架空職業・監視屋ときお『Secret mission』
超巨大国際都市、東京。通称帝都。
ここには『仕事屋』と呼ばれる者たちが人知れず潜んでいる。
『監視屋』『護り屋』『奪い屋』『運び屋』『修復屋』…。
あるものは異能で、
あるものは知恵で、
あるものは技術を使い、
彼らは帝都に蔓延る悪意と戦う。
渦巻く光と闇の中、『仕事屋』は確かに存在している───。
診断メーカー『仕事屋さんになったー』から触発され、Twitter上で投下したストーリーを、編集、加筆したのものです。
Twitter上では『#架空職業』のタグ付きで投下しています。
【診断結果】
TOKYOは監視屋です。性別は男、桃色の髪で、変態的な性格です。武器は不明。よく一緒に仕事をしているのは掃除屋で、仲が悪いのは奪い屋です。
http://t.co/T57mAsrH
監視屋ときお
張り付いたような笑顔が特徴的な、長身の監視屋。髪はピンク。謎が多く、不気味な噂が絶えない。そら豆に手足と一つ目がついたような不思議な生物『メマメ』を使役する。メマメの見ているものを同じように『視る』事が出来る。壊れた玩具のような、ほのかな狂気を身にまとっている。
護り屋ヒロマル
扇に呪詛を書き法術を行使する霊言扇舞法・木船田流の正統後継者。和装で長髪の20代後半。ぶっきらぼうだが情に厚い。ときおの事を気にかけており、口では毒を吐きつつも何かと世話を焼く。
コンッ!
「イでっ!」
頭になにかか落ちてきて、ときおは目を覚ました。
どうやら座ったまま眠っていたらしい。
ゆっくりと顔を上げると、火はもうとっくに消えていた。
随分と欠けた月が、なんとか部屋の中を照らしている。
コロリ、いつもと違う形のメマメがそばで転がった。
ときおは黙って立ち上がり、雑魚寝しているメンバーの隙間を器用に歩いた。
成り行きで行動を共にすることになった連中だ。寝顔の中には、女性の顔もちらほら。
──熟睡トか。いザトなっタら女の方がツヨいよネぇ。オモにメンタル的な面デ。
そんなことを考えながら部屋を出る。
部屋と言ってもなんとかその形を保っているだけで、ときお達がいたのは廃墟だ。
追われる身、宿は取れない。
「…」
入るときに覚えた道順からは外れて上を目指す。
大きなフロアに出たときおは、ガラスの割れた大窓の前に立つと目を伏せた。
『チャンネル』を合わせると、見張りに出したメマメ数匹の『映像』と繋がる。
「なるホど、ネズミチャンね」
映像を切り替えながら呟いた。
ときおの目には数人の男の姿が映し出されている。
どうやらこのためにメマメはときおを起こしたらしい。
半自立型はこういう時便利。
どうやら追手ではないようだ。
お世辞にも治安がいいとは言えない地域だ、強盗だかなんだか、そういう連中がいてもおかしくない。
──ヒトリでヤれルが、ソれだケじゃぁつマラないナぁ。
そう感じたときおは、自分自身に『縛り』を付ける。
派手にやらない、騒ぎにしない。
そして、誰も起こさない。
「ヒヒヒッ」
ときおは口を三日月に曲げると、闇に身を踊らせた。
十数分後、何食わぬ顔をしてときおは元の部屋に戻った。
部屋の中は何も変わっていない。
寝息の隙間を縫って先ほどの場所にたどり着くと、静かに二度寝の姿勢に入った。
ときおがゆっくりと呼吸をする頃になると、ヒロマルはそっと目を開けた。
──全く、気でバレバレだ。
ただでさえときおの気は特徴があるのに。
これで目が覚めない訳がない。
しかし、鮮やかに片付けたものだ。
自分以外には気づくものはいなかっただろう。
ヒロマルはときおの顔を盗み見る。
寝顔はいつもよりもずっと幼く見えた。
朝には先ほどの事などおくびにも出さず、ケラケラと笑っているのだろう。
──本当に、器用で、不器用なやつだ。
ヒロマルは目を閉じ、再び眠りに堕ちていった。
『皆が寝静まっている間に侵入しようとした小悪党の群れをひとりで「ひヒひっ!」とか言いながら掃討して二度寝に入ったときお』
…というリクエスト的なものを頂いたので書いてみました。うむ。