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プロローグのようです

今回はプロローグだけなのでキーワードにあった物はいっさい出てきません。ご了承下さい。でも今後は沢山出していく予定です。まあ、あくまでも予定ですが…


主人公が根暗なので、登場人物が主人公しかいない今回は相当くらい話になっています。


今後激しい中二病展開になりますが、どうぞ生暖かい目で見守ってやって下さい。

どこからだろう、声が聞こえる。



気のせいかもしれないほどかすかな話し声が聞こえる。



「じ・・・・は・・・・・・・・した」



耳をすましてみると、内容はよく分からないが聞き取ることが出来た。野太い男の声のようだ。



何を話しているのか気になるので更に集中して声を聞いてみる。



「これ・・・・・ま・・・・・・われ・・・・・・ざ・・います」



段々と声が聞こえるようになってきた。もう一息だろう。



「それでは・・・・・れいを・・・・いたします」





「うむ」



ハッキリと声が聞こえるようになった。そして…





「全門一斉射撃!!」






















キィィィンコォォォンカァァァンコォォォン…





僕、六城龍太郎ろくじょうりゅうたろうはチャイムの音で目を覚ました。



「……寝てたのか」


ということはさっきまでのは夢だったのか…まあ今時『全門一斉射撃』なんて物騒な言葉は漫画か映画でしか使われないだろう。


というかいま気付いたがさっきの授業は乃木坂先生の授業だったようだ。乃木坂先生といえば生徒指導担当の教師で、生徒達から『ハートマン軍曹』という渾名で恐れられている鬼教師だ。


授業中に居眠りしようものなら普通は・・・その鉄拳の餌食になる。


しかし僕はいくら寝ようとケータイをいじろうと鉄拳制裁を受けることはない。別に僕の親がこの高校の理事長だとか地元の権力者というわけではない。まして乃木坂先生の息子というわけでもない。むしろ乃木坂先生は身内に厳しくするタイプだ。


僕が乃木坂先生に鉄拳制裁されない理由


それは…
















僕の影が薄いからだ



…タメて言った割に大したこと無い理由だ。




そう、僕は影が薄い。存在感がない。目立たない。


名前を挙げても「ああ、いたね。そんなのも。」とか「そんな奴いたっけ?」なんて反応をされるようなタイプだ。


つまりステルス戦闘機がレーダーに捕捉されないように、僕は乃木坂先生に見つからないのだ。


僕のこの特性は居眠りをするには都合がいいが、まともな青春を送ることは出来ない。


というか影が薄いことを置いても、僕にはザ・青春と言えるような出来事は起こらないだろう。




何故なら僕には何の取り柄もない。勉強が出来るわけでも、スポーツ万能なわけでも、顔が良いわけでもない。


これと言った特技もない。人付き合いも上手じゃない。友達も1人もいない。性格も明るくない。


趣味もない。お気に入りの物もない。将来の夢もない。


誰かと話そうという気も、好きな人に告白する勇気も、こんな生活を変えようという気概もない。


言ってみれば僕はのび太のような奴だ。



いや、のび太にはドラエもんやしずかちゃんがいるし、趣味もある。将来しずかちゃんと結婚するという夢もある。そして、道具に頼ってはいるが必死で自分を変えようとしている。


しかし僕はそんなことすらしていない。僕はのび太にも劣っているような人間だ。


そしてそんな人間だというのに、一般人として生きているというのだからいっそうたちが悪い。


果たして僕はこの世の中にいても良い人間なのか?

存在していてもしていなくてもどちらでも良いのではないか?




…なんてそんなことを悶々と考えている内にホームルームが終わった。あとは清掃が終われば、各々部活に精を出すことだろう。しかし僕は部活にも入っていない。掃除が終わったら後は帰るだけだ。


そして学校から帰っても別に何かをするわけでもない。


ただ夕飯を食べ、風呂に入り、寝るだけだ。


そして朝目が覚めても、制服に着替え、朝食を食べ、歯を磨き、学校へ行くだけ。


学校へ行っても、席に座っているだけ。先生の話を聞いているだけ。ノートを取っているだけ。昼食を食べるだけ。下校するだけ。


そして家に帰って夕飯を食べ、風呂に入り、寝て…


とそんな毎日を繰り返すだけ。


そしてそんな毎日を繰り返していって、年を取って、死ぬだけだ。


ただひたすらに底辺を何喰わぬ顔で歩いていくだけ。


僕の人生の展望はそんな感じだろう。


誰とも関わり合いを持つことなく、何のイベントもない、完全に平坦な人生を僕は思い描いている。








しかしそんな未来は、後にあっさりと叩き壊されることになる。


そして、それと同時に僕は思い知らされることとなった。





何人たりとも平坦な人生を歩むことは出来ないのだと。








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