プロローグ2
俺が10歳の頃――
戦闘職【拳士】が発現した。
あの時は、本当に嬉しかった。
これで戦える。
父さんを殺したモンスターを、ぶん殴れる。
それに探索者になれば、稼げる。
母さんを、楽にしてやれる。
――そう思っていた。
でも、現実は違った。
探索者になるには、条件がある。
総合ステータス値1000以上。
これを満たさなければ、登録すらできない。
一般人の平均は500前後。
だが戦闘職を発現した人間は違う。
職業に応じて能力が大きく伸び、子どもでも1000を超える。
――普通なら。
「……なんでだよ」
俺のステータスは、ほとんど変わらなかった。
戦闘職【拳士】が発現したのに。
上がったのは、誤差みたいな数値だけ。
当然、1000には届かない。
母さんと一緒に探索庁に行って、理由も聞いた。
返ってきたのは、あっさりした答えだった。
「稀にあるケースですね」
「いずれにせよ、基準を満たさなければ登録はできません」
それで終わりだった。
――夢は、そこで終わった。
探索者は諦めた。
近くの公立高校に進学して、卒業したら就職する。
そうやって、母さんを支える。
それでいいと思うことにした。
……思い込もうとした。
そんな俺に、変化が起きたのは――
高校一年の、夏休みだった。




