第3回
「でも巫女がこんなことして、本当に大丈夫なのか?」
「背に腹は代えられないわ……」
”噂の相合傘あります”
そう掲げた看板を持ち、町でよく見かける手相占い師の様に、ちょこんと行き交う人に紛れ営業を行う『博麗神社出張所』。物珍しそうに見られている。
「あなたの恋愛成就をお約束する博麗神社です~!」
そこに一人の人物が現れた。
「あのぉ、私の恋の相談を乗ってもらえないでしょうか?」
罪の袋を被っている男性(?)のようだった。何かヤバイ感じがする。しかし彼だってきっとさ迷える子羊。試しに彼の恋愛を成就する手伝いをすることにした。
「相手は?」
「階級も…生きる世界も違う方です」
「年齢差…の恋とかですか…?」
「年齢差!?それはマナー違反というものです、紳士ですから!」
「なるほど、お相手は17歳としておきますか…」
「袋を被ってるのは自分の顔に自信が無いからですか?」
「いえ、これが顔なので、被るとか、袋とか…よく分かりません…」
なかなか愉快な人が現れたもんだ。ちょっとイラッとした。
「小傘、いけそう?」
「…いけるもなにも、私にそんな能力ないから」
そう、小傘は驚かせる程度の能力しかない。しかし新聞に載るほどの達成力ということは、それなりに何かしら能力が発動しているに違いない。ちなみに、小傘は霊夢が対決でやっつけてからというもの、比較的おとなしくなっていて、何でも言うことを聞いてくれるようになっていた。
というわけで、その罪袋さん愛しの相手の元へ。ちなみに当人の罪袋さんは人間なのか妖怪なのかは、結局はぐらかされてしまった。相手は冥界に現れる妖怪らしい。
◆◇◆
「着いたわね」
「冥界…、薄気味悪いなぁ」
久々の冥界。おどおどする罪袋さんを引っ張りながら奥へ奥へと向かう。いざ気持ちを告白しようと考えると、かなり緊張してしまってるらしく先ほどの威勢と変態さが消えた。まあ、こんなになってしまうほど純粋に誰かを好きになれるなんて…見た目とは違って、案外いい人なのかもな。
「はぁ……くんくん……少女臭、少女臭……」
前言撤回…やっぱコイツはタダの変態だ。