第21回
「あ、昨日のさとりの話、もう記事になってる」
「早いなぁ、さすがマスコミはハイエナだな」
呼んでもないのにいる魔理沙。今日も暇なのだろう。
適当に空を飛んでいたところ、私を見つけたそうだ。
「な~。あ、なんかあっちの方に知ってる顔がいるぞ」
「あれは、文とはたてかしら…」
「またいがみ合ってるよ、懲りねえな」
「ま、喧嘩するほど仲がいいとはこのことね」
いつもと変わらない日々だ、と思っていたが、そこからは少し想像とは違っていた。
二人はきょろきょろと辺りを見回している。
「ん?なんか様子が違うぞ」
「あ、なんかあれは……」
「あ、手繋いだ……」
二人は、どこかへ出かけているように見えた。
「アイツら二人で出かけるような仲だったんだなぁ」
「いやぁ、そんなことなかったと思うけど」
「ライバル同士じゃなくなったのか?へぇ」
「いや、それ以上に私は見えるけど」
「んん??ってことはこれスクープじゃね?」
「そうね、でもあの二人の関係が発覚しても、広まらないわよね」
「なんで?」
「だって、幻想郷唯一のマスコミ同士よ?誰が記事にするの」
「確かに!ズルいな……」
「ま、そっとしといてあげましょう」
それから、文とはたての新聞は、方向性は変わったもののより描写がリアルになり、読み応えを増した。
まさに経験者は語るといったところか。
幻想郷は今日も平和だ。はぁ、ほんと異変起きないかしら……
終
(次回から「零れ桜」です)