第18回
「なんか、風邪を引かれた時から、おかしくなってて」
「風邪?」
「うん、長びいてるんだよ風邪が」
「その時からおかしいの?」
「そうそう、サードアイの方も目を閉じちゃってて、心が読めなくなっちゃってるみたいでそしたら心も読めなくなっちゃって」
「ふむ、そんなさとりなら話すのも悪くはないわね」
「ただいまぁ~」
噂をすればさとりが帰ってきた。
「あ、おかえりなさい、さとり様!」
「お客?なにやら面倒くさいのが居るわね」
「いやはは、おじゃましてます」
居心地が悪そうにお辞儀をする文たち。
「さとり、あんた風邪だってね」
「そうなの、今も熱っぽくて」
サードアイも辛そうに目を瞑っている。
「そのせいか、全然心も読めなくてね」
「なるほどね」
「それで、生活に困るかなぁ~って思ってね、買ったのよこれ」
嘘発見器を出す。
「でもね、なんだかそれもいらないかなぁって、必要そうな人にあげてしまおうかしら」
妙に穏やかな表情のさとり。
「なんだか、ペット以外とも最近は仲良くできるようになったし、こいしとも普通に会う機会も増えたわ」
「放浪してるこいし様はなかなか見つけられないのに……」
「まぁ、アウトドアなこいしの話も最近は面白いなって思ってきだして、ごほっごほっ」
「ああ~!さとり様が喜ばれてるのはこちらとしても喜ばしいのですが、お外はお体に触りますよ。先程もいったいどちらに行かれてたんですか?」
「ああ、キスメのところよ」
「キスメ?」
「あの子、いつも井戸の桶の中にいるじゃない?だから私もあの中に入ってたの」
「なぜ!?」
「それは……あの桶に入ってたら風邪も悪化するかなって」
「あれ水入ってたんですか!?」
「いや彼女は知らないけど、私は入れたわ」
「でも、なんでそんなこと!?」
「それは……」
言い淀むさとり。




