第2回
今日もコタツでお茶を飲む。参拝者は、相変わらずあまり来ない…
そろそろ本気で異変が起きてくれないと仕事が無い。
「新聞でも読むか…」
魔理沙が置いていった「文々。新聞」を読む。最近は梅雨の時期で雨が多くジメジメしている。それもあって外に出る気も起きない、参拝者も現れない、異変を起こす妖怪も現れないようだ。むしろこの雨自体が何かの異変じゃないの?
新聞の隅の方を読んでいると、何やら気になる記事があった。いま巷で噂の『絶対に恋愛が成就する相合傘』?へぇ、そんなのあるのね。どおりで恋愛成就の念願が減ってるのかも…コレはちょっと困るなぁ。まあ恋愛成就なんて元々めったに来ないんだけどね~。
はぁ暇ね。おなかもすいた。今ぐらいの時間だとアイツがくる時間かしら。
「霊夢~!」
噂をすれば現れた。霧雨魔理沙。
「参拝に来たんなら、お賽銭入れてよね。お客なら差し入れとか」
「それより聞いてくれよ!異変だ異変」
「今度は何?トキかエレベーターガールでも現れた?」
「それはだいぶ前に幻想郷にいるよ」
「それもそうね…」
「違うんだよ!傘だよ、あの時の」
「傘?ああ、今流行ってる相合傘?」
「見つけたよ~!!この前の巫女~!」
そこにいたのは…傘を持った妖怪だった。
「誰?」
「こ、この私を忘れるなんて!よくも私を散々な目に合わせてくれな~!」
「待って、状況が掴めない…」
「あんたが私をヤツに渡してからの日々を語ってあげるわ!!」
話を聞いてみると、何やらこの傘の妖怪少女『多々良小傘』は紫に何かの妖術を掛けられてしまい元の姿に戻れず傘のままにされてしまったようだった。それからついうっかり紫がその傘をどこかの店に置き忘れてしまって動けないところを、他の傘と間違えてられてしまったりして…とにかく散々な目にあったらしい。
「ぁ~あんたか。あのコンビニ傘」
「そんな安っぽいアダ名で呼ぶな~!わちきは小傘!驚いたかー?」
「…その傘の舌と目、可愛いわね」
「え、そう?えへへ…って、そうじゃな~い!…コイツ人心掌握術を持ってるようね、油断できない!!」
そうこう言ってるうちに小傘が勝負を仕掛けてきた。なるほど、魔理沙はこれを教えてくれるためにいち早く知らせてくれたのか。案外いいところもあるのね。
「喰らえ~!からかさ驚きフラッシュ!」
「夢想封印!」
勝負はあっけなくついた。弱い、想像どおり弱い。
「よし、トドメをさそうぜ霊夢!」
「あら?待って魔理沙」
「ん?」
「私の勘なんだけど、コイツってもしかして今噂の相合傘なんじゃない?」
「あの射命丸の新聞で噂の?どーせでっち上げだろ??」
「まあ、本人に聞いてみれば分かるわ」
気絶して目を回している小傘を神社に連れて行った。
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「…ん、ここは?」
「気がついた?ほら、これでも飲みなさい」
お茶を出す。ずずっと飲もうとする小傘。だがすぐにやめた。猫舌らしい。
「ひ~ん、あちゅい…」
ふーふーしてる子が差にそこに魔理沙が聞く。
「お前、もしかして今流行りの相合傘の妖怪?」
「何?相合傘って」
「相合傘ってのは、なんつーか、こう。好き合う二人が?ひとつの傘で歩くやつだよ」
照れながら説明する魔理沙。にやにやする私。
「ああ、それなら私が元の姿に戻れない時に、いろいろやってたなぁ、人間同士で」
「やっぱりなぁ、ほら霊夢。私の言ったとおりだろ?っておい、霊夢?れ~い~む~?なんか目が『¥¥』になってるんだけど…」
「これは行ける!魔理沙、本日、博麗神社は出張に向かうわよ!」
「しゅ、出張??」
私達はさっそく人間の里に向かった。
続く