第16回
「ああ、お忍びで町を散策するための道ね」
「そうですそうです」
そういいながら、ゆっくりと薄暗い道を歩く。
「もう少し歩けば、確か食堂に着きます。なるべく物音はたてないでくださいね」
そう言うと、食堂らしき場所についた。
「ここの料理人はある一定のパターンで歩くので、ちゃんと見極めてから動いて下さい」
「ああ、そういうスネークっぽい要素もあるのね」
料理人はある一定の料理を作ると、素材を運び調理をする。
本当にワンパターンだ。
「よし、今です!」
罪袋がそういいながら、走りだすと、料理人の頭に『!』の文字が浮かび上がった
「貴様!またか!」
おいおい、またかって……結構あんた捕まってるんじゃないの。
「す、すいません!すいません」
ひたすら平謝りをしている罪袋。
仕方ないな、でもこちらにとっちゃ好都合。このスキに私はここを無事抜けることができた。
「(霊夢、なんか妖夢が話があるっていうから、代わるわよ)」
「あ、うん」
普通に天の声の中の人が入れ替われるってなんだか変なはずなのだが、よく考えたら2Pのマイクから声を出しているだけなので、誰だって天の声になれることに気付いた。
「(こ、ここに話しかければいいんでしょうか?)」
「(そうそう、あんまり近づいたり、大声出したりしたら、テレビのスピーカー壊れちゃうから気をつけてね)」
妖夢と輝夜の話し声が聞こえる……どうやら妖夢は気絶から復帰したようだ。
「(霊夢さん、聞こえますか?」
「聞こえるわよ」
「(実は大変なんです、なんだから外の天候が少し悪くなってきてまして……)」
「雨か何か?それがどうしたの?」
「(それが、雷でして……)」
「ふむふむ、それがどうしたの?」
「(このゲーム、セーブやロードが出来ないから、もしかしたら停電なんかもありえるかも、と思いまして……)」
「な、なるほど……」
停電なんて起きたら、私達どうなっちゃうんだろう。雷の日は確かに停電はつきものだ。
「(そ、それって超ヤバイじゃない!私だって昔のセーブができないタイプのゲームを、雷の日にやって、全クリ間際で、リセットされたことがあったわ……もう、その悪夢を繰り返すことなんて、ダメよ!!)」




