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鍛冶

 蒼空の体力と魔力を大幅修正します。総体力4010 総魔力6510~総体力17540 総魔力37110に変更します。


 魔鋼から魔銅に変更しました。

『そろそろ回復の時間ですわマスター』


 はっ! もうそんな時間か。蒼空と白夜をさわさわ、もふもふしてると時間が経つのが早いな。


『では、マスターお願いしますわ』


 はい。懐に入れてって事ですね。分かります。

 蒼空を懐に入れて、白夜を抱える。


『では、マスター。行きましょう』


 お、珍しい。蒼空じゃなく白夜の方が促すなんて。


『マスター。白夜が言うなんて珍しいと思ってますわね。私も同感ですわ。雪が降らなければ良いのですが』


 いや、今夏だからそれはないでしょう。降ったら完全に蒼空が関与してると思う。

 二匹を抱えたまま坑道を進み、入口までやってきた。って! マジか!? 土砂降りじゃん! あ、雷!


『白夜の所為で滝のような雨ですわね』

『本当だな。白夜の所為で』

『きゅうぅぅぅ。私のせいじゃないですよおぉぉぉぉ』

『分かっています。言って見ただけですわ~』

『そうそう』

『きゅうううう! マスターも姉さんも酷いです!』

『はは~。ごめんごめん』


 膨れっ面の白夜を撫でてやる。ふにゅ~っと、蕩けた顔で目を瞑ってます。


『それにしても困ったな。どうやって帰ろう?』

『マスター。魔力の三大奥義を使ったらどうですか?』


 う~んう~ん。と、腕を組んで悩んでると、蒼空が提案してきた。

 なるほど! 三大奥義か! やって見るか。

 まずは流動を使い、魔力を俺の頭上へ持って行く。

 次に変動を使い頭上の魔力を平にしながら固体化させ、流動で斜め下にセット。

 最後に斜め下にした平な魔力を、纏いで頭に張り付けたら、即興魔力傘の完成! ただいま特許取得中~。


『出来たよ~』

『言っといてなんですが、そんなに簡単に出来る技じゃ無いですからね? それ』

『えっ? そうなの?』

『本当自覚無いですわね。マスター』


 なんか蒼空に呆れられてますが、良く分かりません。ただ、俺が簡単に出来るのは、幼い頃、婆さんに気のコントロールをさせられたお陰ですね。ま、手から何か出たりはしませんが、身体を頑丈には出来ます。えっ? それでも充分人間離れしてるって? ほっとけ!


『マスター。あそこにモンスターの死体がありますわ! って、何してるんですかあ? マスター!!』


 歩き出そうとしたら、蒼空が器用に首元から右手を出したので、指で蒼空の肉球を押したら怒られました。


『全く! 後で触らせて上げますので、先に死体を観ましょう、マスター』

『本当に!?』

『はい。暇な時にでも』


 やったね! 言質は取った! 直ぐ行こう! 今直ぐ行こう!

 死体の前まで移動する。

 死体は 灰色をした熊の様なモンスターで、首を綺麗に切断されていて、辺りは雨に流された血で、血の池地獄になっていた。


『おお! 鋭い見事な一撃での首チョンパ』

『そうですわね。笑える程綺麗に斬られてますわね』

『まったくですな~』

『『わっはあはあ!』』

『二人とも怖いですよ!』


 蒼空と一緒にふざけていたら、白夜からドン引きされました。納得です。


『さてと、蒼空これ何か分かる?』


 熊っぽい死体を指し蒼空に尋ねる。死体だと鑑定しても、??? の死体としか出ないんだよね。なんでだろう?


『恐らく、ウインドベアですわね』

『ウインドベア? 風属性の熊? 強いの?』

『強く無いですわよ? マスターが屠った中にも居ましたよ?』


 あ~。坑道での奴か。敵が多過ぎて、鑑定してる暇が無かったんだよね~。あれ。


『そうなんだ。に、しても、この切り口。もしかしたら昨日のと同じか? 同じだとしたら熟練度上がってね?』

『もしかしたら集団行動してる場合もありますわ。このモンスター』

『うん? モンスター?』

『はい。基本人相手に逃げませんから。気配の強さで相手を判断しますからね』


 なるほど、自然界の鉄則ですね。


『そうか。人じゃなくてモンスターが犯人か。なら種族は分かる?』

『他に絞れる物が無いと無理ですわね。臭いもこの雨で流されて仕舞いましたし』


 周りを見回すも、確かに蒼空の言った通り手掛かりになりそうなものは無かった。


『そっか~。他にヒントになる物もないし。帰ろうか?』

『はい。です!』

『そうですわね』

『この死体どうしよう?』

『ほっといて大丈夫ですわ。肉食のモンスターが食べるので』


 これもまた自然の摂理ですね。




 と、言う訳ですね。街まで帰って参りました。現在噴水前にいます。

 爺さんにメールを送ったら向かいに来るそうなので待ってます。

 そうそう。激しく降っていた雨は、街に着く少し前に止みました。因みに今現在、蒼空と白夜とは別行動しています。何でも蒼空が狩りしたいらしく、それに白夜が付き合わされた感じです。



「待たせたな。こっちじゃ!」


 声のした方を向くと、爺さんが歩いて来るのが見えた。


「こんにちは爺さん」

「ふむ。こんにちは。早速だが移動するかの?」

「はい。お願いします」


 爺さんが来た道に戻り南西へと進む。なんでもこっちに爺さんの自宅兼鍛冶場があるんだそうだ。

 他愛のない会話をしながら歩いていると、煙突の付いた2階建ての大きな家が見えた。


「ここじゃあ」

「この大きな家ですか?」

「そうじゃ、1階が鍛冶場になっとる。ほれ入るぞ」


 爺さんはそう言うとドアを開ける。


『翁。お帰りなさいませ!』


 おお。お弟子さん達がいっぱいいる。本当に凄い爺さんだったんだ!


「うむ。戻った」

「その隣にいるのは新しい弟子ですか?」


 うん? あれ? 弟子じゃないよな? それとも作り方教わると、弟子認定されちゃうのかな?


「違うぞ。打ち方教えるだけだ」


 だよね! 良かった~。弟子になったら冒険が出来なくなるとこだった~。多分。


「え~!? 折角、下っ端から抜け出せると思ってやしたのに! そりゃねぇっスわ~!」


 なんか面倒臭そうなのがいるな。こいつ部下が出来たら、こき使うタイプか、それとも面倒を観るタイプか、どっちだろう? 多分前者ぽいな。


「うるせえ! 働け!」

「へい!!」


 例の人、先輩に怒られて慌てて戻って行ったよ。なんかダメ臭が凄いな。


「誰が教えるんで? 今ならケルカが空いてますよ? それともパリスクの野郎にしますか? 野郎、最近良い仕事しますからね。初心者にも上手く教えますよ?」

「いや、わしが教える」

「えっ!?」

『えええええええええええええええええええええ!!』


 五月蝿い! 何で全員絶叫上げるんだよ! 爺さんが痛そうに耳を押さえてるじゃないか! あ、俺は大丈夫です。

 最初のえっ!? の時に嫌な予感がしたので、魔力を流動で耳に当て無事でした。


「何故ですか翁!? 私だってまだ教わった事ないのに!」

「そうでっせ。初心者用の装備に、翁が教える事も無いでしょうに?」

「誰が初心者用を作ると言ったんじゃ?」

「違うにしろ次の装備でしょ? なら問題ないんで?」

「ほう? 誰がこの中にまともな鉄扇を作れる者がおるか?」


 爺さんがその一言を発した瞬間、鍛冶場がざわめいた。


「んな!? 鉄扇ですか!? 鉄扇をまともに作れる奴なんて居りませんよ!?」

「じゃろ? だからわしが教えるんじゃ。分かったら奥の設備使うぞ」

「へい!」


 爺さんが問うと男は道を開けた。俺的には、爺さん以外に鉄扇を作れない事に驚きです。


「では行くかの?」

「はい」


 爺さんが歩いて奥に向かうので、後ろに付いて行く。

 それにしても、流石は鍛冶場。かなり暑いです。行く先々で炉が真っ赤に燃えています。


「ほれ、着いたぞ」


 爺さんが立ち止まると、目の前には古びた炉があった。


「ここは、わしが若い頃使っていた炉で、今では、誰も使っておらん。ほれ、火をくべるぞ」


 爺さんは火を点けると、じぃ~っと、火を見詰めている。


「さて、温度が上がる前に、何を取って来たか聞いとこうかの?」

「うん? そうだな。鉄が42・魔鉄が10・銅が50・銀が11・金が1・鋼が26・魔銅が14・ルビー2だな」

「意外と多いのじゃな。鋼からやるかの? 鑑定は済ませてあるんじゃな?」


 すみません。まだです。


 魔鉄 レア 魔力20『備考』魔力が宿った鉄。内封する魔力量に応じてレア度が上昇します。


 魔銅 レア 魔力20『備考』魔力が宿った銅。内封する魔力量に応じてレア度が上昇します。


 だって。他のは密度で質が変わる様だけど、ま、現実と同じ仕様だったので省略します。別に手抜きでらありません。ここ大事!


「勿論大丈夫だよ」

「よし、ならそろそろ良い具合に熱くなって来たから、鋼を5つ用意するのじゃ」

「了解」


 空間収納から、鋼を取り出す。


「よし今じゃ! 炉に入れるのじゃ!」


 言われた通りに全ての鋼を入れる。


 鋼が段々と赤くなって行き真っ赤に染まる。


「さて、そろそろじゃな? まずは骨組みを作る。2本取り出し叩くのじゃ! そして骨組みに丁度良い太さになったら叩いて割るのじゃ! その後で丸く整え柔らかい内に要を付ける穴を開けるのじゃ!」

 

 爺さんの言う通り、炉から2本出し叩いて伸ばし、骨組みを丁度良い太さにしたら次々に割って行き丸く整え、要が入る穴を開ける。


「そしたらそれをそこにある左側の水に浸けるのじゃ!」


 俺が座る椅子の左にある水に骨組みを入れる。


「次は残りの3本で、要と面を作る。まずは最初の1本取り出し、要になる部分を落とすのじゃ。この時差し込むのと止めるのとを、2つ落とすのじゃぞ? そしたら片方を丸く仕上げ、もう片方を差せる様に仕上げたら左側の水に浸けるのじゃ! そうじゃ! 落とし終えたら直ぐに炉に戻すの忘れるでないぞ?」

「了解!」


 言われた通りに2つ叩き落として炉に戻す。次に叩き落とした鉄を丸く整え凹みを付けて水に浸け、もう1つをその凹みに合う様に出っ張りを付け水に浸ける。


「残りを叩いて薄くして伸ばし、丁度いい長さと、広さで切り落とすのじゃ!」


 言われた通りに俺が理想に思う薄すさに伸ばす。


「この薄さと長さで大丈夫か?」

「うむ。大丈夫じゃ。広さはそうじゃな。もう少し広く、もう少しじゃ。━━よし、そこじゃ! その大きさのをどんどん作るのじゃ!」


 てい! 言われた広さで叩き落とす。


「良し。それを右側の柔金属液に浸けるのじゃ」


 柔金属液? 鑑定してみよう。


 柔金属液 効果・金属の硬さを残したまま柔らかく出来る液体。『備考』水に蕩け草を混ぜた物。鉄を折り畳める様になる。


 へぇ~。こんな液体があるのか! ゲームならではだな。


「よし、左側の水から骨組みと要を取り出すのじゃ! そう。そして要を熱して骨組みに合わせって軽く叩くのじゃ!」


 爺さんの指示に合わせて作る。おお! ちょっと、鉄扇ぽくなって来た~。なんか嬉しいです。


「よし、次じゃ! 次は柔金属液に浸けたのを再び熱して、骨組みに合わせて扇面の形にするのじゃ」


 骨組みに合わせ山形にして叩く。おお! 凄い! 先が尖ってくっついた! 全部の骨組みにも、しちゃいましょう。


「良し残りを溶接し、水に浸けて完成じゃ!」


 おお! 出来た!! しかもこの鉄扇開閉自由だ! これは感激です!

 出来上がった鉄扇を観ていたら、銘を決めてくださいって出て来た。

 う~ん。どうしよう? タートルでいいや。え? 次はロゴ? 亀の甲羅にしよう。


【鉄扇 (鋼)】銘 タートル 攻撃力+40 耐久250/250 重量50『備考』鋼で出来た鉄扇。製作者を示す亀のロゴがある。


 性能は微妙ですね。もっと良くしなくては!


「爺さんここ借りていいか?」

「いいぞ。好きに使うのじゃ」

「サンキュー爺さん! 一度宿行ってくる!」


 俺は出来た鉄扇をテーブルに起き駆け出した。


「ふむ。まさか1回で作って仕舞うとは思わなかったな。ほほ~。これは楽しみじゃわい」


 爺さんは愉快そうに笑いながら奥の鍛冶場を出て行った。

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