第11回
さっそく自分が幽霊に変装している霊夢であることを教え、何が起きたかを小傘に聞いた。
「さて、小傘。依頼主はどうなったの?」
「アイツからは逃げてきたよ!」
「どうして?」
「だってもう一人の方が、凄い私に興味持っちゃって、なんか超怪しいって言うか人間じゃないって言うか、もう神っぽくて怖くて…」
「アンタは、紫にもそうだったけど、変な奴に大変な目にあわされること多いのね」
「そう、あれと同じ匂いを感じたぞ…」
小傘はガクガクと震えている。
「逃げてたら自分がどこにいるかも分からなくて、とにかく山で迷子になってたんだよ」
「妖怪が妖怪の山で迷子になるかよ…」
「とにかくダメなんだよ、ああこの身体でいると蕁麻疹が……傘に戻るね」
ボンッと音を立てて傘になった。
「とにかく報酬も全部パ~ってことかな」
「あ~、まあいいわ、小傘も戻ってきたし、博麗神社出張所、再開するわよ!」
「切り替え早いな~霊夢は」
そんなこんなでいざ迷える子羊を探しに向かおうと思ったが、タイミング悪く、傘を探す二人組がやってきた。
「あったぞ~!早苗」
「ホントですか!!どこですか!」
早苗と神奈子だ。また面倒なことにならなければいいが。
「すいません!そこの貞子みたいな方!その小傘ちゃ、じゃなくて傘を返してもらえないでしょうか?」
え?あ、まだお化けの格好をしたままだったから、早苗私のこと気付いてないのか。まあいいや幽霊のフリしよっと。
「(小さい声で)返すも返さないも、私は私!小傘だ~!」
「緑髪の巫女さん。聞くけどなんでこれを探しているの?」
「ある方からの借り物で、絶対に返さないといけないんです!なのにどこかに行ってしまって。お願いです」
どういうことだ?
「誰から借りたんですか?」
「それは……詳しい話は内緒です」
「内緒かい!」
いろいろとめんどくさいことになっているが、早苗がこの傘を借りていた?いつどこで?私たちよりも先の話かしら。
「おいおい、どうした霊夢?」
そこに野暮用で抜けていた魔理沙がやってきた。
「れ、霊夢さん!?」
「あー、そうよ。アンタが気付かないからちょっとからかってただけ」
「そ、そうだったんですか、ハハ、良かったですよかった…デスハハ」
またこの前のように、急に態度がおかしくなる早苗。
「あれ?」
小傘が何かを思い出したように呟く。
「あれ?この前のお姉ちゃ…むぐぐぐぐッ」
「ほらほら、じゃあこの傘は頂いていきますね~ではまた霊夢さん、魔理沙さん!」
「あ、待ちなさい早苗!!」