畑を我が手に!
アカリねぇ達と別れ、東の平原を、街の壁沿いに一人歩いて進む。
入手したドロップは、各自で貰っていいそうだ。
なんでもそれが定着しつつあるルールなんだとか。なので遠慮無く頂きました。
もう大分歩いて来たが、まだ目的地には着かない。
何を探して歩いているのかと言うと、ボスへ行く間にチラッと見えた、草が均一に生えている畑と思わしき場所だ。
遠目で少し確認出来たくらいだったけど、この変のはず━━。あ! あった! ビンゴ畑だ!
畑に近付き観察する。
薬草や、魔力草と言った色んな葉っぱが植えられており、どうやら工面で区切られているようだ。
さて、来たはいいがどうした物か? 取り敢えずクルルに連絡して見よう。
フレンドリストを開き確認する。
おや? 通信不可になってますね。リィーちゃんも。もしかしたらこれが急いで帰った理由かな? あ、ロザは大丈夫だ。ロザに掛けよう。
『はい。ロザです。どうしましたか?』
『あ、もしもしトータだけど、聞きたい事があるんだ。今大丈夫?』
『大丈夫よ』
『あのさ、東の畑あるでしょ? あれって俺も使えるの?』
『使えるわ。ただし、購入だけで、1フロア5万ゴールドよ?』
『意外と高い!』
『買ったら手放すまで永久にその人の物だから、そのぐらいするのよ』
『買うとしたらどこに行けばいいの?』
『奥に小屋が見えない?』
『う~ん? あ、あれか!』
『そこで買えるよ?』
『うん。分かった。ありがとう。またね~』
『うん。また』
さて、どうしたものか? う~ん。ここで悩んでてもしょうがない。小屋に行きましょう。
「すみません」
挨拶をしながら小屋に入る。
「はい? どうされました━━? って異邦人!!」
なんか驚かれたんだけど? なんだろう?
「あの土地が欲しいんですけど?」
「あ、はい。1フロア5万ゴールドですが?」
うん? 店員さんが渋面を作っている。本当にどうしたんだろう?
「3フロア買いますので、12万ゴールドになりませんか?」
「なりません。1ゴールド足りとも負けません」
「1ゴールドも?」
「ええ。1ゴールドも!」
ふむ。ま、住人にも生活があるし仕方ないよね。
「土地は選べますか?」
「森の横です」
場所も指定なのか? ま、蒼空と白夜も出入りするだろうし、好都合か?
「分かりました。買います」
トレード申請を出す。
「え!? 本当に買うんですか?」
黙って15万ゴールド入れ、目で促す。
「あの!? 本当に買うんですか!?」
無言で頷く。
「森に近い角ですよ!? 陽当たり悪いですよ!?」
もう一度頷く。
「本当に買うんですか!? 後で苦情言われましても、返金致しませんよ!?」
なんで一々確認して来るんだろう? 正直メンドイです。
「あの? どうしたんですか? こちら側としたら早く買って畑に行きたいんですが? こんなに確認されたら時間も取られるし、イラ付きますよ?」
「はい、おっしゃる通りですね。すみませんでした」
店員は素直に頭を下げた。自分の接客が酷い物だったと反省したのかもしれない。ま、こんな対応をした理由に思い当たる節はあるけどね。
「もしかしたら、異邦人がらみで、何かありました?」
やっぱりか。店員さんが驚いた表情になった。
開口一番に異邦人!! って叫ばれたし、ルミリシアからの情報も有ったしね。
「そうですか。その件に関しては、俺から言える事はないので、自分の思うままに行動していいとは思いますが、出来るだけ態度の悪い異邦人のみにして貰えると、俺としては助かります」
頭を下げて、お願いする。
「では、取り引きに戻りましょう。15万ゴールド入れましたので了承をお願いします」
「いや、ダメです」
あちゃー取引失敗か~。でも、しょうがないか、この店員さんが余程異邦人を恨んでいたって事だろう。ここは粘らずに、次を探しましょ。
「分かりました」
俺は踵を返して帰ろうとすると、
「こちらも商売人として到らない点が数々ございました。なので、ここは私の勉強料としまして━━10万ゴールドでどうでしょう!!」
と、破格の提案をされた。
「え!? でも、それでは店員さんが困るのでは?」
「いいえ。私は商売人として、自分が掲げるポリシーを忘れていました」
あ、ヤバい! この反応は長くなるヤツじゃない? 地雷踏んだかも!
「最低限信用出来るか? また、完全に信用に値するお客は離すな。信用出来るかどうかは話して決めろ! お客様は私の中で完全に信用に値するお客様だ。なので、お詫びの意味と、今後のご利用に期待して、10万ゴールドです! 更に今なら陽当たりの一番いいところをお付け致します!!」
「あ、別にいいですので、森に接触している場所を3つ下さい」
「そうですかぁ、ならせめて! せめてクワだけでも受け取って下さい!!」
何だ? また聞いたぞ? 名前だけでも的なセリフ。流行ってるのか?
ここで断ったら、話が長くなりそうなので、渋々頷く。
「ありがとうございます。では、土地売買書とクワを受け取って下さい!」
言われたままに了承を押して、土地売買書とクワを貰う。
インフォで土地とクワを手に入れました。っと流れた。
では、早速土地へと向かいましょう。
「ありがとうございました。無事に手に入りました」
「こちらこそありがとうございました! またのお越しを!!」
店員さんは勢いよく立ち上がり、深々と頭を下げた。
俺、そこまでされるほど何もして無いんだけど。本当称号の恐ろしさが身に染みました。
小屋を出て畑を目指す。━━と、言っても直ぐそこです。ほらもう着きました。俺の畑です。
雑草が伸びに伸びていて荒れ野原のようだ。
どうしようか? この草。う~ん。焼こう。
「ファイヤー」
近場の草に火を付け、チャージと魔力流動で3フロアある自分の畑を全て焼く。
おお。凄い勢いで燃え上がってます。広範囲でやってるキャンプファイヤー見たい。いや、むしろ大火事だな。
さて、そろそろいいかな? と、思うのですが、問題があります。どうやって火を消すかです。
やべ~。何も考えてなかった。どうすっかな~? 水魔法で消そうにも、せっかく灰になった草が勿体ないしな~。確か灰って肥料にもなりましたよね? 何かで見た気がします。
火は燃え盛り衰える兆しが見えない。
よし! 決めた! 傍観します! その内消えるっしょ?!
皆さん知ってますか? 野焼きって消えるまでに時間が掛かるんです。
30分くらいかな? なんて、軽い気持ちで待っていた時もありましたが、全然鎮火しないんです。
くそ! 予定ではもう既に全肯定終わってる筈だったのに! 明日学校あるから早く落ちないと行けないのに!
なので、最終手段に出ます。
ありったけの魔力をぶちこみ火力を上げる。
勿論。普段掛けっぱなしの纏いも切れてしまった。
火は天にも届きそうなくらいの圧倒的な火柱を上げ、雑草を次々灰へと変てゆく。
数分後に鎮火すると、そこには焼かれた砂と灰しか残っていなかった。
俺は急ぎ空間収納を開いてクワを取り出す。
せっせと畑を耕して行くが、この作業地味過ぎませんかね?
クワを振り上げて下ろし、一歩後退してまた繰り返す。
うん。言って見てなんだが、正直ここまで地味だとは、思っていませんでした。なので、描写は控えます。
30分掛け全ての畑を耕し終える━━。ごめんなさい。嘘です。あまりにも時間が掛かるので1フロアだけにしました。いや~地味な作業ほどシンドイって、本当ですね。途中埋まってる石ころを拾い上げたりもしないといけないので本当に大変でした。
さ、気を取り直して、薬草と柔軟草を植えよう~。
一本一本距離を空けて植えて行く。うん? そう言えば、種じゃないけど、増えるのか?
ま、大丈夫でしょう! きっと株が別れて増えてくれるはず。さ、これも30分は掛かるだろうし、どんどん植えて行こう。
はい~。きっちり30分掛かりました。予定通りで~す。
どうでもいいけど、アレだよね? 深夜って、変なテンションになるよね!
うん? ならない? 可笑しいな~。ま! 終わらないし作業に戻りますか! って言っても後は水を撒くだけなんだけど、最後にして問題が発生しました。どうやって、水を撒こう?
魔力は心許なく、まだ水の玉4個作れるくらいだけど、そもそも水魔法なんて使ったら、全て流しちゃいそうで怖い。かと言ってジョウロも無いしな~。
えい! ままよ! 一つ思い付いたのでやって見ます。
水の玉を出し空へと投げ、そこへ火力を押さえた火の玉を当てて、爆発させる。すると水の玉が弾けて雨の様に地上へと降り注いだ。
やった! 成功だ! この調子でもう一回やろう!
同じ要領で水の玉を浮かべて弾けさせると、なぬ? インフォが流れた。
規定数魔法を爆発させたので爆破魔法を修得しました。なんだけど、俺ってそんなに爆破させてますか? 思い返して見ても━━うん。結構攻撃面で便利なので使ってましたね。納得が入ったところで確認しましょう。
《爆破魔法》効果・爆破魔法を放てる様になる。『備考』一定回数魔法を爆発させた者が覚えられる魔法。もしかして、あなたはテロリスト?
誰がテロリストだ! 便利だから使ってただけじゃわい!
因みに魔法は、バーストとバーストボールでした。
さて、全肯定終わったし、不本意な文が載ってるスキルもゲットしたし、街に入ってログアウトしますかな。
それでは皆さんまた会いましょう。バイバイ! って終わる筈だったのだが。
街に入り教会前までやってくると、扉が開いていたので興味本意で覗いて見ると、金髪の美少女が天に祈りを捧げているのが見えた。
なにしてるんだろう? こんな時間に? あ、振り返った瞬間に目があった。うん。なんか関わっちゃ行けないオーラを感じる! 私は何も見ていない! さ、落ちよう! ゴールは直ぐそこだ!
踵を返すと、
「もしよろしければ、この恵まれない教会に寄付をお願い致します」
と、声を掛けられた。
なんだ? またこのパターンか? 今日はこれ多いな!
「え~と、寄付ですか? いくらでしょうか?」
「あなたの思うままに」
このまま無視して帰る訳にもいかないので、振り返り尋ねると、金髪美少女は瞳を閉じて答えた。
トレード申請が届く。
いくら入れるかな? クルルの借金分は取っといて、あんまし有っても使わなそうだから、いいや30万入れよう! 一度やって見たかったしいいや!
30万ゴールドを入れて了承を押す。
「単純な人ですね。詐欺かも知れないのに?」
金髪美少女は可愛らしく首を傾げながら尋ねて来た。
「その時はその時です。それにあなたはそんな人では無いしね。瞳を見れば分かります」
俺の返答を聞いた金髪美少女はクスリと微笑んだ。
「いいでしょう。私の名前はソフィル。私もあなたが気に入りました。以後お見知り置きを━━」
そう言い残し、金髪美少女は徐々に薄くなり消えて行った。
脳が理解したくないと叫ぶ! 理解はしたくないがインフォが入るだろう。
称号 【何々の神ソフィルに何々】を手に入れました。━━と!
ほら! きたインフォ! 称号 【幸運の神ソフィルのお気に入り】を手に入れました。と!
くっ! 一文字違い! ニアピン賞だ! ってそれどころじゃないか。
仕方ないので称号を確認します。落ち着かないし。
【幸運を司る神ソフィルのお気に入り】効果・アイテムドロップが一つ増えて、物語りの流れが好転しやすくなる。『備考』幸運の神に気に入られた者の証し。※時々幸運の女神が会いに来るかも?
だって。物語の流れが好転しやすくなる効果は嬉しいかな。だけど、総合的には面倒臭そうな気がします。主にルミリシアとの間で。
はぁ~。なんか自然と溜め息が出た。
ここ教会の中だけどいいよね? 落ちちゃお。
ログアウトっとぉ。




