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最悪なタイミングだ

後半r18です。

見たくなければ後半のNosideから後書きまで飛ばしてください。

朝の会が終わり、クラスメイトたちが四人に質問をしまくっていたが、四人とも上手くはぐらかしていた。

「えー…やらかしたこと?…ゆうk」

「心咲ちゃん?」

若干一名はぐらかそうともしていなかったが。

結果三分経過し、四人は逃げるようにして教室を出ていった。

四人が教室から出ていった数分後、菅原先生が戻ってきて、四人が先に職員室に行ったと聞いて(やらかした…)みたいな顔をしていた。

何で呼び出したんだ?

菅原くん、海藤くん、輝滝さんだけならカゲについてのことだろうと予想できたのだが、瀬世さんもとなると少し自信が持てない。

なぜ呼ばれたのか分からないまま、一時間目が始まる直前になって菅原くんを除く三人が帰ってきた。

「即バレした」

「私巻き添え喰らっただけで休憩時間終わったんだけど…」

どうやらカゲ関連だったらしい。

「おつかれ」

海藤くんは、霊力そこそこ高めだから、遅かれ早かれ声はかけられていただろうけどね。

輝滝さんはさっきのクラスメイトとのやり取りをみる限り、隠さなきゃバレちゃうって部分が見分けられないんだろうな…。

「なんで夜樺くんはバレてないの~!?」

「…さあ」

まあ、僕はカゲとは昔馴染みだからね。バレないように対策ぐらいしてきたさ。

…当然、昨日の暗殺者にも…

…当然、嘗ての担任にだって…


紀昭side

「嘘をついてまで、なぜ隠そうとする?」

俺は元三年一組担当だった男だ。

そして、昨日今日と、尋問係を名乗るやつに尋問を受けている。

「本当に知らないんだって!」

「心当たりはあるだろう。例えば…魔法みたいな現象を見たとか。」

心当たりどころか、本当にその通りなのだが、言うことはできない。

だって…

「そんな非現実的なこと、あるわけ無いだろう!?」

「…霊感が本当に無いのか…?」

あんたのすぐ後ろと俺の足下で、控えてるんだよ!その魔法みたいな現象(独りでに動く影)!!

しかも


【これから笹堅先生は、取り調べとか受けるだろうけど、その時僕のこと喋ったら…分かってるよね!】


あれは人を殺すことができる目だ!殺意があった!

ずっとチビな、ただのガキだと思ってた…でもアイツは…!

「それとも…誰かに脅されて、口止めされてるのかな?」

「!」

悶々と一人恐怖していると、目の前の男は正解に近づいていた。

「…」

直接答えを言うことはできないから、視線で訴える。助けてくれ~!

「…なるほど、なかなか厄介なことになっていますね…シャドウに憑かれたか…」

…シャドウにつかれた?…まあ、確かに動く影のせいで疲れてはいるんだが…

なんでわざわざ尋問中に影に疲れたなんて確認するんだ?

「…笹堅さん、話しては戴けませんか?いつ、誰にシャドウを…」

「…答えられないんだ…」

答えたら…

「笹堅さん、教えてください、お願いします!」

答えたら…殺され「私があなたを守りますから!」

…どうせハッタリだ。

そう思っていたのだが、そいつは背後にいた影めがけて拳を握り…

「ハア!」

パンチの要領で、影を消してしまった。

続けざまに、俺の足下の影も踏み潰した。

「…え…ぁ…」

「もう大丈夫ですからね!」

そいつは俺に向かってそう言った。

「さあ、教えてください…あなたを脅すものは、もう何もありませんよ。」

「…わか、た…話す。」

「よかった!それでは、いつあなたにシャドウが取り憑いたのか、誰が取り憑かせたのか、できる限りの情報提供をお願いいたします!」

「まず、シャドウがあの動く影?だとしたら、多分取り憑いたのは放課後だ。シャドウを俺に入れたのは…」


秋雨side

海藤くんと玲帑を教室に送った後、職員室に戻ってからメールが届いていることに気がついた。

空き教室に移動し、メールを確認する。

送り主は…

「ああ、シャナーか。」

シャナーは尋問係の友人で、一見人のいい好青年って感じなのだが…

「…笹堅の尋問完了…」

その性格と行動はかなり問題児といって差し支えない。

「…お疲れ様…っと…え、シャドウ入ってたのか…入れてたのは…」

…この名前見覚えあるな…誰だっけ、いや、玲帑と同じクラスの子だったな。そういえば、崇徳さんの視線上にいたっけ。

「…これは、急いで教室に戻った方がいいな…」

想定外だった。だって、全く印象に残らなかった上に、一般人が抱える最低限の霊力は感じられても、そこまで膨大な霊力は感じなかったから。教室が二階にあるのは幸いだった。すぐに教室に着ける!

二限目がそろそろ始まってしまうだろうが、私が次に受け持つクラスは無い。一組だって、しばらく自習の筈だ。それにこれは、早急に片付けなければならない案件だった。

まさかこの学校に、シャドウを人に植え付けることができる人物がいたとは…


教室に着いた。改めて扉の前に立ってみても、全く怪異だと認識できない。というか、違和感が無い。

まさかここまで目立たないとは…

「…玲帑」

「おじ…秋雨先生、先程はどうも…」

「それはまた後で聞く!」

玲帑には申し訳ないが、今はメールに書かれていた人物を問い詰める方が先だった。

「夜樺明くんを呼んでくれ。」

「ッ…」

玲帑が固まった。動揺したのだろう。

恐らく…というか確実に、玲帑を助けた助っ人というのは、夜樺くんのことだったのだろう。

つまり、助っ人とは前任を拘束した人物と同一人物なのだろう。

「…なぜ、ですか?」

呼んだだけで、理由を聞く生徒なんていない。ましてや、玲帑ならば平時、理由は家で聞くのだ。

「理由を話す暇は無い…夜樺くん!」

確認は済んだ。笹堅にシャドウを入れた犯人は、夜樺明で決まりだ。

元より、玲帑に呼んでもらう必要もない。

「こっちに来なさ…!?」

え、待って…

「どういう状況?」

「セクハラ野郎を天井逆さ吊りの刑に処している状況です。」

逆さ吊りは分かってるんだ。セクハラ野郎は知らなかったけど。

「飯嶋さんは、もともとこうだったらしいですよ。中学校に入って先生が問題行動を起こしはじめてから、控えるようになったらしいです。」

まあ、他に面倒起こしてるやつがいるのに、自分まで問題起こしたら、全部の問題とか責任とか押し付けられても大した抵抗できないだろうからね…

…って、そうじゃなくて!

「分かったからビニール紐で飯嶋さんを逆さ吊りにしないの!」

ていうか野郎って…近年その単語使う子いないのに、よくパッと出てきたな犯人(夜樺)くん。

「野郎って…私女の子!!」

「男女関係ありませ~ん、それは性差別発言で~す!」

「黙れ直中ぁ!!」

「ちょっとちょっと、原石くんは煽らないの。…飯嶋さんは、結局何したの…」

「えー…ちょっとスカート捲っただけじゃん…」

十分問題だった…

「「十分問題だわセクハラ野郎!!」」

野郎伝播しちゃったよ…

「俺ぜってーパンツ見えるぐらいたくしあげられた!」

「私パンツどころか尻触られましたが!?」

見境無いな最近の変態は…。

「…夜樺くん意外と悲鳴可愛くてよきでした…」

「あ、そう…」

変態チックどころかさらりと変態発言をかました飯嶋さんに、ターゲットにされた犯人(セクハラ被害者)がさらりと流す。

「先生~!飯嶋さんが変態です!」

「うん、それは…うん…」

見てれば分かる。

「夜樺くんに話があるんだけど…」

「あきちゃん意外と空気読めないね?」

「解せぬ」

玲帑からは、(読める筈なんだけどな、この人…)みたいな視線を向けられた。読めるよ!ちょっといろいろ想定外だったしタイミングが悪くて焦っちゃっただけで!

「夜樺くん、君強制的に私オススメの高校に入れておくね?」

「「は??」」

「…ふぁ?」

クラス全員が頭に疑問符を浮かべて、一拍遅れて話の張本人が奇妙な疑問の声をあげた。

「ちょ、受験二日前に出す話題じゃないって!」

「因みにこれ入学拒否すると退治屋総出で君を監視しなきゃだから。拒否権は無いよ!」

悪いけれどね!こればっかりは覆せないから!

「クソがぁ…」

「夜樺くんもクソとか使うのか、意外。」

「覚えとくね~」

「覚えんくていい。」

とりあえず、さっさと教室から連れ出してシャドウの対処法を調べなくちゃ。

「ついてきて」

「え、今ので終わりじゃないのぉ!?」

シャドウを入れた犯人のくせにすっとぼけやがって…

「空き教室まで移動だ。君にはいろいろと話がある…!」

夜樺くんは、笹堅にシャドウを入れられることから、他の人にもシャドウを入れている可能性がある。下手をすれば、このクラスにも夜樺くんから入れられた子がいるかもしれない。

そうなれば、色々と情報が聞き出せるかもしれないからな…

無いとは思うが、機密情報になり得る情報を持っているかもしれない。

「あ、はい…」

そして私達は、空き教室へと移動した。

「…こっち、座ってー。」

「はい。」

夜樺くんは空き教室の扉とこちらを交互に見つめた後、結局何もせずに大人しく椅子へ座ろうとした。

「いや、扉閉めて?」

「…はい…」

これからのお話は、周りに自らもらしにいくような話じゃないしね。

そしてなぜか、扉を閉めた後、椅子の横に立って動かなくなった。

…模擬面接じゃないんだけどな…

「座って。面接とかじゃないし。」

「はい」

「…それじゃ、本題に入ろうか。」

そして、私は彼に向き合い…少し頭の中で引っ掛かりを覚えた。

…何だ?何で今少し…

「君…デパートビルの火災にいた?」

「ぁ、え?」

人によっては結構デリケートな質問だが、あの火災でトラウマを発症したという子供は意外にも少ない。

むしろ、ヒーローのような赤を連想させるため、巻き込まれた子供たちによく好まれていた。

きっと夜樺くんもあの火災現場にいたんだろう。

だから既視感なんて覚えたんだろう。

だから…

大丈夫だと思っていた。

「ぇ、ぃや、ない、しらない…」

「誤魔化してもあんまりいいことは…」

「しらっ、な…ぅあッ」

居たか居なかったか、それを聞きたかっただけだった。被害者リストに夜樺明という名前は載っていなかった。リストに未記入者がいたのだとしたら、また緋炉に関する有力な情報を得られるかもしれないと…ただ、それだけだった。

「ッ…………」

「?…え、おい!?」

迂闊だった。

夜樺くんは少し取り乱した後、身体の糸がプツリと切れたように、膝の上に乗せていた手をだらりと宙へ放り出し、目は開いたままどこを見ているのか分からなくなってしまった。

所謂放心状態。

それどころか死人を見ているような気さえしてきて落ち着かなくなった。

「…あの事件の被害者かつ子供であっても、トラウマがあるのか…」

ゆっくりと椅子からバランスを崩し始めたので、急いで体を支える。普段、普通の人からならば伝わる筈の微細な振動さえ伝わらなくて…

不安になったから指を鼻の下にまで近づけて…

「…え、待って、夜樺くん!起きて!」

無呼吸症候群なのだろうか。

呼吸をしていなかった。

急いで心臓マッサージをしようと思い、椅子からおろして床へ横たわらせ、心臓に手を置こうとして…

「…イタッ」

パチンという乾いた音と共に弾かれた。

「…何してんの、あんた」

起きたらしい。そして起きた夜樺くんを庇うようにして、ヒト型の黒い靄が立っていた。

シャドウだ。

それも、今までに報告されているシャドウとは、また一線を画すような…そんな気がした。

いやまあ、それでも前任にシャドウを入れたのは間違いないんだけどさ…

「心臓マッサージしようかなって。君無呼吸症候群なの?」

「自覚なかったです。息してなかったんですか…ご迷惑をおかけして申し訳ございません。」

意外に礼儀正しく謝られた。さっきあんたって言われたのに。

まあ、元はと言えば私の無神経な質問のせいだしな。

「いや、こちらこそ無神経な質問だった。気絶するぐらい嫌なことだったんだな…」

「知らなかったんですから仕方ないですよ。因みに僕、家庭科の火を使う料理もできないので、先生のオススメの学校が調理実習中心だと困るんですけど…」

随分見当外れな質問…でもないか。現場によってはサバイバルをすることもあり得るから、調理は確か授業にあるんだよな…

「調理実習中心ってほどでも無いんだけど…んー…基準を満たせば免除できたっけ?」

「基準を満たせば免除…ってことは基準下回ると必修なんですね…選択とかじゃなく…」

「そうだな。」

残酷な話だが、調理に火を使わないとなると、火を通さなくても食べれる物をその場で調達するしかない。現場の側にコンビニが無いなんてよくある話だからな。

「基準っていうのが…食事を1ヶ月飲まず食わずで生きられるっていうやつなんだよな…」

「なぜそんな基準に…無理じゃないですか…」

「妖怪とか妖精とか精霊とかだとクリアできるやつも一定数いるんだよ。」

人は水すら無ければ3日で、水はあっても食事が無ければ一週間で死ぬからな…厳しいが、夜樺くんには調理実習を頑張ってもらう方が賢明だろう。

「というわけで、流石に夜樺くんは死んじゃうだろうし、先生は夜樺くんにその基準を満たせるとは思えないから、基準テストに申し込むつもりはない。ごめんけど、調理実習に出て。」

「う~…」

火を見るのが余程嫌なのか、半泣きでシャドウにすがっている。ただでさえ童顔なのにより一層幼く見える。

「かげくん…調理実習はぜったい出ないでね…?」

シャドウは夜樺くんの頭を撫でている。こちらとしては、いつ夜樺くんの身体を乗っ取ってしまうのかと気が気じゃない。あ、そういえば…

「夜樺くん、シャドウを身体から取り外せないのかい?」

「シャドウじゃないです、かげくんです!シャドウは知らないですー!」

なんか…面倒臭いなこの子…

「実際人の命を奪うなんて知りませんし、かげくんはそんなことしません!」

「分かった分かった。そっか…知らないか…」

「…菅原先生、本当にかげくんは命を奪うなんてしませんよ?」

乗っ取ってたから祓ったら、死んでしまったという実例があるんだよ…

「今日乗っ取られなかったからといって、明日乗っ取られないとは限らないんだよ。」

「かげくんが人を殺す規則性なんてありませんからね!」

なぜシャドウ…いや、よく考えるとシャドウもシャドウで人名っぽいな。情が嫌でも湧きそう。影でいいや。…なぜ影の憑いている子はこんなにも信頼しているんだろうか…

「まあいいや、これで一個問題は解決したし。」

「?…結局かげくんを外す方法聞き出せてなくない?」

「自分で言う?」

そりゃ分からないものを聞かれても困るだろうし、何よりも時間の無駄だ。

「そっちじゃなくて、夜樺くんは意外とこっちの学校に抵抗無さそうだなって。」

「?…いや、家庭科嫌なんですけど。」

「いや、家庭科をどうにかすれば問題無さそうだし。過去には入学嫌すぎて自分の霊力寺に行って回復出来なくなるようにお願いした子もいたし…」

「あー…何か、凄いな…」

「ね。」

兎に角これで、夜樺くんの問題は一旦解決か…

「それでは、これで用事は終わりですか?」

「…いや、そうだ。明日家庭訪問するわ。」

「いえ、結構です。しかも明日って…」

めっちゃ即拒否された…家散らかってても先生気にしないよ。

「そういうわけにもいかないでしょ。学校が学校だからね。保護者にもちゃんと先生から伝えないと。」

受験二日前に急遽進路変更するんだ。それも、命の危険性がある学校に。

ただでさえ教師の問題行動が続出していてこの中学校自身信用が地に堕ちているあげく、下手すると今年のこの学校の受験生にまで信用が関わっているというのに電話越し対応では不味いだろう。

これでもしも、この学校の先生は人の子を勝手に進路変更させて死の危険に追いやりました!この学校は信用できません!なんてレビューされてみ?

下手すりゃ受験生の信頼にも関わるわ!

「すまないね、拒否権を与えてあげられなくて。」

「苦労してんね先生も。…ぶっちゃけ、海藤くんから話は聞いていたので、影憑きである時点で覚悟はしてましたし…」

カゲツキ…影憑きか、語呂がいいな。

「海藤くんから学校のことは聞いてたのか。」

学校の情報から、自分もターゲットになることを予測していたのか。普通思い付いても気のせいだと思い過ごすんだけどな。

こういうのは、少し情報を与えるだけで、多くを吸収しそうで面白い。

そして、学校の話を聞いて尚、その様子が私にも分からないように演技していたとは…

そして、先程の頭に覚えた引っ掛かりの正体が分かった。


【【玲帑!】】

【あにうえに……おじうえ…?】

【ああ、あなたがスガワラアキサメさんですね。】

【君は?】

【…ヒロです。いそいでもどらなければならないので、これにて…】

【あ、待って!名前だけでもこれに書いて!】

【やってるひまない!】

【むしろ私は、ヒロくんを戻らせないようにしなきゃいけないんだけど。】

【~ッ融通気かねえおっさんだな!】

【おっさ…私まだ24歳!】

()()()()なんだからおっさんだろ!!】

【…お願いヒロくん。起きた時君が見つからないと、僕と叔父上が怒られちゃう。まあ、一応それ以外にも捜す手段はあるんだけどさ…】

【…わかった、なまえだけな。】


既視感だ。

結局あの時の名前から、筆跡から、現在に至るまであの少年を特定できやしなかった。

名前の一致する人物に直接会いに行ったりもしたが、全員全くの別人だった。

あれは偽名で間違いないだろう。

絶対に自分を追跡させないよう立ち回る姿。

得たいの知れない、底が見えない不気味でわくわくするなにか。

「君、暁緋炉だよね。」

「………は…?」

直後に、悪いことをしたな、と思った。

ぽかんと口を開けて、本当に何も分からない顔になってしまったからだ。

それでも私は、ヒロは確かこういう子供だった、という既視感を夜樺くんに覚えていた。

「当時の君を見た人物は大勢いるよ。」

「え、ヒロ?」

「八年前にも暁緋炉を名乗る子供がいたんだよね。あれも君が?それとも君を騙った別人だったのかな?」

「ヒロ…じゃなくて、ヒイロなら聞いたことあるんですけど…」

こればかりは私の記憶と勘なのだが、私の勘はあまり外れない。

さらに問い詰めれば、なにか出てくるかもと思って、声を出そうとした時だった。

ブー、ブー、

というバイブ音が胸ポケットから発された。

「…出てもいい?」

「どうぞ…」

開いて通話に切り換える。

通話を掛けてきた相手は、尋問係のシャナーだった。

「…シャナーか、どうした?」

次に発されたのは、信じられない言葉だった。

[秋雨、暁緋炉を名乗る男が現れた。]

それは、今までであれば喜んで挨拶やら感謝やらを伝えるべきだと飛び跳ねただろうが、今はそうではなかった。

最悪なタイミングであった。

「…勘違いが証明されたようでよかったです。」

…そんな筈はないのだ。

だってこいつは、絶対に…!

「…君が異界学園に来るのが楽しみだよ。」

まあいい、異界学園への入学は取り付けた。

後は入学してからいくらでも追い詰められるだろう。

「異界学園って言うのか、その学校。」

学校の名前を今まで伝え忘れていたのはご愛嬌。

その後夜樺くんが行くからと言って、続々とクラス内から影憑きの子達が自主申告しに来た。

その日は三年生のみ短縮日課ということで、三時限の後家庭訪問に行くことを他の異界学園入学生達にも伝え、生徒達を帰宅させた。

…帰りのホームルームでめっちゃブーイング来たけど、異界学園入学予定の子は明日家庭訪問行くからね!


Noside

とある家の一室にて、男二人が激しく仲睦まじいことをしていた。いや、実際には仲睦まじくなど無いのだが。

片方は家主。もう片方は家主と直近の土曜日に結ばれたパートナーだ。

そこには窓があり割れていて、一月の冷風を部屋へと歓迎している。緑のカーテンは閉められ、部屋の照明は全て落とされていた。カーテンは時折冷たい風に煽られて翻り、外に通行人が通ったならば大騒ぎ待ったなしの光景となっている。日光がカーテンを貫通して、照明の役割を果たしていた。

テレビも光源となってはいたが、映っているのはアダルトな内容だ。音声は遠慮もなく乱れた声を発し続け、しかしこの部屋の持ち主達の情事を遮らない程度の音量で流れている。

いつも並べられている三脚の椅子は乱雑に部屋へ散らばり、一脚は四本ある脚の内の一本が折れ、一脚は窓へ突き刺さり、一脚は横倒しになっていた。一家全員で集うテーブルには白濁とした液体と赤黒い液体が散っていた。床にも漏れなく散っている。

「ア゛~ッ!」

「おわっ…またイったのかよ。」

そしてまた、被害範囲が拡大した。

パートナーは五回戦目からテーブルに身を乗せ、痙攣させたまま起き上がらない。

それでも家主は遠慮無くパートナーの体を使って快感を得る。

パートナーの顔は汗と涙と涎と鼻水でぐちゃぐちゃだった。

「ただいまー」

そんな中、玄関から少年の声が家に響いた。

「おう、おかえりー。」

少年の声の主は、家主の息子だった。

「アっ、ぁ…ア゛~ッ!?」

家主の腰が止まったことで、なんとか家主から逃れようと息子の方へ身を捩ったパートナーは、家主に腕を掴まれ更に激しくされ、目の前に星を、床に精液を散らした。

二人の情事被害をモロに喰らった部屋の名はリビング。一家団欒の間でもあり、この家のほとんどの部屋に通ずる部屋でもあった。

息子の部屋も、リビングを経由しなければ辿り着けない。

「タ…ッ…ずげでッ……ぎ…ぁく…ッ」

パートナーは息子に一縷の望みを掛けて手を伸ばすが、それはただでさえ切れている家主の理性の糸をさらに焼いた。

「減らねえ口だな。」

「あ゛~ッ!!!?」

パートナーは痙攣しながら、またもや意識を飛ばした。

因みに意識を飛ばしたのは、本日三度目である。

「父さん、明日には部屋綺麗になる?」

因みにこんなことは、息子にとって数週間に一度…否、最悪数日に一度起こる出来事であった。

「綺麗にしろ。てか、何だ明日って。お前そんなに早く仕事済ませたいタイプだったか?」

「明日、新任の先生が家庭訪問に来るから。普通部屋が汚れてるまま先生呼ぶの恥ずかしいんじゃないの?」

正直言って、息子にはなぜ部屋が散らかっているのかを隠したいのかいまいち分かっていない。

性行為は夫婦で普通に行われるものだからである。

「…お前、直前まで隠してたのか?」

家主から、不穏な空気が漂った。

「ううん。今日…」

「まあいい、急いで片せ。こいつは…壊すか。」

「…?…??」

こうして、パートナーの不運な人生が確定した。ほとんど脳細胞がスパークして、何を言っているのかも分からないのは幸か不幸か。

「…部屋に行ってるね。あと受験無くなった。時間に余裕あるから、終わったらすぐ言ってね。」

息子は時間が経てば経つ程、汚れが落ちなくなることを知っていた。

「おー。」

家主は興味無さげに、パートナーの体の蹂躙を再開しようとして…止めた。

「…おい、その新任、顔は?」

「…狙わないでよ?」

「誰に物言ってやがる。俺は同意の上でしかヤラねえよ。」

とはいいつつこの男、何だかんだで狙ったら高確率でオトスので、息子は新任の身を案じ、放課後かなりきつめに家庭訪問を断ったのだ。

「あ、あとさー、暁って人知ってる?」

「あ?…あー、居たな、そんなの。確か…最初の男だったはずだ。ほら、お前の二番目の父親。若かったなぁ…」

言わずもがな、一番目の父親は家主である。

「え?いたっけ。」

「…アっ、?………………」

遂にパートナーは事切れたように体をぐったりとさせ、白目を剥き、声も出さなくなってしまった。

「…終わったぞ。」

「結構散らかしたね。」

「そりゃ、朝からヤってたしな。あとこいつ早漏だったし。」

パートナー()()()男を担いで、家主は地下室へと潜っていった。

「…はー…」

息子は溜め息を吐き、玄関へ重曹、消毒液、バケツと雑巾を取りに戻った。

「…にしたって、最悪なタイミングだ…」

それは家主が部屋を汚したタイミングと、新任の家庭訪問のタイミングを指していた。

「はー…暁緋炉、暁…何も思い出せねーし、父さんの毒牙を見たんじゃ壊れたか逃げたかの二択だよねー……あ゛ー…何も思い出せねー…ていうか火災って、三歳かそこらだろ?覚えてるわけねーじゃん!」

息子は半ギレしながら、雑巾で乾拭きから始めたのであった。

いやー、r18って難しいね!喘ぎ声載っけるだけかと思ってたんだけど、声の掠れ具合とかイロイr((殴

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