教えてクルルさん
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いや~。あれから結局バレまして、美紀の髪だけ乾かすなんて贔屓です。明日からのご飯は覚悟して下さいね? お兄様!! っと、脅し━━もとい脅迫━━あ、違った。交換条件を提示されたので速攻で、縦に首を振りました。断じて! 脅された訳ではないですよ? ここ大事!
お、俺の癒し係りが2匹で丸くなり寝ています。蒼空の上にちょこんと白夜が乗っていて癒されます。
『お帰りなさい。マスター』
『うん? あ! お帰りなさいです。マスター』
おや? 起こしちゃたようです。もう少し見ていたかたな~。
『ただいま~。これからクルルに教わりに行くけど行く?』
『待ってますわ。偶にはゆっくり寝たいですしね』
『あたしも待ってます。今までゆっくり休めなかったので休みます』
そっか~。野生じゃ襲われたりしてゆっくり出来ないよな。
『うん。分かった。行ってくるね~』
『行ってらっしゃいですわ。マスター』
『マスター。行ってらっしゃいです~』
見送られながら部屋を出る。そう言えば、まだ部屋の中ちゃんと見てないな。急ぎ過ぎて扉の前までしか行ってないし。帰って来たらちゃんと見よう。
クルル達の部屋の前まで来て扉をノックする。ま、来てって言っても目の前ですけどね。
「待たせた。では行こう」
いつも通り赤い鎧を着たクルルが出てくる。おや? 兜はして無いんですね。ま、魔法教えるだけだから入らないのか? では付いて行きましょ。
「リィーちゃんはいいの?」
「ああ。ロザに頼んである。駄々捏ねて大変だたがな」
リィーちゃんも来る物だと思っていたから、不思議に思い尋ねると、ロザさんが面倒を見てくれてるらしい。ご迷惑をお掛けします。
宿を出てそのまま通りを歩き、西のメインストリートに出ると、そのまま突っ切り真っ直ぐ進む。
へぇ。8時を回っても、まだ店やってるんだ。武器屋や防具屋等に明かりが点いて、openの看板がぶら下がっている。
クルルとわいわい武器屋や防具屋の情報を聞きながら移動すると、何もない広場に着いた。
へぇ。意外だけど明るいな。勝手な想像だけど、真っ暗だと思ってたら、グランド並みの明かりが点いている。
「ここは、この街の衛兵達が訓練する場所だ。あそこに鉄のポールがあるだろ? あれに向けて魔法の練習をするんだ」
クルルが指した方を見ると、確かに鉄のポールが地上から生えていた。
なるほど。あれに魔法を放てばいいのか。
「私からお手本を見せよう。その前に、トータが覚えている属性は、水と火だけか?」
「うん。そうだよ」
「分かった。それでは行くぞ」
おお! いよいよか! なんかわくわくする。
「ウォーターカッター。ファイヤーカッター」
クルルの手から平べったい水の刃が飛び、少し遅れてこれまた平べったい火の刃が飛ぶ。
刃は鉄のポールまで一気に飛び、甲高い金属音を上げて消滅した。
「と、こんな感じの技だな」
「どうやって撃つの?」
「イメージするんだ。カッターをイメージしながらボール系の魔法を飛ばす。そうすると、段々と丸い玉が平らになって行くんだ。まずは数をこなす事だな」
なるほどね。イメージして平らにするのか。よし、やってみよう。
「ファイヤーカッター」
あれ? 何にも起こらない?
「習得してからじゃないと無理だぞ。最初は薄べったい刃を意識しながらボール系の魔法を放つんだ」
ああ、そうか。そりゃ覚えてないのにカッターって言っても出ないよね。では、改めてチャレンジです。
「ファイヤーボール」
火が揺らいで微かに変化しながら飛んで行き、ポールに当たって弾けた。
「おお! やるな! 最初から少し変化したぞ! これなら直ぐに覚えられる!」
なんかクルルが興奮してるがそれより重要な事がある。今やって見て思った。あれ? これ━━魔力変動で行けんじゃね?
イメージして変化させる時の感じが変動と同じだった。ま、そもそも変動事態、魔力で形を創る物だからね。と、言う訳で今度は変動させて飛ばします。
「ファイヤーボール」
唱えると同時に、変動でボールに平らになるように干渉しながら放つと、見事火の刃が出来上がり、ポールに飛んで行き甲高い音を上げて弾けた。あ、インフォだ。(ファイヤーカッター)を習得しましただって。やったね! え!? まだ続きあるの!? 称号【教えを請う者】を手に入れました。だって! また称号系ですね。効果を見て見ましょう。
【教えを請う者】効果・住人から教えを請うと習得し易くなる。『備考』初めて【師範】の称号を持つ住人から教えを受けた者に贈られる称号。
「クルル! やったよ! 習得できたよ! クルル?」
振り返るとクルルが唖然と固まっていた。
な、なに?! どうした??
「な、なんで!? もう出来る!? 可笑しいだろ!?」
て、言われましても、変動覚えてますしね。取り敢えず水も習得しちゃいたいな。ダメかな?
「ぐぬぬ。どういう事か問い詰めたいがマナーが━━」
な、なんか、葛藤してますね。ぐぬぬ。って言う人初めて見ました。ま、まぁ水も覚えてしまいましょ。
「ウォーターボール」
火と同じ様にして水の玉を放つと、(ウォーターカッター)を習得しました。ってインフォが流れた。
「だからなんで!!」
おお。なんかクルルの悲鳴染みた叫びを初めて聞いた気がする。それよりも他にも習得出来る魔法は無いのかな? 是非知りたいです。
「ねぇクルル? 他にも習得出来る魔法あるの?」
「異邦人は皆覚えが早いのか? 嫌、でもそんな話は聞いた事がないぞ?」
なんかぶつぶつ言ってます。とても怖いです。
「と、なんだ? トータ? 考え事してたら聞き逃した」
「あ、うん。他にも有るなら教えて欲しいなって」
「あるぞ。その前に、火と水のスキルレベルいくつだ?」
「えっと、ちょっと待って。う~ん。両方とも39だ」
成長して無かった。ここまで育つと成長するのが遅くなって行くんですね。大変です。
「な、初心者装備なのに内の団員より高いのか!? 本当に何ものなんだトータは?!」
えっと、多分少し武術をかじった普通の人です。はい。
「と、脱線してしまったな。それならニードルとバリアを覚えられるぞ」
「ほんと? なら教えて~」
「分かった。なら見せるな」
クルルはそう言うと俺から5歩離れた。
「ウォーターバリア」
クルルが前に突き出した両手を勢い良く真横に開く。するとクルルを中心として水の球体がクルルを覆い出現した。
おお! 凄い量の魔力を感じる! 大体ウォーターランス5発分くらいの魔力だな。でもこれをウォーターボールから作るのきつくね? 行程が多分面倒過ぎる。
「これもボールの魔法から創るのか?」
「一応はそうだが、実は2通りある。ウォーターボールからの創り方は、ウォーターボールを大きくして、波に飲まれる様なイメージで展開するんだ」
う~ん。こっちはやっぱり面倒だな。やり方はクルルの説明を聞くよりも、ずっと大変だろう。行程としては、ウォーターボールからチャージで溜めてからの変動で一定の硬さを維持し、流動で膨張させて、これまた流動で、波に飲まれる感じで自分の後方へ流し、変動で魔力と魔力をくっ付け膜にするって作業になると思う。それにそんな作業してたら発動するまでに時間が掛かるし、もし発動の時間短縮を、魔力で補ってるんなら莫大な魔力消費だ。まさに絶対絶命のピンチを防ぐ時にしか使えない切り札って感じだな。
「で、もう1つは、ウォーターから堅固な風船をイメージして膨らます。ただし全身から流れでるイメージを忘れないようにな。以上がこの魔法の創り方だな」
おお! こっちの方がやり易い! 流動で魔力を全身に満遍なく行き巡らせながら、ウォーターを使って全身から水を出し、変動で硬さを維持しつつ流動で一気に膨張させるだけで良さそう。うん。やり易い! では早速。
「私のお薦めは前者だな。後者の方がやり易い様に聞こえるが実は━━」
「ウォーター」
唱え後者の手順で水を張るとクルルが見せた。ウォーターバリアと同じになった。
あ、インフォだ。(ウォーターバリア)を習得しました。だって、やったね! 無事覚えられた!
「だから何故だ!! しかも難しい後者で!! 一発で!!」
えっと、どうしよう? これ? クルルさんの精神が不安定になってるんですが? ここは暖かく見守りましょう。ま、放置ってことですね。次行こう次。
火も水と同じ風にしたら無事出来ました。インフォも(ファイヤーバリア)を習得しました。っと、流れました。ありがとうございました。
「クルル? ニードル系の教えて━━」
「あ~はいはい。ニードルね。簡単簡単。ただ針にして飛ばすだけ~。こんな感じで~」
「ファイヤーニードル」
火の針が飛んで行き、ポールに当たり軽い金属音を上げて消滅した。
「はい。どうぞぉ~」
あのクルルさん。なんかやさぐれてませんか? 口調が変わってますよ? なんか申し訳ないです。
「ファイヤーボール」
変動を使いファイヤーボールを針状に変えて飛ばす。針はそのまま真っ直ぐに飛んで行き、ポールに当たり軽い金属音を上げて消滅した。
インフォ来ました。(ファイヤーニードル)を習得しました。だって、続けて水も行きましょう。
ウォーターボールを針にして飛ばすと、無事 (ウォーターニードル)を習得しました。と流れました。
「クルルありがとう。色々覚えられた!」
「そうか。私は教えてる気がしなくて不満だ!」
言い切られた! ま、気持ちは分かります。俺が言うのもなんですが、教えてるって言うより、見せてるだけでしたもんね。メンゴです。
「はい。撤収~。今すぐ撤収~」
ホンと、コレ、どうしよう?




