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屋上

こんにちは、初投稿のマロン(中1)です。

怖い、うざい、もういいじゃん。

私のこと嫌いなら構わないでよ。

「アンタみたいな引きこもりは、私たちの手伝いした方が運動できていいんじゃないの?」「はやくジュース買ってきてよ」

あなたたちは買い物もできないの?

背後から浴びせられる罵声を無視して屋上の扉を開く。芝生の柔らかい匂いを肺に送り込んでいたら突然背中を強い衝撃が襲った。

「うっ」

惨めな呻き声を漏らして、私は本と一緒に緑の中に倒れ込む。メガネのツルが耳に当たって痛い。

「無視?サイテー」

胸元に抱えた本を無理やり奪われる。背中の痺れが治らない。

「こんなもん読んでるから友達いないんでしょ」

嘲るような、低俗な声たち。下品で、下劣で、幼稚なあなたたちには関係ない。

本は投げられて薄汚れた靴に踏まれる。大好きお母さんが買ってくれた、大好きな作家の本。大好きなお父さんが遺してくれたブックカバーをあなたたちはどうして、そんなにも見境なく傷つけることができるの?

お父さんの笑顔が脳裏を過り、目から涙がこぼれかけた。

「なにしてるんですか?」

芯のある優しい声。

「そうだよ!離れて!」

さっきと違う、少し幼い声。

「あなたたちには関係ないでしょ?私はこの子と話してるの」

聞き慣れた、醜い声。

「話してるんじゃなくて、意地わ…」

少し舌足らずな喋り方の子を、大人っぽい子が制する。

瑠夏ちゃん、ダメだよ。

「いじめをしてる自覚あります?」

本が拾い上げられる。白くて細い指。息を吸う音。少し気配が変わる。

「他人に暴力を振るって、持ち物を傷つける。どう見てもいじめですよね。大人になったら犯罪だってこと、流石に分かりますよね」

優しいのに、背筋が冷える声。

“犯罪”と言う言葉を使われたからか、彼女たちは怯んだのか、足早に屋上を去っていった。

「だいじょーぶ?」

私を覗き込んだその顔は、とても愛らしくて可愛い顔だった。リボンの色から、おそらく1年生だろう。濡れた視界を拭って私は顔を上げた。

「本、無事ですよ」

もう1人の女の子が私に本を差し出す。土埃を払ってくれたおかげで、ほとんど傷んでいないようだ。ふわっとした目元と、おしゃれな髪飾りに好感を持った。

こういう子に、私もなりたかったな。

「ありがとう…ございます…………それじゃあ」

私は本を抱きしめて、逃げるようにその場を後にした。ろくな感謝も伝えられないままだけれど、ダメな先輩だけど、ごめんね。

恥ずかしい。年下の子に助けてもらうなんて。悔しさと恥ずかしさで胸に抱えた本をキュッと強く握りしめてしまう。3人組の女子が笑いながら私とすれ違う。私みたいな酷い顔はしていない。

同い年の子にも年下の子にも劣る。私が勝てるのは勉強だけ。私の味方は家族とこの脳みそだけ。

劣等感のせいか、頭がクラクラする。どうしてか喉が渇く。蹴られた背中が痛い。行き詰まるってこういうことなんだろうかと私は教室に戻りながら考えた。

行き詰まっているのか、息詰まっているのか。

私は今どちらなのだろう。

次回は“私”についてお話しします。

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