第6回
辿り着いたのは中有の道。この道は三途の川へと繋がっているらしい。最近は地獄の経済があまり良くないらしく、道の途中には多くの屋台がある。今日はお祭り。依頼人の想い人はここで待ち合わせをしているらしい。
「なんとか雨も降ってるみたいで良かったわ」
「よし小傘、化けてくれ」
「わ、分かったよぅ」
「うーん、緊張します、霊夢さん、魔理沙さん、小傘さんよろしくお願いしますッ…!」
煙をもくもくと立ち上げながら、傘に化けた小傘。
「この傘が、ミラクルを起こしてくれるわ!」
「多分、だけどな!」
小傘を差す依頼人。さっそく屋台に紛れた想い人を探し出した。遠くで様子を伺う霊夢たち。雨も降っているのであまり人混みになっていないのが幸いだった。すぐに想い人は見つかったようだ。
「おまたせです!って、なんで雨降ってるのに傘差して無いんですか?」
「おお、来たか~。ほら、美味いぞコレ」
「わあ、美味しそうな焼き鳥…お腹すいてたんです」
無邪気に焼き鳥を食べる依頼人。あの~、目的を忘れないでよ?
「雨のことなら気にするな、自分の頭上だけ雨を降らさないぐらい造作も無いからな」
「でしたね。でもちょっと服、濡れてますよ」
「酒のせいかな」
ほろ酔いで、ふらっと依頼人の元に身体により掛かる想い人。相当飲んでいるみたいだ。
「(お、お酒臭いっ…!)」
さっと依頼人の指からすり抜ける小傘。何やってんの!
「もう、飲み過ぎですよ」
「わりぃ、ちょっと横になりたいかも」
しとしと降る小雨を浴びながら、二人は近くの小屋の椅子に向かった、雨が止むまで雨宿りをすることにしたようだ。
「そういえば、この前の宴会は飲んだよな~」
「そうでしたね、あの時なんて大変だったんですから!お片づけ」
「悪い悪い」
「それと私のこと、妹みたいで可愛いって言ってましたよね?」
「妹なぁ、言ったような言ってないような…」
「ええ~?そんな適当な…結構、私気にしてるんですから!」
「気にする?なんで?」
「も、もう!なんでもないです」
物陰からこういうラブコメみたいなところを覗くのは、案外楽しいな。今はあまり爆発しろとは思わない。
「でも妹ってよりかは」
「?」
そこで突然依頼人の髪に触れる想い人。
「キャッ…」
「あ、すまん…」
「いえ、気にしないで下さい。いきなりだったから…」
「すまん、ちょっと綺麗だったから、触ってみた」
「普通触りたくても触りませんよ?」
「悪い、でも我慢できなかったってか…綺麗だよな緑の髪」
「そ、そうなんですか、ありがとうございます…」
おい!おい~!こっちまで心拍数上がってきた。
「(霊夢、これもう完全にGOじゃね……?おい、霊夢~?)」
反応する余裕も無かった。