第12回
そう。博麗霊夢は山田霊夢として、この世界では生活をしている。
母「あら、その可愛いワンピースどうしたの?」
霊夢「う、うん。友達から借りてるの」
母「そう~よかったわ、最近霊夢ちゃん。ずっと、こす、ぷれっていうの?ずっと派手は服を来て学校も行かなくなっちゃって、お母さんどうしようって思ってたの」
霊夢「ごめんなさい、お母さん」
母「まあまあ、反抗期は誰にでもあるわよ。さあ、今夜は何が食べたい?」
霊夢「うーん、ハンバーグ!」
母「霊夢ちゃん」
霊夢が学校に行かなくなった理由は単純明快だ。そもそも自分がどこの学校に通ってるのかなんて知らないからである。そして、歩いていると辿り着いたのが、魔理沙と早苗の通う学校だったわけだ。しかし山田霊夢は違う学校に通っているらしい。
そうこうしているうちに、コタツの上にハンバーグが並ぶ。
母「いただきます」
霊夢「いただきます」
この家は、母と私の二人暮らしである。最初にこの世界に飛ばされた時、霊夢はこの家のコタツに飛ばされていたのだ。父親は居ない。なぜいないのか聞きたいが、母は私のことを昔から育てている娘だと思っているから、簡単には聞けない。裕福でもなく貧乏でもない。普通の家庭だ。ここにきて3日ほど経っているが、霊夢はこの母の裏表のない人柄に惹かれていた。
霊夢「ふぅ、食べた食べたぁ」
母「おそまつさま」
霊夢は食べたあとすぐに横になった。
母「まぁ、霊夢。牛になっちゃうわよ」
霊夢「ごめん、ちょっと疲れてて」
それは嘘ではなかった。霊夢は早苗の家で使った自分の能力の影響で、かなり体力を消耗していた。
霊夢「(幻想郷にいたころより、身体も重いし。全然空も飛べないし……、まあこの世界ではそんなことができる人間自体がいないのだから、普通なんだろうけど)」
霊夢は仰向けになって天井を見上げた。見慣れない照明がある。それにしても謎だ。私は霊夢だ、博麗霊夢。だけど私にはこの世界では私が認識していない過去に山田霊夢としての記録がある。私の記憶にはない。
私の部屋には、少女漫画がある。そしてこの世界では当たり前のように使われているというパソコンとケータイも持っていた。当たり前だが、操作方法などは点で分からない。しかし、早苗は分かっていた。早苗はあたかもこの世界で普通に生きていたようなふるまいをする。おそらく魔理沙もそうなのだろう。




