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邪魔者

「北の平原に入っても代わり映えしないんだな~?」

『当然よマスター? 道を歩ているのに、急に景色が変わったら変でしょ』

「ま、そうだな」


 ワープエリアがなけば、景色が突如一転するとか起こらないか。

 にしても敵が襲って来ないな。平原エリアに入れば、わんさかいるんだろ? と、思ってたのに、やっぱり周辺エリアでも西と北じゃ大違いってことか。


『暇だよ~。何とかして~、蒼空ちゃん』

『無理ねマスター。わたしに恐怖して皆出て来ないわ』

『お前のせいかよ!』

『そうよ。出て来るとしたら本能のない馬鹿モンスターのみよ? うん? 何か来ましたわね』


 蒼空が横の茂みを気にしている。なんだ、ちゃんと敵出て来るじゃん。驚いて損した。


『この臭い。人ですわマスター。わたし小さくなるから後よろしくお願いしますね』


 縮んだ! しかも子犬くらいに。あ、足をがりがり掻き初めた。可愛いな~。


『見てないで、服の内側に仕舞って下さい。子犬連れに見えますように!』


 あ、はい。そんな意図だったんですね。おや? 服って開くの?


『任意でやれば開きますから早く!』


 開くらしいです。にしても蒼空も心を読む事が出来るのか?


『読めませんよ! マスターは戦ってない時は顔に出やすいんです!』


 な、なんと言う真実が! 通りで身内でやるカードゲームとかで負けやすい訳だ!


『そんなどうでもいい事気にしなくていいですから早く!』


 よそよそと、小さくなった蒼空を懐に入れる。あれ? なんで態々懐に仕舞うんだろう? 別に縮むんだから隠れる必要なくない。


『ギクッ! それはほら子犬ぽく見えるからですわ!』

『まんま子犬やん』

『ひ! ち、違うんですマスター! より一層子犬らしく見えるのですわ!! あ! ほら来ましたよ!』


 なんか人が来て安堵してるんだが? 内の狼。


「何奴!?」


 赤をベースにした正に西洋の騎士と言いたくなるような服を着たおっさんが、剣を抜いて構えている。

 違う違う。こう言うのが欲しかったんじゃないんだよな。もっとこうさ、お金になる展開━━じゃなかった。自由気儘な狩りライフが欲しいのであって、こんなトラブルが大きく手を振ってるのは出会いたくなかったな。


「お主は何奴だ!」

「えっと、街に帰る予定の者です」

「街に帰る予定だと! ここら辺は王宮しか無いぞ!? 怪しい奴め!」


 と、言われましても、本当に街に帰るだけで他に予定が無いんだが。それに何なんでしょうね? この高圧的な態度。【輪を産んだ者】どこいった? それとも【神泣かせ】の所為かな? いまいち分かりません。


「う~ん。どうしたら信じてくれますかね?」

「証拠を見せろ!」

「その証拠を見せるの難しくない? 強いて言うなら何もしてないのが証拠。と、しか言えないんだけど?」

「不十分だな! 捕らえてやる!」


 騎士風の男はそう言うと斬りかかってきた。

 後ろに跳んで躱す。

 にしても遅いな。蒼空の方が断然速かったぞ。


「な━━! なに━━!?」


 おや? 躱されたのがそんなに意外かい? 奴さん目をひん剥いてるよ。


「そうだ。騎士団長を呼ぶってどうかな?」

「お前ごときなど私で十分だ!!」


 いや、あなた躱されたばかりだから! どこから来るんだその自信。


「ちゃうちゃう。そうじゃなくて、お宅の団長さんに俺の保証人になってもらうの。どう? この案」

「なぜ内の団長様が、お前ごときの保証人にならなければならない!」

「お前のせいだろうが! 俺だってこんな詰まらない事にクルルを呼びたかないわ!! 鬱陶しい!!」

「━━な?!」

「今から呼ぶから少し待ってろ」


 フレンドリストを呼び出しクルルにコールする。


『あ、もしもしクルル? 聞きたい事があるんだけど、今いいか?』

『どうした?』


 おお! フレンドリストの通話ってちゃんと話せるんだね。チャット見たいな感じだと思ってたから感激です。


『北の平原って、見回りやってるのか?』

『やってるぞ?』

『今さ、その騎士団の人と押し問答してるから来てくれないか?』

『押し問答? 場所は宮殿の奥の林か。分かった。直ぐ行く』

『ああ。頼む』


 通話が切れた。どうでもいいけど、こっちでも切れた時には機会音がするんだね。


「今から来るそうだから大人しくしてろ」

「もし来なかったらどうなるか分かってるんだろうな!?」


 仁王立ちになりおっさんが吼える。


『あんたこそ来たらどうなるか分かってるんでしょうね?』

「ひぃ!!」


 蒼空さんや、落ち付きましょう。あなたの威圧で取り乱してるから。気を紛らわすために撫でとこ。

 それにしてもクルル早く来ないかな。プレイ中の足止めは退屈です。





「すまぬ。待たせた」


 3分が過ぎたくらいで、赤い鎧を身に纏ったクルルが、同じく赤い鎧を着た二人のお供を連れて来た。赤い鎧がこの王国のデフォルトなんだな。派手だね。


「た、隊長!? なぜ!?」


 うわ。明らかに狼狽えてる。自業自得です。


「クルルごめん呼び出して。街に帰る途中だったんだけど、邪魔されて」

「ほう?」


 俺が説明するとクルルの目が細められた。


「ち、違うのです隊長!! 私は怪しい奴がいたから捕まえようと思い━━」

「普通に斬りかかってきたけど? 問答無用とか言って」

「本当か!?」


 おや? 言っちゃいけない事言ったかな? クルルがすっとんきょうな声を出してる。


「そ、それは怪しかったから」

「そんな言い訳が通じる筈無かろう! 騎士団の掟に反する! 忘れたのか!」

「い、いいえ覚えて下ります! 何人足りとも無闇に剣を向けるべからず!」


 うん? クルル出会った時、普通に斬りかかってきたよな? 話しがややこしくなるから言わんが。


「そうだ! なのに貴様は━━! もういい連れていけ。処分は謹慎七ヶ月だ!」

「ま、待て下さい。隊長!!」


 あらら。両手を掴まれて、連行されていちゃいましたよ。


「すまなかった。見習いが世話を掛けたな」


 クルルが頭を下げて謝る。俺的にはそんなに気にして欲しくないんだよな。


「別にいいよ。俺的には街に帰れたら問題ないから」

「いや、だが迷惑を掛けたからにはお詫びをしないと」

「謝ってくれたし別にいいんだけどなぁ」

「そうは言うけどな。個人的な事なら、ご飯をご馳走するとかで良かったんだが、今回は騎士団の事だから、内々には出来ないんだ」

「面倒臭いな。う~ん。なら鉄扇の情報をくれ。俺にとって最良の利益だ」


 探し求めてるし丁度いいや。それに多分最初の街じゃあ見付けにくいと思うしね。


「鉄扇だと? 珍しいな。扇なら見掛けるが、鉄扇と言ったらあまり目にしないな。確かここいらだと、東にあるラクララタウンで、作っていたと思うぞ?」


 ラクララタウンか。なんか気楽な人が多そうな名前だな。ま、問題は距離だな。


「どこらへん?」

「そうだな。東の平原を越えて、渓谷が見えたら渓谷にそって南下すると、ゴツゴツとした岩肌だらけの要塞が見えてくる。そこが目的地だ」


 なるほど。さっぱり分からん。ただ遠そうって、事だけ分かった。

 さて、どうしたもんか?


「明日でいいんなら一緒に行けるぞ? 丁度そこの街へ、武器の仕入れに行くんだ。お詫びもかねてだが、よかったら一緒にどうだ?」

「うそ!? マジ!? ラッキー!! 行く!!」

「早いな!」


 こういうのは即断すべきと昔から相場が決まってるのですよ。うん? あれ? インフォ?


 イベント。【騎士団とのお使い】(難易度不確定)を受理しますか? このイベントは受理されました。


 うん? うん?? うん?! いや可笑しいでしょ!? なんで返事してからインフォ出るの!? 受理しますか? から、受理されましたなんて一文の内に終わってるじゃん! なんなのこれ!


「よし。決まったな。では明日の何時から行くか? トータに合わせる」


 あ! と言われましてもえ~と、明日の予定は確か学校が午前中に終わるからえ~と、1時からなら大丈夫だな。


「午後1時で」

「分かった。だいだい半日で着く行程だからそのつもりでいてくれ。それと滞在は1日~2日の予定だ」

「う、うん。分かった」


 何か呆気に囚われている内に決まってしまったな。大丈夫かな? 色々と心配だ。


「ところでその子犬可愛いな。触らしてくれないか?」

『いやですわ!!』


 嫌、見たいです。





 あれから直ぐにクルルと別れて始まりの街に来ました。魔力回復が早まったので、纏いと変動と流動を、周りに見えないレベルで、熟練度上げに勤しんでます。そう言えば、ここ勝手に始まりの街とか読んでるけど、正式名所なんだろう? 今度調べてみよう。

 そうそうあの後クルルがこの世の終わり見たいな表情で、瞳を真っ赤にしてたのは内緒です。

 にしても、なんだろう? さっきからやたらと、こっち観られてるな? 蒼空の所為かな?


『言っときますけど、私のせいではないですからね。そもそも今使ってる気配遮断は、魔法と混ぜての特別製なので、他の人達では気付けないですわ』


 おお! 流石は蒼空さん。スペックが違い過ぎます。

 う~ん。蒼空じゃないとなんだろう?


『なんか、最弱王とか、兎相手に奇跡の10連敗したヘッポコ君とか言われてますわよ?』

『あ~。それか。蒼空には話しとかないと━━と言うより、話しときたい事があるんだよね。仲間として━━さ。だから━━怒気抑えろよ。皆震え出してるから』


 蒼空を優しく撫でる。周りの目なんか気にしない。例え周りから蒼空が見えなかったとしても。まだ出会った事のない奴より、今一緒にいる狼の平穏の方が俺に取っては大事だ。


『分かりましたわマスター。でも、襲ってきたら容赦はしませんわ』

『うん。分かった。その時は蒼空に任すよ』

『ありがとうございます。マスター。では話しをどうぞ』


 近くのベンチに座り、俺は今まで起きたことを蒼空に聴かせた。ま、一部神が出て来る当たりは信じてくれなかったが、称号とフレンドリストを見せたら、信じられないって呆然と溢してたけどね。


『それでマスターはどこに行くんですか?』

『まずは落ちて、戻って来てから職業センターへ行くよ』

『なるほど。それでは後ほど』


 そう蒼空が挨拶をした時、それは起きた。ま、そんな起きたって言うほどの事じゃないけど。


「あ、お前最弱王だろ? よくそんなアダ名でプレイ出来るよな? 10死とか俺なら恥ずかしくてヤメてるぜ」


『うんじゃまた後でな蒼空』

『ガン無視ですの!?』

『うん? なにが?』

『目の前の━━って、もういいですわ』


 変な蒼空。

 うんじゃログアウトしますか。


「ぷっ。それなのにまだやってるって」


 ログアウトっと。

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