いざ地上へ
おはようございます。よく眠りました。時刻はもう1時です。
「あ、お兄様おはようございます」
「あにぃおはよう!」
「おはよう翔ちゃん」
リビングに入ると珍しく皆揃っていた。
「お兄様お昼お持ちしますね」
と言うと舞衣は立ち上がり、あっと言う間にチャーハンとウーロン茶を持ってきてくれた。本当に出来た妹です。
「皆でなんの話ししてたの?」
「ボス攻略の話し! 西のボスは倒したから、今度は東と南どっちに行こうか話してた!」
おお。ボス討伐の話しか、俺にはまだ先だな。職にすら付いてないし。そもそも地上にいないしね。
「東と南でボスの強さって変わるの?」
「強さ的には一緒ね。属性が違うのよ」
「属性?」
「そう。東が土で、南が水ね」
いまいちピント来ないな? 属性が違うと何か違うのか?
「ふ~ん。一緒に行くの?」
「いいえ。わたくし達はわたくし達のパーティー、星姉様は星姉様のパーティーでいきます」
うん? 幼なじみーズが抜けてるな。
「あれあいつらは?」
「逸夢さん達は逸夢さん達のパーティーでいきますよ」
皆それぞれ順調に進んでますね。俺も普通にプレイしたい。
「それにしても、翔ちゃんにしては起きるの遅かたじゃない。どうしたの?」
「いえ。ゲームの中でちょっとありまして」
「どうしたの? 手伝おうか?」
星ねぇが心配そうに尋ねてくれたけど、どうやったら地底に行けるのか分からない。それに後は帰るだけだしね。
「なんも問題無いよ」
「本当? 何かあったら直ぐに言うのよ」
星ねぇさん過保護過ぎますよ? それじゃ。
「さてと、そろそろゲームに戻りますか?」
「なら、俺も」
星ねぇが立ったのに合わせて、食器を流しへ持っていく。
「お兄様。後はわたくしが洗っておきますので」
「本当? いつもありがとう舞衣」
「ふふふ~。わたくしがしたくてしているだけですから」
なんて良く出来た娘なんでしょ。うん? 少し前に同じコメントしたか? ま、いいか。
「舞衣と美紀はプレイしなくていいのか?」
「待ち合わせしてるからもう少ししたら入るよ!」
「分かった。なら先行ってるな」
俺はそう言うとリビングを後にした。
ログインしました。え!? 何!? 女神が覗きこんでるんだけど! なんなのこの状況!?
「ふむ。起きたか」
いや、起きたか? じゃなくて! 何で覗き込んでるの!? ん!? むにゅとした柔らかい感触が?
「膝まくらしているからな」
なんで!? セクハラコードは!?
「女神に通用する筈無いだろ? と、言いたいが、フレンド登録のお蔭だ」
あまり覚えてないけど、ログアウト前にしたような気がするけども! なんで!? 膝まくら?!
「うん? したかったからだ」
そっか~。したかったんならしかたないな。
「ってなるかい!」
「あ、起き上がっちゃた。残念」
「残念って━━」
「そんな事より自己紹介をしよう」
く! 遮られた! ま、いいけど。で、自己紹介って今更だな。多分、称号観られた時に知られたと思うし。もう既に呼ばれてるし。それにフレンド登録もしてるしね。
「そうだが、どうせなら自分で名乗りたいし、トータにも名乗って欲しい」
ま、そんくらいいいけど。
「おお! そうか! 私の名はルミリシアだ。愛しい子よ」
愛しい子ってなんだ? 愛しい子って! ま、いいや。触れたら大変そうだしスルーしよ。
「トータです」
「それだけか? 他に何かないのか? ルミリシア綺麗だ。とか、ルミリシア好きだ! とか、ルミリシア愛している! とか、結婚しようルミリシア。とか、因みに手を取って、瞳を見詰めながら言うのがポイントだぞ?」
「ルミリシア長いです。地上に出ようルミリシア。面倒ですルミリシア」
「相変わらずぞんざいに扱いよって!」
は~い。ではここで手に入れたスキルの効果を見ていきましよう。
「こら、無視するでない!」
なんか外野が五月蝿いけどほっときましょう。では、こちら。
《二刀流》効果・武器を両手で扱えるようになる。
《蹴り》効果・上手く蹴る事が出来る。
《投擲》効果・物を上手く投げる事が出来る。
《舞》効果・流れるように踊る事が出来る。チェインを繋げれば繋げるほど与えるダメージの上昇。『備考』このスキルは《躍り》の上位スキルです。※神に捧げる事ができます。
《魔力感知》効果・魔力を感じ取れるようになる。
《魔力流動》効果・自分の魔力を自由に動かせるようになる。
《魔力変動》効果・自分の魔力を変形させらるようになる。
《纏い》効果・自分の魔力を使用した物全てを纏う事が出来る。
《チャージ》効果・魔力を溜めれば溜めるほど魔法とアーツの威力が上昇する。
《集中》効果・集中力を上げる。
《開封Lv MAX》効果・あらゆる封印を解く事が出来る。※このスキルは任意で有効か無効を切り替えられます。
《解呪Lv MAX》効果・あらゆる呪いを解く事が出来る。※このスキルは任意で有効か無効を切り替えられます。
なんだけど。開封と、解呪だけ、レベルがマックスで切り替えられるのはなぜだろ?
「エクストラスキルだからな。称号関係で手に入ったスキルは、レベル最大の任意切り替え付きだ」
ですって、先に称号から確認すれば良かったかな? 過ぎた事はしょうがないから称号を見てみましょう。
【救世主】効果・守りたい者がピンチの時。ステータスを倍加する。『備考』絶対絶命のピンチに陥った住人を助けた証。※この場合は神を助けた事から入手しました。
【神の封を解きしもの】効果・エクストラスキル《開封》《解呪》が手に入る。『備考』神が掛けた封印と呪いを解いた者の証。
【絶望への挑戦者】効果・不可能に近い物に挑んだ時、攻撃力と防御力倍加し、勝利時に経験値を通常の倍得る。
だそうです。いや~。倍加ばっかりですな。手抜きか!
「他にコメントないのか?」
ないです。
「ま、いいが。それより扇を見た方がいいぞ」
「うん? 扇? あ、なんかMAXになってる。なんで?」
「そりゃ、1万回以上も振って尚且つ神の封を壊してるんだ、初期のスキルなんて楽にカンストするに決まってるだろう」
「なるほどね。お、なんか上位スキルに変えて下さいって出てる。えっと、鉄扇と大扇? 詳細見よう」
《鉄扇》効果・鉄で出来た扇を扱えるようになる。※鉄扇はカスタマイズ可能です。
《大扇》効果・大きな扇を扱えるようになる。※大扇のスキル効果のある扇は1m以上からです。
「う~ん。鉄扇取ろう。あ、扇もまた取得可能なんだ。しかも2ポイントで取れる。取得と。他のスキルは水が34で火が35に成ってるな」
あ~あ。残りボーナスポイントが10になってしまったな。
「いや、迷いなく取り直した奴のセリフじゃないな」
そうそう扇スキルにアーツが出て、火と水に新たな魔法が出ました。
(斬鉄)(カウンター)(幹竹割り)(飛斬)(乱れ吹雪)が扇で、(ファイヤーシールド)(ファイヤーランス)が火で、(ウォーターシールド)(ウォーターランス)が水で出ました。
これは詳細みても習得したレベルしか出ませんでした。どんな技なのかは使ってからのお楽しみだな。ま、名前で殆んど分かるけど。
おおそうだ。習得したレベルだたな。うんっと、左から10で覚えてそれから10づつ上がるに連れて覚えるようです。おや? なら扇はLv50でカンストだったんだな。
「それよりも、なぜ魔力流動と変動と纏いが使えたのかだ?」
あ、やっぱり覚えてた? しょうがない話すか。
「簡単に言うと婆さんに教わった。婆さん元巫女で武術の達人だったんだよ。で自分の中に感じる力、気って呼んでたな。ま、この世界だと魔力と同じでしょ?」
「そうだ。気を魔力と呼び変えている」
どうやら正解らしい。ま、最初に魔法を放った時に、もしかしたら━━っと、疑問には思ってたけどね。
「で、流動はその気を自由に巡らし、纏いでそれぞれの部位に留めるって教わった。変動はその応用でしょ?」
「いや、確かにそうだが、言うほど簡単ではないぞ?」
「うーん。ま、子供の頃から死ぬ思いで覚えたからな~。それより地上に戻らない? この場所飽きた」
「千年封印されていた私になんて言い草だ。分からなくわないがな。では地上に行くぞ」
ハグされました。優しい甘い匂いが広がってます。ってちょっと待て! なぜ急に!?
「転移するためだ」
いや、握手とかでどうにかならないの!? 凄く恥ずかしいんだけど! それにルミリシアの身体の感触がダイレクトに!
「そうか。嬉し恥ずかしいんだな。トータ照れてる姿も可愛いぞ」
お願いだから心を読まないで~!!
「無理だ。女神特権だ。では行くぞ」
ルミリシアの合図を聞くと目の前が暗転した。
「ここは?」
緑の香りがそこら中から漂って来る。辺りを見回すと見慣れない森の中にいた。
「第2エリアの、北の山の麓の樹海だな。北の平原の右端を越えて二百メートル進んだ場所だ。どうも妹の奴が細工したらしい。直ぐ駆けつける為だろう」
「もう来るの?」
「まだ少し時間はあるはずだ。北の平原まで送り届けてやりたかったがすまぬ。身を隠さねばいけなくなった」
「うん。分かったから早く行って。それと放して」
「む? しょうがないか」
やっと放してくれたよ。メリハリのある身体で正直役得でしたが、理性を保つのが厳しかったです。
「ふふふ。嬉しい事を言ってくれるじゃないか。さて、この道を行くと北の平原に出る」
そう言うと、ルミリシアは左の獣道を指した。
「分かった。ありがとう」
「うむ。私を助けてくれてありがとうトータ。また会おう愛しい子よ。これは私からのプレゼントだ。ではさらば!」
そう言い残すとルミリシアは姿を消した。あ、インフォ称号【慈愛の神ルミリシアに愛された者】とスキル《隠蔽》を手に入れましたとさ。今度は称号から見てみましょう。
【慈愛の神ルミリシアに愛された者】効果・全ての生き物から好かれ易くなる。一部スキルが変異可能になります。『備考』慈愛の神から愛された証。※時々連絡しないとストーカーとなる恐れがありますのでご注意を。
え?! 何この称号!? なんか怖いんだけど! てかほぼ祟りじゃねぇか! 面倒臭いの寄越しやがって!! 次だ! 次!
《隠蔽》効果・スキル 《看破》からステータス、スキル、称号を隠す。『備考』貴方のルミリシアからのアドバイス。このスキルがあると、文字の濃さを調節出来るから隠したいのを薄く、見せても良いものを濃くすると、低レベルでもバレにくくなるぞ。以上。貴方の愛しいルミリシアからでした。あ! この文字一回見ると消えるからな。
有り難いけど! とても有り難いんだけども! 貴女のとか、愛しいはいらないだろ! あ、文字が消えた。
なんだろう? ルミリシアに掌で踊らされてる気がする。
あ! そうだ確か今俺のいる場所って、危険地帯じゃなかったけ? クルルが言ってた気がする。
よし。エクストラスキルを全部有効にして、ルミリシアが驚いてたスキルと見つかると面倒そうな称号を━━って、輪を産んだ者以外全部見せられないじゃん!
いいや、それだけ一番濃くして、後激薄にっと、これでOK! では街に戻りますか。




