても、柔軟草を失ったのは痛手です。こんな事になるなら最初から柔金属液作るんだったよぉ。




 それから12時まで探したが結局見付からず、仕方ないので一端教会前まで移動してからログアウトし、昼飯や夏休みの宿題をして12時55にログインする。


「お、着たなトータ!」

「やっと着たわねトータ!」

「あ、うん。よろしく」


 テンションが矢鱈高い幼なじみーズに、対象的に超ローテンションな俺。幼なじみーズが一気に心配そうな表情になった。


「どうしたのトータ? 暗い顔して」

「あ、うん。10死いらい久しぶりに躓いたからちょっとね。ま、でも切り替えるから大丈夫」

「トータがそう言うなら直ぐ切り替えられるんだろうけど、何かあったら言ってな?」

「うん。どうしようも無くなったら言うから安心しろ」


 いつまでも落ち込んで二人に心配を掛ける訳にはいかないし、きっと解決法も探せばあるだろうしね。ゲームなんだから楽しまないと。


「分かった。なら取り敢えず紹介して行くな。先ずはこの盾と片手剣の少女が刃盾のカカオで、斧と盾がナオトで、盾と短剣がルナで、この盾と盾がダンだ」

「は~い。よろしく」

「ふん!」

「よろしくお願いします」

「チッ!」


 おや、反応からするに男二人からは不評だぞ? 女の方もルナは普通だが、カカオは、シンバと仲が良いから愛想良くしとこ。てのが見て取れるな。これは、早まったかな?

 一応外見を簡単に話すと、カカオはギャル系茶髪少女で、ナオトは柔道をしてそうなガタイの良い男子で、ルナが地味っ娘少女て感じの黒髪少女で、ダンが爽やか風な男子だ。


「ま、よろしく。で、どうするの?」

「先ずはボス戦を見て貰う。で、トータが合わせやすいポジションを決めようと思う」

「ま、無いだろうけどな!」


 ナオトの言葉にどこからか笑い声が漏れた。瞬間エレナがムスッと不機嫌になり、シンバの目が一瞬だけ細くなった。

 今日は付いてないな。ま、そんな日だと思って諦めるか。




 そのまま南のボスエリア前までやってきた。移動中終始エレナから声を掛けられて大変だったけど、主に男どもの嫉妬の視線が。


「よし、行くぞ。油断せずにな?」

「勿論よ」

「ああ!」

「おう!」

「はぁ~い」

「はい」


 それぞれの返事を聞いて、シンバが青い光の中に入って行き、その後に続々と続き最後に俺が入る。


「ぐおおおおおおおおおおおお!」


 光が開けた瞬間。目の前では、小学校高学年の子供くらい大きなカエルが変な声で吠えていた。うん。自分で言ってて意味分からなく聞こえるが、事実だし仕方ない。

 シンバが駆け出し、そこにカカオとナオトが続く。ダンとルナはエレナの護衛のようだ。

 シンバが鞭のように飛んで来た、カエルの舌を剣でガードし、その横を左右に別れてカカオとナオトが駆け抜けて、斧と片手剣を振り抜くも、カエルは後方へと大きく飛び回避した。

 そこへ狙い済ましたように火の玉が飛んで行く。シンバがカエルの舌に押されて体勢を崩しながらも放ったファイヤーボールだ。

 カエルは舌を濡らして火の玉を叩いて消す。そこへカカオが飛び込み、左前足を数回切り付けるのに成功したが、右前足を狙っていたナオトの斧はタッチの差で躱されてしまう。

 さて、後方に待機している3人組に移動しましょう。

 実は最初の叫びでカエルは、もうすぐカエルになりそうな、足の生えた小さいオタマジャクシを呼んでいたのだ。小さいって言っても大きなヌイグルミくらいあるんだけどね。

 前衛に向かうオタマジャクシ達を、エレナがシンバに、幾度もなく回復魔法を掛ける事で引き付ける。上手く前衛がボスを攻撃してる合間を縫ってだ。

 なるほど。ボスへ攻撃する一瞬前に回復を掛けると、ボスの視線をこちらに逸らす事が出来るのか。それに直ぐに攻撃が飛ぶからボスに襲われる事もないんどな~。

 迫って来たオタマジャクシをダンが弾き、ルナが短剣を閃かせて、倒していく。

 ふむ。ダンはエレナに近付くのを弾いていくな。それにしてもルナの短剣裁きは美しいな。あ、オタマジャクシの攻撃を受けた。

 苦痛の表情を浮かべたルナに、急かさずエレナが回復を掛け、オタマジャクシの標的がエレナに変わるも、ダンが弾き、回復したルナが速攻で切り刻んで行く。

 こちらは大丈夫そうなので、視線をシンバ達に戻すと、シンバが連撃を叩き込んでるところで、シンバの攻撃が終わると直ぐにカカオとナオトが攻撃を繰り出す。

 もう終わるかな? と思った時、カエルが強引に身体を捻って舌を鞭のように振るいながら半回転し、シンバ、カカオ、ナオトに攻撃した。

 3人の中で唯一シンバだけがガード出来たが、他の2名はカエルの舌でふっ飛ばされた。

 ガードで硬直したシンバにカエルが逆回転し、またしても舌が襲うが、ルナが駆け込み寸でのところで盾でガードする。が、一瞬で弾かれルナを吹き飛ばすも、一瞬の間に出来た時間を使いシンバが飛び上がる。


「喰らえ! スラッシュ!」


 飛びながら上段に構えた剣を振り下ろすと、剣が物凄い勢いで振り下ろされカエルの顔を深々切り裂いた。

 カエルはよろめきながら倒れ、ヒクヒクと数秒痙攣すると光の粒子になって消えたのだった。

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