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鉱山

 放課後を告げる鐘が鳴る。

 そうだ! 昨日宿に戻って部屋を見たら、高級ホテルか! とツッコミたくなる様な部屋でしたよ。

 広々とした間取りに落ち着いた内装。更には身体が沈むほどふかふかのベッドや、年代を感じるアンティークの机がありましたよ。えっ? そこじゃなく雑貨屋はどうなったって? 勿論行きましたよ? 道中、道に迷ってクルルにしこたま怒られましたけどね。でもおかげで、ツルハシ3個に穴掘りスコップ2個に回復ポーション4個と、あと鉱山の場所までの地図を買ってなんと5910ゴールド! はい。全財産飛びました!


「翔帰ろうぜ」

「翔帰ろう」


 ダッシュで帰る積もりが、逸夢と奈々夏に捕まってしまった。なら近況聞きますか。


「いいよ。お前ら今どこで狩ってるの?」


 返事をし、教室を出ながら尋ねる。


「私達は南の砂地地帯で狩りしてるよ。翔は?」

「東だな」

「東か。ならどこのボスに挑戦するの?」


 ボスか~。考えてなかったな。

 靴を履き替え昇降口を出る。ま、戻れないし保留ですね。


「まだ決めてない。俺、鍛冶始める事にしたから」

「な!? 生産やるのか! 意外過ぎ!!」


 正確には生産もやる。だけどな。


「そっか~。意外だけど初期スキルを考えたらその方がいいかもね」

「うん? 初期スキル? 鍛冶なんて取ってないけど?」

「いや、翔。あんた生産の補助系スキル、沢山持ってたじゃない。採掘に採集に鑑定。今でも覚えてるわよ?」

「そうだった。見せたんだっけ? 懐かしいな~。つい先日の筈なのにな~」

「今度完成したら俺らにもみせてな」

「えっ?! あ、うん完成したらな!」


 ヤベッ! 見せるのが鉄扇って色々問題がありそう。取り敢えず適当にナイフ作って見せるかな。


「なに焦ってるの?」


 鋭い! 流石幼なじみですね。


「いや、見せてって、言われたから出来るだけいいのを作ろうと」

「ふ~ん」

「それより二人はこれからどうするの?」

「とりま、マップを埋めるかな。広過ぎて、ボス探せないし」


 確かにあのマップの広さはきついな。クルルと馬が無ければあの街に着くのにも、何日掛かる事やら。


「そう言えば、青い狼と白い兎、居なくなっちゃったらしいんだよね。掲示板にも昨日の昼以降の情報が上がって無いのよ」


 うわ。蒼空と白夜の話題来たよ。そりゃそうだよ別の街に移動したから。


「ふ~ん。そんなに人気なの?」

「そうよ。テイムしたがってる人ばっかりなんだから! 私も見てみたかったな~」

「そうだね。機会があったら」

「うん! うん?」

「お、家に着いた。またね!」

「あ、うん。また」

「お、おう。またな」


 あ、危ねぇ! 難とか家に着いたから誤魔化せたけど、危うく問い詰められる所でした。さ、家に入りましょう。


「ただいま!」

「あ、お帰り翔。これから出掛けるからお昼適当に食べてね」


 おや? 珍しい義母さんの声だ。看護師で忙しい人だけど。今日は休みなのか。

 うん? 義母さんってどう言う事かって、俺の産みの親は4歳の時に病気で死にまして、新しく来たのが今の義母です。因みに姉と妹達は義母さんの連れ子で、こちらも勿論義姉妹ですね。なぜかこの事話すと羨ましがられるけど。

 リビングに入ると年齢詐称の女性が白いワンピースを着ていた。

 待って! 確かに見た目は20代前半にしか見えないけど、義母さん。49ですよね? 白いワンピースは家の姉妹が見たら全力で止めますよ。


「どう? 翔? 変じゃない?」


 可愛いらしく首を傾けて聞く義母さん。

 前言撤回。これなら大人びた18で通りそう。


「似合い過ぎてて怖い」

「あら、嬉しい事言ってくれるわね。ありがとう翔。じゃあ行ってくるわね」

「うん。行ってらっしゃい。気を付けてね」


 義母さんはリビングをルンルン気分で出ていった。うん。あれで49かあ~。わからない物です。

 さ、俺もご飯食べて旅立ちますか。




 目を覚ましたら、ふわふわのもふもふに囲まれていた。

 なにこれ!? 幸せ過ぎる!!


『『あ、お帰りなさいです(わ)! マスター!』』

『うん! ただいま!』

『『マスター!』』


 あ、なんか両方から顔中をペロペロされてます。擽ったいですね。嬉しいけど。って、そろそろ良いでしょ? あ、ちょ! 2匹共やめて~。た、たすけてぇ~。




 まさか5分間も舐められるとは思ってなかったです。顔中がベトベトです。

 ベッドから飛び降りて伸びをする蒼空の横を通り、洗面所に行き顔を洗う。よし! ベトベトも無くなったし、行くか!


『蒼空! 白夜! 行くよ~!』

『『はいです(わ)。マスター!』』


 蒼空を懐に入れて白夜を抱えて部屋を出る。

 廊下を進み、階段を降りてフロントに声を掛けて、朝食のパンと、蒼空達用の肉と野菜を貰って外に出る。

 燦々と輝く太陽と大きな入道雲。暑い。まさに夏ですね。

 さて、昨日買った地図をマップに登録して、準備完了! では、出発!





 門を抜け、脇道に入り、岩だらけの山道を進んで行く。途中モンスターが沸いたが、殆んどが昨日と同じで、違うのはこの種族だけだった。


 ゴーレムLv19 泥種『備考』泥で出来た人形。


 ゴーレムLv19 岩種『備考』岩で出来た人形。


 ゴーレムLv19 土種『備考』土で出来た人形。


 違いは、岩がごつごつしていて、土が丸くて、泥が土のゴーレムが溶けた様な感じだ。

 あ、勿体なくって鉄扇は、魔法を撃つ時にだけ使ってます。だって、ゴーレム種に直接使うと汚れそうなんだもん。

 数々のモンスターを倒しながら、山道を進んで行くとやがて、鉱山の中に入れる大きな穴が見えた。


『入り口ですわね。ここからは歩いて行きますわ。白夜も良いですわね?』

『はいです! 蒼空姉さん!』

『そう? 分かった』


 二匹を地面に下ろす。

 坑道は、落盤を防ぐ為ベニヤ板で覆われ、天井からはランプが吊るされている。


『さて、2匹とも準備はいい? ここからが本番だよ』

『大丈夫ですわマスター』

『はいです! マスター!』


 2匹ともに、万全みたいですし、行きますか! ━━と、その前に。


『蒼空、白夜の事お願いね?』

『はい! 任せて下さいマスター』


 これで安心です。では、参ります! あ、一度言ってみたかったんです。これ。





 坑道を進み、奥までやってきた。そう奥まで!

 なんだよ! 意気込んで入ったのに敵いないじゃんかよ!! 採掘し放題だよ! こんちくしょおおおおお!! 確かに嬉しいよ? 嬉しいんだけど! なんか違ああああああう!! もっと敵を倒しながら合間を縫って採掘する作業だと思ってたのにぃぃいいいいい!! どうしてくれよう? この気持ち!!


『何を憤ってますのマスター?』

『聞いてよ蒼空。敵が出てこないんだよ!』

『それはそうですよ。普通の人もくる場所ですもの、毎朝討伐に誰かしら来てますわ』


 はっ! 言われて見ればそうだ! 普通の地図に乗ってる鉱山の坑道ですもんね。安全に決まってます。


『うん。冷静に考えたら蒼空の言う通りだった。大人しく採掘やるわ』

『はい。それが良いと思いますわ』


 空間収納からツルハシを取り出し、赤い点があるポイントへ振り下ろす。

 岩が飛び散り消滅する。

 次は地面にある赤い点をスコップで掘る。またスコップの上の土が消滅する。

 今度はまたツルハシに持ち替えてジャンプをし、ツルハシを天井の赤い点目掛けて振ると、岩が飛び散り消滅した。

 粗方取り終えたかな?

 辺りを見回して観るも、赤い点は存在しなかった。

 アイテムボックスを開く。

 鉄が42・魔鉄が10・銅が50・銀が11・金が1・鋼が26・魔銅が14・ルビー2個取れました。意外と集まりましたね。ま、ツルハシ2個無くなりスコップも2個無くなりましたが。

 では、用が済んだので帰りましょう。


『マスター! 何かが大量に来ますわ!』

『ほんと? なら通路で迎え撃とうか。ここだと広くて大変そうだし』

『そうですわね。通路で魔法放った方が効率がよさそうですわね。移動した分早く帰れそうですし』

『でしょ? あ、蒼空~。白夜頼むね~』

『はい。マスタ~』

『二人とも呑気過ぎます』


 ごもっともです。はい。ま、蒼空もいるし、なんとかなるだろう。




「ファイヤーカッター。ウォーターカッター」


 火の刃と水の刃がモンスターの群れに向かい飛ぶ。

 正直嘗めてました。大した事無いんだろって。

 確かに、単体なら大した事は無い坑道に入るまでにいた雑魚モンスターだが、数が多過ぎる! 一面埋め尽くす量に、順番待ちの次のモンスター。アイドルの握手かいかよ!


「ファイヤーボール、ウォーターボール」


 火の玉と水の玉を同時に放つと、モンスターの前で合わさり爆発を起こす。


「はっ!」


 爆心地を駆け抜け右手の鉄扇真紅と、左手の初心者扇でモンスターの群れを次々に狩り取っていく。

 そう言えば俺が持ってる扇のギャップが凄い。片や最高峰。片や初心者用。間の装備が欲しいです。

 殴り掛かって来た熊のモンスターの拳を、初心者扇で左に受け流すと、左から来た狼のモンスターに受け流した拳が当たる。


「ギャン!」

「ファイヤーニードル」


 熊のモンスターの額を閉じた真紅で叩きながらファイヤーニードルを放つ。

 火の棘が狼の口に入り喉に刺さって燃え上がる。


『酷い倒し方しますね。同じ狼としてドン引きですわ~』


 なんか外野が楽しげに文句を言ってますが、ほっときましょ。

 白眼を剥いている熊を蹴り飛ばし、後ろにいたモンスターを巻き込ませる。


「ファイヤーボール、ウォーターボール」


 火の玉と水の玉が合わさり再度爆発する。

 今度は飛び込まずに魔力を溜める。


「ファイヤーランス、ウォーターランス」


 魔法を唱えたが、まだ放たずチャージで溜める。

 煙が消え、モンスター達が駆けてくる。


「これで━━」

『マスター! 爆発はさせないで下さい! 崩壊しますわ!』


 げ! マジ!? 普通壊れないようになってるんじゃないの!? いや! でもこのゲームなら崩壊しそう!!


「いけ! ファイヤーランス!」


 最初に火の槍を放ち前線の敵を殲滅する。うわ~。火の海だ。そうか、最初の敵に当たった後、そのまま火を撒き散らしながら進むのか~。チャージ恐るべし!

 火が収まると足に魔力を纏いダッシュし、速攻で距離を詰める。


「終わり! ウォーターランス!」


 後続の敵は水の槍で殲滅する。おお! こっちは敵を押し流しながら、水圧で潰して行くのか! やっぱり、チャージって怖いですね。あ、インフォだ!

 レベルが9に成りました。

 スキル《水》が41に成りました。魔法 (ウォーターフォール)を覚えました。

 スキル《火》が41に成りました。魔法 (ファイヤーフォール)を覚えました。

 だって。流れ的には40で覚える筈なんだけど、戦ってる内に2レベル上がったのかな? よく分かりません。

 う~ん。魔力使い過ぎたな。ちょっと休憩。あ、その間にスキルの成長具合を確認しよう。


《扇Lv21》《鉄扇Lv3》《水Lv41》《火Lv41》《二刀流Lv17》《蹴りLv13》《投擲Lv12》《切断Lv11》《流しLv11》《舞Lv20》《暗視Lv4》《遠視Lv5》《魔力感知Lv23》《魔力量上昇Lv29》《魔力自然回復上昇Lv29》《魔力流動Lv17》《魔力変動Lv17》《纏いLv26》《チャージLv14》《集中Lv15》《挑発Lv10》《ダッシュLv23》《ジャンプLv19》《浮遊Lv12》《信愛Lv15》《召喚(従魔)Lv特殊》《開封Lv MAX》《解呪Lv MAX》《採集Lv12》《採掘Lv7》《庭師Lv1》《隠蔽Lv19》《鑑定Lv31》《耐神Lv MAX》


 序でに従魔との絆も確認しますか。


 蒼空 絆 207/400

 白夜 絆 80/400


 随分上がったな! これが職業効果なのか! 恐るべし!

 あ~あ。まだまだ全快まで時間掛かりそうだな。暇だな~。

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