第03回
物珍しそうに嘘発見器を見るはたてに、説明書どおり教えてやった。
「なるほど、ではこれがあれば誰も嘘をつけないってワケですね」
「そうなのよ、でも自分で実験しても全然分かんなかったから、誰かに実験しようと思って探してたの」
「そんなスゴイものをどこから手に入れたんですか??」
「それは、企業秘密…!」
まぁ、にとりが作ったってのをバラしてもいいんだけど、こういう時はなるべく貴重な感じとか、神秘性とか持たせたほうが雰囲気出るし。
「さて、はたて。さっそくだけど実験してみようと思うの、じゃあはたてに私が聞いて私も答えを知ってる内容を聞くから、そうね、分かりやすい嘘をついてみて」
「はいはいー!やってみてください」
とは言うもの、何を聞けばいいのやら。まあ簡単なのでいいか。
「はたては、人間?」
「はい、私は人間です」
「ブブー!」
まったく時間を待たずして返答が帰ってきた。
「はたては妖怪?」
「いいえ、私は女子高生です」
「ブブー」
またもや素早くブザーが鳴る。
「はたてはパパラッチ?」
「いいえ!私はお姫様です」
「ブブー」
「うん、結構当たってるわね、でも嘘ばっかりついてるだけだと、分からないから今度は正直に答えてみたりもしてみて」
「分かりました!」
「はたては射命丸文がムカつく」
「はい、むかつきます」
「…シーン」
おお、いい感じ。
「はたては文が好き」
「全然好きじゃないです」
「カリカリカリ…」
お、珍しく解答に時間かかってるわね。
「モウイチド オネガイシマス」
「…??」
「もう一度お願いします?」
「エラーですかね?」
「仕方ないわね、ではもう一度。はたては文が好きで好きで仕方ない」
「全然まったくこれっぽっちも好きじゃないです」
「ブブー…」
「あら、それって嘘なの?」
「いやいやまさか。ライバル視してるあの射命丸文を私が好きなわけが」
「ブブー…」
「…あれれ?」
「ちょっと、今のも質問だったんですか?今のは心の準備とかが色々してなくってですね、無効ですよ!!!」
「わかったわよ、何ムキになってんの?」
「ムキになってなんてないです!」
「ブブー」
…はは。ちょっと冗談すぎたかしら。はたては涙目になっている。
「とりあえず、あれよ。ね。良きライバルとして、文のことが好きってことね。分かるわよ?お互いを高め合いつつね」
「いやあんな最低の記事を書く人を好きライバルなんて思ったことはないですね…」
いや前は、軽く褒めてた気もするんだけど。
「じゃ、じゃあ故障かもしれない。やっぱ新聞の記事にするにはまだ早かったかも。ちゃんと完成したらまた見せるわね」
「お願いします、もっと正確なヤツでまた次の機会に!」
というわけで何とか脱出。あまり天狗に嫌な思いさせると、いつ身に覚えの無いことが新聞に書かれて広まってもおかしくないしね。でも分かったこととしては、この嘘発見器は紛れも無くホンモノね。
とりあえず、にとりにいつ見つかるか分からないし、さっさと妖怪の山から出ることにした。