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 4話  最強誕生

訪問ありがとうございます。


拙い文ですが良ければ読んで頂けると幸いです。


感想・ご指摘お待ちしております。


※この4話は説明メインです。詳細設定などが気になる方はお読み頂き、そうでない方は次話へお進み下さい。

あれから400万年程経過した。



黒いゴツゴツとした地面、生きているかのような血管の如き赤い裂け目が地面の至る所に走り赤い炎が吹き荒れる。依然としてこの世の終わりの様な景色をリツは空から眺めていた。

リツは変わった。変わり果ててしまった。それはこの地を手に入れる為の代償だとも言えたし、成るべくして成ったとも言える。その変貌の順序はまさに400万年の歴史そのものだった。

リツが青い鉱石を発見したあの時より、リツの変貌は始まったのだ。




──400万年程前のあの日、リツは青い鉱石を発見した。武器を作成する為にも一旦溶解しようと天力(てんりき)で炎を出したりしたが無駄で、結局魂力(こんりき)で砕いたら身体に付着して魂力に浸透していった。

要するに吸収出来た。そして強くなった。勿論、三元力の鍛錬は欠かさず行ったが鉱石の吸収が成長の起爆剤になった様だった。周辺のワームは一掃出来た。



次にリツは知識を得た。あのうめき声を上げる人間たちからだ。天力(てんりき)で本人でさえ忘れてしまった全ての記憶情報を知り得ることが出来た。そこで驚愕の事実を理解した。

全員、最後の記憶が死ぬ間際であること、罪深い人達であったことからこの場所は地獄なんだと理解した。薄々気付いてはいたのだが、確信に変わった。

つまりこの人間たちは地獄に落ちた罪人というわけだ。罪人を調べると地獄の仕組みが次第に見えてきた。罪人は半分実体半分魂で、魂が尽きるまで肉体は滅びることはなく、裂け目の獄炎やワームの体内にある獄炎で消滅する。何もしなくても獄炎から発生する有害物質が大気中に蔓延しているので罪人は徐々に消滅してしまう。まるで苦しめる為に肉体を与えられたかのように思えた。



さらに裂け目から出ていた赤い炎、獄炎で罪人を焼くと微細な粒子が発生することが分かった。これをリツは《獄素(ごくそ)》と名付けた。純度の高い《獄素》が集まると青い鉱石になる。これは《煉獄》と名付けることにした。

《煉獄》は大変希少な鉱石で滅多に見つけることが出来なかった。ワームの住処やテリトリーに多く存在することが判明し、調査すると、罪人に苦痛を与えることで《獄素》の純度が上がることを知った。罪人の苦痛が《煉獄》をもたらすのだった。

地獄に結構見かける巨大な穴は、ワームの掘った穴で穴の中にも《煉獄》はある為、リツは地上と地下を行き来する生活をしていた。



その後、リツは地獄を探索する毎日だった。だが、地獄にはワームの化け物と罪人しか居なかった。まともな人間が居ないと悟り、リツは目的を自身の強化に変えた。それは地獄を抜け出すためだったし、オーゼスを殺す為でもあった。三元力の鍛錬、ワームの駆除、罪人からの情報収集、《煉獄》の探索、これらがリツの目標となった。

ワームも様々な種類が居て、強さもピンキリだった。強いワームと出合う度に撤退して強化合宿を繰り返した。そうこうする内に、《煉獄》には種類があると分かった。《煉獄》自体、滅多に見かけないが、レア中のレアに黒い《煉獄》がある。地面や岩は黒いので見つけることが極めて難しいが、近寄ると肌を刺す濃厚な感覚がするので分かる。

そして超激レアなのが白い《煉獄》だ。白い《煉獄》は見た目は炎、触り心地はしっとりとした石なのだが、まるで意思を持っているかの様にメラメラと動いている。さらに石自体が超高速で移動するので見つけるのは本当に難しい。

黒は《暗獄》、白は《白水獄》と名付けた。



この400万年で、ほぼ全てのレア鉱石は吸収し終え、おかげで第四の感覚に目覚めてしまった。その力は獄意(ごくい)と名付けた。

獄意は三元力に混ぜることが出来、成果を爆発的に増加させる。まるで薬物だ。

獄意を混ぜると、相手を地獄に陥れてやろうという残虐属性が付く。例えば天力で剣を生成したとして、獄意を混ぜれば外見が異形に変貌し、振れば相手をミンチにする効果が勝手に搭載される。剣自体の性能も桁違いに上昇する。

そして当人を歪めるのが獄意だ。その代わり力が増大する。魂力も強くなるが、天力に悪影響が出るのでリツは獄意を三元力に着脱可能なまで訓練している。



リツは《煉獄》を求めて地獄を駆け巡った。そこで地獄の広さを知った。メチャクチャ広かった。地球の面積を2万倍したくらいの広さだったのだ。故に400万年は長かったがそれなりの長さだった。

地獄は3エリアに分類されていた。

1つ目は赤い炎が吹き荒れる《獄炎の間》、2つ目は凍てつく氷の冷気が全てを奪い取る《獄氷の間》、3つ目は雷を帯びた岩石同士が死の電流を飛ばし合う《獄雷の間》だ。リツが勝手に名付けた。まとめて三獄の間と呼んでいる。

3つのエリアは地獄の中心からケーキを3等分したみたいに等しい面積を持っていて、《獄炎の間》から見て左に《獄氷の間》右に《獄雷の間》となっている。



三獄の間にはそれぞれの鉱石がある。獄炎からは青い《煉獄》、獄氷からは赤い《凍獄》、獄雷からは紫の《電獄》だった。レア度の高い黒と白の鉱石も三獄の間に存在した。

地獄中を探索し終えたということは、つまりワームを全滅させたということを意味する。なぜなら鉱石はワームの近辺にあるからだ。

そしてそれはリツが地獄で最強だということを示していた。



罪人から情報収集することで、現世の情報を知ることが出来た。彼らは様々な世界から地獄に落ちて来ていた。もしかすると地獄はここ1つだけなのかもしれない。生前、生き生きと生活していた記憶を(のぞ)き見るとリツは不機嫌になった。

そして転生者の罪人を発見した。リツが元居た世界のような文化とは違った世界から転生したみたいだったが、リツは腹が立った。どうしようもない怒りが込み上げ、転生者の罪人を粉砕するだけでは飽き足らず、地形が変わってしまう程魂力をまき散らした。

リツが地獄に落とされたのに、他の選ばれし者は異世界を謳歌するなどあってはならないと憤慨した。地獄に落ちた転生者は数人しか居ないが、罪人の記憶の中にはチラホラ出てくるので転生者の数は結構居るらしかった。

リツは何時か地獄から出ることが出来れば、転生・転移で人生にボーナスを得ている者たちを必ず地獄に落とすと心に決めた。




──そして400万年経過した現在、《獄素》を吸収し過ぎてリツの姿は人では無くなっていた。

人型だが、身長は12メートル程で《獄素》によって皮膚が硬質化し、地獄中の《獄素》を摂取したため所々皮膚が階層状になっていて外骨格の鎧を連想させるが、鎧などという下らないものとは比較できない程に硬く、超高濃度の《獄素》と律の魂が混ざり合って外部に生えたものなので途方もないエネルギーを含んでいる。

通常は触れることすらできない。皮膚はベースが白、その上に黒、その上に青となっていて、青の比率が一番少ない。

これは、最初に《煉獄》を摂取したため、体が青くなり、次に、レア資源である《暗獄》を摂取したため体が黒くなり、所々青い装甲が上に押しやられたまま残った状態で希少価値が最も高い《白水獄》を摂取し、ベースが白色、所々黒が残り、元々少なかった青色の部分がさらに少なくなったからだ。

耳が《獄素》の塊となり、まるで耳と角が一体となったかのようになっている。上に伸びていて、根本が白色でほとんど黒色、先が青色だ。装飾の様に、所々、金色の線筋が走っている。これは三元力を極めたモノに現れるマメみたいなもので、三元力を鍛えていたら突然現れた。

金色の筋が額に幾本も通っている。髪など無い。《獄素》と魂力が混ざった繊維が頭部にあり、白い雲がなびいているようで、軽やかさを感じる。目は不気味に光る白目だ。



そして幾つかの自作アイテムが身を包んでいる。オーロラの様に波打つ《獄衣》、宝石のないリングを両手の指に装着していて、金、銀、赤、緑、紫の5色。形は、蛇が巻き付いているもの、二重になっているもの、螺旋、穴が開いているものなどだ。

複雑な天力式を刺繍した腰布は黒の下地に金と銀で天力式を描いている。右腕に竜の顔をしたムカデが螺旋状に巻き付いており、背中に7つの宝玉を埋め込んであるのが見える。ムカデはメタリックホワイトカラーで、《白水獄》を獄意と魂力で作成した一品。アイテムの意思で移動可能。両腕、両脚のどれかに巻き付いている。これはリツでも簡単に破壊できない。

左耳に髑髏の耳飾り。パッチン型なのはリツがあまりに硬く、それでいて再生力強すぎなためだ。




「やはり妙だ」



空から《獄炎の間》を眺めるリツには引っかかることがあった。それは神の情報だ。神の罪人などは1人も見たことはないし、情報としても殆ど得られていない。転生者があの妙な白い部屋で神と会話するという記憶は入手出来たがオーゼスじゃなかった。

神は死んでも地獄へは来れないのか、それとも不滅なのか。オーゼスを殺すにはどうしても神の情報が必要だった。



「神か。どれほどの力を持っているのやら」



リツは強くなった。今や地獄最強だ。だからといって神に勝てるなどと根拠のない愚かな考えはしない。相手の力は未知数だ。何より、オーゼスは全能の神だと言っていた。何年経過しようがそこは覚えている。当然強いのだろう。

だがどれほど強いのか分からない。リツは三元力によってあらゆる事が出来るようになった。それこそ元の世界で流行していたフィクション作品の内容程度ならほぼ全ての事が可能だ。リツだって全能であると言えるのかもしれない。だが、普遍的なお話とは違うことが1つある。魂力の存在だ。

所詮、魂力の上下で勝敗は決する。この三元力と獄意以外に妙な力が無ければの話だが。勝てるという未来が見えなければ勝負などするつもりもないのだ。となると重要なのは結局情報だ。



「チッ!鬱陶しい!」



リツの頭には膨大な量の情報が入ってくる。1つも情報を取りこぼすことが出来ないため、地獄全域に罪人の全記憶情報を収集する天力"オートハッキング"を常時展開しており、天力で作成した多数の仮想脳に処理させているのだが、それでも数が多すぎだ。



「仮想脳を増やすぐらいだったら人手を増やすべきだな。一人で全てを終えるというのは愚かな考えだったか。」



リツは思い切って"オートハッキング"を切断し、仮想脳を処分した。



(しもべ)を生み出すとなると、まずは拠点・・・いや、家から作らねばな。ん?城の方が良いか」



腕を組みながら右手で顎を触り、思いの外、高揚した気分でリツは構想を練るのだった。

ゲームの次に流行る遊びって何なのだろう。

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