第13回
「ここは通行証を持たない者は入れぬ。帰った帰った」
門前払い。
「どうすればいいの?輝夜」
「(そうねー、こういう時は誰か町の有名な知り合いとかがいて、その人に書いてもらうとか。それか地下から侵入するとか、乗り物に乗って上から大胆に侵入するとかあるわね)」
「どれも面倒臭そうね……」
「(あんたの得意な強行突破は、ゲームの中じゃ無理よ)」
「ぐぬぬ…」
仕方ない。じゃあ一番楽そうな地下から侵入する的な、裏口を探すことにした。城の周りをぐるっと一周回る。が、手がかりのようなものは特になかった。
「はぁ、無駄足だったわ」
「(霊夢、RPGに無駄足はつきものよ。むしろ今の時代、攻略本がゲームの発売日と同時に出る自体、私はナンセンスだと思うわ。けれどそれも需要と供給の時代、情報社会の波には抗えない。若者は攻略本よりも詳しく、同じ目線で描かれた“ウィキ”を頼るようになってしまった。もう何もかもがおしまいよ。電話で友達に『ここどうやって抜けるの?10時間ぐらい迷ってるんだけど、さっぱり分からん!』などというコミュニケーションも無くなってしまっている。そう、昔からRPGは一人でやるものだったけど、そこには友人同士の『どちらが先にクリアするか?』という争いや情報交換などがあったの。ああ、それなのに……」)」
「話長いわよ……」




