自作の小説に頂いたイラストを、絵師様にAI改変してもらいました。手描きバージョンとAIバージョンを見比べてみた、その感想です。あとチャットGPTにも、イロイロと質問してみました!
※絵師のファル様へ、心より御礼申し上げます。ファル様は別サイトで小説を執筆されたり、イラストを描かれたりされています。そのサイトからは、今年で引退されるそうですけど……(涙)。
本エッセイは、ファル様の承諾を得て、掲載させてもらっています。
近頃【AI(人工知能)】に関する話題を良く耳にしますよね(←情報の仕入れが世間様より数歩、いえ、数十歩ほど遅い)。「AIでイラストを生成する」とか「AIに小説を書いてもらう」とか……自分は皆様のイラストを拝見するの、大好きです!
一方、描くほうは全くできません(涙)。ドラ◯もんを描こうとしたら「え? なに? この謎の青白クリーチャー、怖い」になるレベルです。
そのようなわけで、自分は全ての絵師様を尊敬しているのですが、『AIの進化がイラスト業界へ与える影響』についても、ちょっと興味があったりします(もちろんノベル業界へも、AIは大きな影響を与えるでしょうけど)。
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手描きイラストとAIイラストの相違ポイントを、考えてみます。
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自分は『異世界で僕は美少女に出会えない!?』【 N5244EQ 】 という長編小説を執筆しています。その作品の登場キャラについて、ファル様にイラストを描いていただきました(大感謝です~!)。加えてファル様はMeitu(メイツ)の「AIイラストメーカー(選択した写真・画像をAIがアニメーション調の絵に加工してくれるツール)」というアプリを使って、ご自身のイラストを改変してくださったのですよ(2022年12月)。
ファル様が仰るところによると、Meituの使用においては「中性的なキャラは女の子に変換される」「季節に応じたイラストに変化する傾向が?」といった注目点があるみたいです。
それで、ファル様の手描きイラストがAIによって改変(萌え絵に変換?)されると、どうなるのかというと……自分の感想も含めて、ご紹介させていただきますね。
※上がファル様のイラストで、下がそのAI改変バージョンです。
①メイドのシエナ(17歳)
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AIイラスト、なかなか良い……ですね(←上から目線で、スミマセン~)。シエナが右手で構えているのは、彼女の愛用の武器であるレイピアです。エフェクトの光が混ざって、AIイラストでは、なんか正体不明の武器になっています。
AIは「手の形を描くのは苦手」との話は、しばしば耳にしますね(それも、どんどん改善されていっているみたいですが)。
②エルフのスケネービット(年齢不詳・エルフは長寿の種族であるため)
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上半身の露出面積(?)が減っていて……外見年齢も、少し若くなっている印象ですね。何故、髪飾りがついているんだろう……? あと、組んでいる足のあたりが、やや不自然かな?
③ドワーフのキアラ(15歳)
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手袋のところが、木になっている~!!! 背景の桜(?)とお揃いにしたのか……これは明らかに間違った改変ですね(確信)。
④宿屋の娘のチャチャコ(10歳)
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可愛い。けれど10歳で、その胸は……(汗)。もうちょっと、控えめにして欲しいところです。
※おまけ
自分の別作品『黒猫ツバキと魔女コンデッサ』【 N0994FW 】に登場する、魔女のコンデッサのイラストも描いていただきました。
⑤コンデッサ(20代前半)
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コンデッサが浜辺で、土下座している男の頭を踏んづけているシーンです(酷い内容だ……)。AIイラストでは、男は単なる岩になっています。野郎については、AIはその程度の関心しか無いようです(←偏見)。それから腰に巻いているパレオがスケスケ模様になって、ずり落ちかけています。
AIの趣味が、自分には分かりません。
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そして、全体を拝見した個人的感想なんですけど、「見映えが良い」「萌え度アップ」という点ではAIバージョンは強いと思いました。ただし、やっぱり細部(特に手の部分)は変な感じになりますね。
あと素人ながら「キャラの表情に関しては、手描きバージョンのほうが良い!」と思いました。
自作の登場人物たちには当然ながら、性格設定があるわけで――
①のシエナは、何ごとも一生懸命で健気(でも恋愛面はポンコツ)
②のスケネービットは、いろいろと企むタイプ(主人公に色仕掛けをしてきたりする)
③のキアラは、プロの冒険者で朴訥(けっこう荒事もこなす)
④のチャチャコは、年齢の割に大人びていて働き者(口調もシッカリしている)
⑤のコンデッサは天才魔女で、自信過剰なタイプ(いつも態度が偉そう)
となっているのですが、ファル様はそれぞれのキャラの個性を汲んで、表情で上手に表現してくださっています。それがAIによって変換されると、一律に〝可愛い〟になっちゃっているような気がするのですよ。
けれど逆に言うと、将来的にAIがキャラの表情も自在に描けるようになると…………う~ん、なかなか難しい問題ですね。
ちなみにファル様は、「AIイラストの優れたポイントを確認すること」によって、ご自身のイラストを修正して、完成度を高める使い方をされているそうです。
「なるほど!」と納得しつつ、感嘆いたしました。本当に絵師の皆様は、すごいです!
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更にAI関連で、ChatGPT(高度な対話型AI)にも関心があったため、この機会に、いろいろと質問してみました。
『こんにちは』と挨拶することからスタートしてみます。
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「こんにちは」
「こんにちは! 私はChatGPTです。何かお手伝いできることはありますか?」
ふむふむ。丁寧に返答してくれるとは、嬉しいですね。『異世界で僕は美少女に出会えない!?』というタイトルの小説を書いている身としては、せっかくなので……。
「異世界で美少女に出会う方法について、教えてください」
「残念ながら、異世界で美少女に出会う方法は現実世界では存在しません。それらはフィクションやファンタジーの世界にのみ存在するものであり、現実世界でそれらに出会うことはできません」
え……はい……。
「現実世界において、美少女に出会う方法は、一般的な人間関係の範囲内での出会いが一般的です。趣味やスポーツなどに興味を持つことで、同じ趣味やスポーツに参加している人々と出会うことができます。また、友人や知人を通じて新しい人々と出会うこともできます。ただし、異性に対する接し方や行動には、相手を尊重し、失礼のないように気をつけることが重要です」
道理に適った回答ですね。
でも……キ、キツイです。チャンバラごっこで遊ぼうと野原へ行ったら、相手が真剣を持って待ち構えていた……そんな気持ちになってしまいました。
やめてください! たとえ峰打ちであっても、鉄の塊で叩かれたら悶絶不可避なのですよ。
ボカ、バキ、ドッカン。――――シ~ン。……痛い。心が、痛いです(涙)。
しかし、自分は諦めません! 〝美少女〟でダメなら〝美少年〟でチャレンジしてみます。
「異世界で美少年に出会う方法について、教えてください」
「同様に、異世界で美少年に出会う方法についても、現実的な方法はありません。美少年と出会うには、現実世界においても美少女と同様に、一般的な人間関係の範囲内での出会いが一般的です」
…………。
「例えば、共通の趣味や興味を持つ人々が集まる場所に参加することが、新しい人々と出会うための良い方法です。また、イベントやコンサートなどに参加することも、同じ趣味や興味を持つ人々と出会うための良い機会となります。そして、異性に対しても、相手を尊重し、礼儀正しく接することが大切です」
ごもっともです。
「異世界という設定であれば、小説やアニメなどの作品に没頭することで、美少年たちと出会える世界を楽しむこともできます。しかし、現実世界においては、異世界のように美少年や美少女に出会える方法は存在しません」
なんで? なんで『現実世界では』『現実世界では』って、言うの? 『異世界では』って、そんなにダメ出しされるほどの、許されないシチュエーションなの?
「すみません」
「何か問題があったでしょうか? もし何かお気づきの点があれば、お気軽にお知らせください。私はできる限りお力になりたいと思います」
AIさん、優しい。
だったら、前から気になっていることを訊いてみます。
自分は、日本古典が好きなので……。
「『源氏物語』の光源氏と『好色一代男』の世之介とでは、つきあうとしたら、どちらがお勧めですか?」
※『源氏物語』は平安時代の、『好色一代男』は江戸時代の古典文学。主人公の光源氏と世之介は、どちらも作品内ではモテモテのプレイボーイです(←端的すぎる説明)。
さて、AIさんの返答は――
「私は人々が自由に自分の好みに合ったものを選ぶことを推奨していますが、文学作品の登場人物たちとつきあうことは現実的ではありません。また、『源氏物語』と『好色一代男』は、それぞれ異なる時代や文化背景で書かれた作品ですので、登場人物たちの人間性や社会的背景なども異なっています」
〝現実的〟の壁が、高すぎる~。
「ただし、これらの作品に登場する主人公たちは、時代や文化の違いを超えて、数百年を経ても愛され続けている魅力的な人物たちです。どちらの作品にも、濃密でドラマチックな人間関係や愛の表現があります。『源氏物語』は古典的な文学作品で、華麗な世界観や言葉遣いが特徴的です。『好色一代男』は、下町の庶民の生活や性の描写に力を入れた大衆的な文学作品です」
おお! これは作品内容の要約の仕方も含めて、見事な解説ですね。
「どちらの作品も、個性的な主人公たちが織りなす物語が魅力的ですので、自分自身の好みに合った作品を選んで読んでみるのが良いでしょう。ただし、登場人物たちとつきあうことは現実的ではありませんので、作品に登場する人物たちに想いを寄せることは避けるべきです」
〝現実的ではありません〟という名の正論棒による打撃が、本当に痛いです。
AIさんによるメッタ打ちの果てに、自分の精神は常に平面な状態に……これこそが、真の《平常心》ですね(←違う)。
で、取りあえず、平身低頭作戦を敢行~!
「すみません……」
「何か問題があったでしょうか? もし何かお気づきの点があれば、お気軽にお知らせください。私はできる限りお力になりたいと思います」
なんだか『ち! コイツ、ウザいな』とのAIさんの裏の声が聞こえてくるような……。
ここらで、会話は終わりにしましょう。
「いろいろと質問に答えてくださり、ありがとうございました」
「どういたしまして。いつでもお気軽にお問い合わせください。お力になれることがあれば、できる限りお手伝いいたします」
やっぱり、AIさんは親切ですね。
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実はこのエッセイ、下書きは1~2ヶ月前にしていたのですが、投稿するまでの短い間にAIイラストもChatGPTもドンドン進化していって、今では「どうやって規制するか?」という話さえ出てきていますよね。
小説投稿サイトでも、これからは「AIを活用した小説を、いかに扱っていくか」が重要な課題になってくると思います。
AIとの賢い付き合い方……皆様は、どのようにお考えですか?
ご覧くださり、ありがとうございました。
本エッセイで触れた作品についても、ちょっとでも覗いていただけると嬉しいです!
・『異世界で僕は美少女に出会えない!? ~《ウェステニラ・サーガ》――そして見つける、ヒロインを破滅から救うために出来ること~』(長編ファンタジー)
https://ncode.syosetu.com/n5244eq/
・『黒猫ツバキと魔女コンデッサ』(コメディー短編集)
https://ncode.syosetu.com/n0994fw/