第13回
「文じゃないの」
「霊夢さんってうちの新聞取ってくれてたんですね」
「いや、たまたま近所の妖怪からもらった」
「あらま、回し読みですかぁ?」
「まあ、いいじゃない、減るもんじゃないし」
「売上部数、そのまま減りますよ!」
「ごめんごめん」
「いやぁ、こっちの身にもなってくださいよ……」
するとやけに深刻な顔をする文。
「実は、最近部数が伸びなくて…」
「へぇ」
「まあ最近それらしい異変が起きないのはもちろんですが、内容やネタは新鮮なはずなんです。前と変わらないのに、どうしてですかねぇ?」
「まぁ、最近はテレビやら、いろいろあるからねぇ」
「それは幻想郷の中でも一部に過ぎませんよ……!」
「ほら、最近だって架空請求の手紙の話だったり、てゐがニンジンで釣れる話だったり、熱愛報道だってすっぱ抜いてます。押さえるべきところは押さえてますよ!」
「そうねぇ」
軽く文々。新聞を読んでみる。ふむふむ、なるほど。
「読んで思うんだけど最近のアンタの新聞は、なんか昔の読み応えみたいなのが無いのよね。パンチが無いっていうか、キレがないっていうか。なんか、昔は人事だからって相当乱暴な感じで、私達を楽しませるエンターテイメント性があったのにさ」
「ガーン……」
ショックを受けて落ち込む文。
「確かに、言われてみればついこの間は部数が伸びてきて、だんだんと世間一般に見られてしまっているということが引っかかって、言葉を選ぶようになってしまっているかも……」
「うーん、そんな感じそんな感じ」
「どうすればいいでしょう??」
「アンタ自身が変わるしかないのよ!ネタがよくたってそれを捌くヤツが優秀じゃないと、寿司は美味しくないの。分かる?ジャパニーズ、スーシー」
「はい、なんとなく……」
「特に文々。丸新聞は熱愛報道が最近甘いわ!どうしたの?一番の読みどころだったのに」
普通のアドバイスをしようとしていたのに、若干熱が入ってきているな自分。
「うーん、恋愛に関しては少し自分も書くのが難しいなぁと考えてはいました」
「そうね、最近だったらはたてのところの新聞の方がまだ面白いわね。発展途上な部分もあって、荒々しい部分もあるけど、読み応えがあるわ」
「はたての新聞の方が面白い!?それは許せないです!!」
やたら怒ってる。ちょっとは仲良くしろよ、この二人は。
「もっとバッサリ書いちゃえばいいのよ、昔みたいに」
「できたらやってますよー!」
「何かあったの?」
「そ、それは…」
悩む文。心当たりはあるらしい。
「それは、恋ですね!」
誰かと思ったら早苗だった。