第19回
「風邪が治ったら、また嫌われ者になるから……」
「さとり様~!」
泣きながらさとりに抱きつくお燐。
「たとえどんなに嫌われたとしてもお燐は一生さとり様についていきます!だから、どうかそんなバカなマネはおやめください!」
「ダメよ、私は引きこもってるのこそ私だと思ってた。でもサードアイが閉じたことで分かったの。もっとアンタたちぐらいに、仲良くなれる人がこの幻想郷にはいることを…」
「でもでも~びえ~~」
さとりは涙を流すお燐を抱きしめた。
「さとりが悟ってる…」
誰よ、言ったの。それは我慢すべきでしょ。
「「イイハナシダナー!!!」」
文とはたてが必死に記録している。写メを撮ったり。文章に起こしたりしている。
「嘘発見器目当てで来たのに、なんだかなぁ……」
なんかハートフルな記事になりそうだ。
「構いません!こらはたて、これは私が記事にするんだから、アンタはあっちいってなよ!」
「は~?元々私が掴んだネタだしー!アンタこそこういう記事はあんたの新聞向いてないわよ」
「なんだってー!?」
「やるかー!?」
まーた喧嘩してる、子供か。
「ふふ、仲のいい二人ね」
さとりが微笑む。
「今のどこがー!?」
「いや、どこからどう見てもそう見えるけど……ねえみんな?」
私含め、天狗以外はみんな無言で頷いた。
「えええ~?!そんなわけないです!ねえ?はたて」
「そーだそーだ!こんなヤツと仲良かったら、今の幻想郷の新聞のシェア争いは起きてないです」
「でもせっかく同じ天狗同士仲良くすればいいのに……」
「「無理です!」」
呆然とそれを見つめるお燐。
「はわ……なんか、さとり様普段よりお風邪を引かれてる時の方がステキかも」
確かに。普段より温厚だ。私には少し気持ち悪いが。