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モノクロイラストレーション  作者: 峰白麻耶
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春休み最終日の地獄

よろしくお願いします。

とある一軒屋の一室。その中ではささやかなにアニソンが流れ、聞い少年の前にはパソコンとペンタブがある。少年は切羽詰まった表情でペンタブに腕を走らす。そこに描かれて居るのは、少年が担当している作品のイラスト。そこに描かれてのるは、主人公とヒロインがキスをしている、ただし残っているのは、顔と上半身だけ。他の人が消えた光の粒子となり空に上がる。場所が夕焼けの校舎の屋上で2人だけと言う状況を描いたものだった。


両手にペンを持ち、物凄い速度で動かしているこの状況を他人が見れば、言葉を失い次にこんなスピードで絵を描ける分けがないと言うだろう。しかし実際に絵は描かれ、まるでその場面を見たかのごとく再現されてる。それが少年の絵の実力を正確に表していた。少年は、一息つくために、近くに置いておいた缶の甘酒に手をのばすところで携帯がなった。


「だー!締め切り近いってのに誰なんだよ!一息ぐらいつかせてくれ」


その少年の声は徐々に尻すぼみになっていき最後にはほとんど聞こえなくなっていた。だぼっとした長袖長ズボンを着ていてその上にパーカーを羽織りそれに合わない羽ペンのネックレスを首に掛けている少年……黒埼麻白はパーカーのポケットに入れたスマホの着信画面を見て、ため息をつくと電話に出た。


「おっはよーんなのだよましろくん。おねーさんは直ぐにでてくれなくて悲しいよ~」



謎のハイテンションとロリっぽいアニメ声。この人が俺の担当で仕事を与える天使でもあり、締め切りを与える悪魔こと白石香奈さんだ。これでも有名作家を担当する若手のルーキー(本人談)らしい。


「いきなりおねーさんぶらないでください」

「うう。反抗期なのだ~。おねーさん悲しいよ。あの頃は私について離れなかったのに」


シクシクと受話器から音が聞こえるが、十中八九俺で遊んでる。この様子だとよほどストレスがたまってるのだろう。それにプラスよくある深夜テンションならぬ徹夜テンションでおかしくなってるのだろうというより


「そんな過去はありませんしそもそも姉弟ではないでしょ」

「……」


あれ?少し強く言い過ぎた?いや、でもいつもの会話だしな。


「うわーん。まともな対応が私の心を和ますのだーー。」


さっきまでどんな作家相手してだんだよ。


「それより俺を弟呼ばわりするために電話したわけではないですよね。仕事の話ですよね」

「あ、ごめんごめん。こほん。あまざけ先生。どう?赤桐先生恒例の強行スケジュールだったけど終わった?」


あまざけと言うのは俺のペンネームならぬイラストネームだ。


ついでに赤桐先生と言うのは今さっき俺が描いていた作品の筆者だ。題名はhuman continue。そこは定期的に人が消える世界。理由は諸説あるが地球の防衛本能と言うのが濃厚だ。地球温暖化の原因は人が居ると言うことを判断した地球が一時的に人を排除し回復を計る。そこでは世界が終わると決まりがある。ではなぜ世界が終わる日があることを人々は知ってるのか?元を正せばそれは新しく出来る前の世界を死る人間が産まれてくるからだ。しかし知能と言語を持った人が出来ればその人間の価値はほぼ0、だが主人公はその人の破滅を知るたった1人の人間だ。主人公は、1人無気力に生きていた。ボーと学校の道に行く道歩いてるとそこにさっきキスをしていたヒロインが自転車で現れて、轢かれる。そこから何だかんだで主人公は変わり恋をするという話しだ。電話にでる前に描いていたのは人が消えるところで、ラストは、新しい世界でヒロインが自転車で主人公を轢くイラストで終わる。


「4徹して終わらせましたよ……殺す気ですか?絵を描くのが好きだからこの仕事やってますけど限度がありますよ。」

「うそー。4徹で終わる量じゃないのだ。最終巻だからカラー4にモノクロ7。しかも特典のブックカバーとミニポスター、イラストカードも数種類やらないといけないのに良く終わったのだ。と言うより人間じゃないのだ」

「腕が本当に痛いですよ。目も重いですし、何より怠いです」

「それは徹夜に慣れると達成感に変わるのだ!ついでに先週は寝てないのだ!」

「さっきの言葉そっくり返しますよ。」


7日間寝てないとか人間じゃないよ。サイボーグかよ。


「いやーでもこの作品の担当がましろくんでよかったのだ。他のイラストレーターだったらもしかしたら落とす所だったのだ。牛丼は、速い、旨い、安いだけど、イラストレーターは速い、上手い、締め切りを破らないなのだ!赤桐先生も感謝してたのだ。最終巻のプレッシャーで書けなくなってやっとの思いで終わったと思ったらそのせいでイラストが間に合わない。今回は流石にヤバい。あまざけ先生でもヤバいって慌ててたのだ。あの時の慌てようを見れば飯5杯はいけるのだ」

「鬼ですか!と言うか赤桐先生に締め切り守れって言ってくださいよ!前作品のイラスト担当泣いてましたよ!」

「あっおねーさんに向かって失礼だぞ!」

「だからおねー「あっ。赤桐先生に連絡するからバイバイーなのだ。イラストはいつも通りよろしくなのだ。あと学校頑張るのだ!今日から新学期なのだ。ファイトなのだ。」


     ツーツー


「はぁ。いつも通りだな。赤桐先生が締め切りを最後まで守ることは無かった。シナリオはいい変わりに締め切りを守らない。ギリギリでシナリオに釣り合うイラストを短時間で描かないといけないのにそのことからイラストレーター殺しと揶揄されるのは最後まで同じか。」


…………さっきの白石さんの中に不幸な単語があったような。


部屋のカレンダー見て確かめる。今日は4月6日月曜日。その日を見ると締め切りと赤く囲ってある。そしてまるで今この現実を逃避するかのように始業式と言う3文字が並んでいた。


「マジカヨ。」


時計は午前5時。高校は自転車を使えば10分で着く。クラスは始業式後に発表されると終了式で聞いたから、いつも道理でいい。つまり……


「あと3時間15分の睡眠を取れる事に感謝しよう。」


椅子から立ち上がり死人のようにベットの方に歩き倒れ込むと近くに置いてある目覚ましを手繰り寄せ8時15分にセットした瞬間にストンと意識が落ちた。







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