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39話  発見

訪問ありがとうございます。


拙い文ですが良ければ読んで頂けると幸いです。


感想・ご指摘・ご不満などお待ちしております。

雲一つ無い晴れやかな青空の下、多種多様な植物が茂っているのが見える。


上の方では背の高い木が大きな葉を広げて陽射しを味わっており、高い木の幹を締め付ける様にしてまとわりつく蔦がセットでよく見られる。


下の方でも細かい葉を無数に生やした草や紫色をした分厚く大きな花、筒状の葉を付けた奇妙な植物等が見られ、更には湿気と気温が少し高いことから兎に角この場所がジャングルである様だと分かる。


右も左も植物だらけのジャングルの中を1人の少女が歩いていた。


「…ふぅ、やっぱりガセネタだったのかなぁ…」


少女の薄いピンク色をした唇から残念そうな声が漏れ出る。


パッチリした青い目が一瞬下を向いたが、少女は気を取り直して前に目を向け、レッドヴァイオレットの長い髪を掻き上げた。


周囲を警戒しているのか身体の軸がブレない歩き方で前進しながらチラチラと左右の地面に目を向けている。何かを探している様だ。


少女は湿気と気温が高めの場所を歩き続けているにも拘らず、汗一つかいていない。


涼しそうな恰好をしてはいる。何かの生物から作成したであろう、赤い薄皮の生地をインナーとして着込み、その上に白い厚皮の生地を装着していてワイルドな出で立ちだ。


具体的に言えば、上半身は赤いチューブでバストを覆い、白くて短いノースリーブのベストを羽織っていて、腕には赤いインナーの上を白い厚皮で覆っており、白い肌をした健康的なお腹と二の腕が見えている。下半身は赤い前垂れの上にスカートの様な白い腰布を巻いてベルトで固定し、赤いニーソックスの上に白い皮のグリーブを装着していて太腿の地肌が覗いている。

そして額には硬質な皮膚から作成されたであろう黒いサークレットを装着しており、サークレットの左右には大きな棘が1本ずつ生えていた。


確かに恰好は涼しそうなのだが、それにしてもこの暑さで長時間汗一つかかないというのは部外者からすれば驚くべきことだ。


更には遠くの方から奇妙な生き物の鳴き声がしょっちゅう聞こえて来るこのジャングルを華奢な少女が1人でうろついているのだ、何も知らない者が見かけたら妙な光景に思うだろう。


そしてそのまさに全く何も知らないよそ者が、先ほどからずっと少女の後ろ10mの間隔をピッタリ維持しながら尾行していたのだった。


このよそ者は、スラっとした小柄な体型をしており、黒すぎるぐらい黒いフード付きのコートを羽織っている。コートの下には革の軽装備を装着しておりプレートと革をベルトや紐で繋いでいる。ベルトと紐は茶色だが、それ以外全て真っ黒という恰好だった。


そしてフードの中からはまず真っ赤な目が2つ見えることだろう。良く目を凝らして見れば薄っすらと彼の顔が分かるはずだ。醜悪に歪んだ薄黄緑色の顔とU字に上がった不気味な口角が。


これだけ怪しい者が背後に居るのだが、少女は微塵も感づいている様子は無い。


まるでこのよそ者が空気であるかの様に完全に無視を決めている。勿論このよそ者が少女にいじめられている訳ではない、少女からこのよそ者は全く見えないのだ。更に見えないだけではなく、足音も足跡も匂いも何も分からない。


これは怪しいよそ者ことネクス自慢の持ち芸だ。


ネクスは少女の歩くスピードに合わせて歩きつつ、一向に家へ帰る様子の無い少女にイライラしていた。


何処行くってぇのよお嬢ちゃん?


って口に出して直接聞いてみてぇよマジで。


ホントさっきからこのジャングルをグルグル回ってるみてぇだがよ、どう見てもお嬢ちゃんが好きそうな話題のスイーツ店とかが臨時出張してそうには見えねぇぜ。


一体何がしてぇんだ?まさかお嬢ちゃんはジャングルでポップしたモンスターとかじゃねぇよな?


それかゴリラに育てられたジャングル生まれのワイルド彼氏が股にぶら下げた汚ねぇバナナを洗ってお嬢ちゃんを待ってるとか?


ハッ!笑えねーなッ!!


こちとらリミットがあるんだよぉ!!!


ネクスは黒いコートから金色の小さな時計を取り出しチラリと確認する。


リミットを示す長い針が普通の時計であれば2が記されている場所まで進んでいた。


今で6分の1ってとこだ、オレの体内時計ではこの世界に来てから約半日経ってるからリミットは3日ってこった。


んで、誰も殺せてねぇから未だに短い針は全く進まねぇままだ。これじゃ何人殺したら良いかわからん。


もし1万人殺す必要があったら残り2日半じゃ詰みだぜ!?


用事があるのか知らねぇが早くしてくんねぇかなお嬢ちゃんよぉ?


ネクスが不機嫌そうな表情で刺すような視線を少女に向けていると、少女は歩みを止め、立ち止まった。


少女は腰のベルトに繋いでいた白いポーチから銀色のゴブレットを取り出した。


「"ウォーター"」


そう呟くと少女の目の前に水が湧き出た。


湧き出た水は直ぐに重力によって下に流れ、待ち構えていたゴブレットの中に吸い込まれていった。


ゴクッゴクッゴクッ


「ふぅー、まだまだ行けそう」


少女は一気にゴブレットの水を飲み干すと、俄然やる気になってそう呟き歩みを再開した。


一方ネクスは眉間にシワを寄せている始末だ。


オイオイ、もう良いだろ!!


まだ行く気なのかお嬢ちゃんは!?それで何処にだよ!


もう帰ろうぜお嬢ちゃん、町だか村だか都市だか知らねぇが兎に角お家に帰ろう!ほら、知らねぇけど地元の男の子達が寂しがってんじゃねーの?犯らせろってな。


ったく、ちょこちょこ何かの力を使ってジャングルを凌ぎやがってよぉ。


さっきの水も同じ力なんだろ?詠唱してたから魔法だとか妖術だとか、その辺だろうな。


お嬢ちゃんは恐らく魔法みてぇな力で温度の変化を無効にしてやがるぜ。この気温と湿度で汗一つかかないは流石にジャングル生まれでも無いからな。


このお嬢ちゃんは行動だけじゃなくて他にも変なとこがあるぜ。武器を所持してねぇってのもおかしい。こんだけ妙な鳴き声が聞こえてんのに丸腰ってのはどういうことだ。


あのポーチの中にも装備の隙間とかにも武器らしき物は無かったな。


なぜ分かるのかと言やぁ、まあオレの能力さ。"悪魔の狂眼"っつー代物よ。透視なんて余裕で出来る。お嬢ちゃんのポーチに入っている生理用ナプキンの色までハッキリな。


…あのよぉ、マジでもう殺っちまうか?


ずっとお嬢ちゃんのフリフリする尻を見せられてて余計にぶっ殺したくなってんだよ。


だが、まぁ仮にお嬢ちゃんを殺してオレが迷子になっちまったらそれこそ時間のロスなのは分かってる。


残念ながらオレは知らない人間の位置が分かるわけじゃねぇからな。


それでももし我慢出来ず今お嬢ちゃんに手を出しちまったら、その時はオレの前世が早漏だったんだと思ってくれて良いぜ。


ネクスに我慢の限界が近づいて来たその時、少女が立ち止まった。


また休憩か?さっき水飲んだから今度はジャングルで小便垂れるってか?んな生き様見せられたらもう本当に無意識で殺しちま…


「あっ!あった!あったぁ!あれは絶対そう!!間違いないっ!!遂に見つけたっ!!」


少女は興奮した様子で喜びの声を漏らし、嬉しそうに小走りした。


ネクスは頭の中に過った文句を飲み込み少女が向かう先に視線を移すと、このジャングルの中で不自然に植物が生えていない地面を見つけた。


と言っても狭い。4畳ほどだろうか。


4畳ほどの茶色い土の地面には大きく赤色のサークルが描かれ、中央には不可思議な文字や記号がギッシリと並べられていた。


少女が謎の地面に近寄ると地面に描かれた文字や記号が光り始め、徐々に文字ごと土が消えて行った。


代わりに地下への階段が現れた。階段と地下の構造は石材で出来ており、明らかに人為的に作成されたものだと分かる。


「凄いっ!本当にダンジョンの入り口!やったぁー!」


少女は喜びの余りピョンピョンと飛び跳ねると出現した階段には下りず、右手の人差し指に嵌めていた指輪を触り出した。


指輪には大粒のクリスタルが嵌めてあり、少女がさわると無色から青色に変化し、青くほのかな光を放ち始めた。


少女が指輪を嵌めたまま右手を少し前に突き出すと、直に様々な大きさと形をした看板の様な物が少女の目の前に浮かび上がった。


この看板みたいな物は綺麗に等間隔で縦と横に並んで浮かんでおり、数は数十にも上る。


少女が右手をクイっと動かすと、動かした方向の看板1つがシュンと小さくなった。その看板のような物には吹き出しマークが描かれており小さくなった後、他の全ての看板が消えた。


その後直に吹き出しマークの看板がクルクルと横回転し、続いて吹き出しマークの看板が消え、次にまた新たな看板の一覧が現れた。


今度はトカゲと人が合わさったようなキャラクターのシルエットが描かれた看板を選択し、少女が右手をクイっと動かすと、看板の代わりに小さくした人が一覧になって浮かび上がった。


一覧の人はどれもトカゲ人間で手に名前が書かれた札を持っているが、ぴたりと動かない。


少女がまたも右手をクイっと動かし、一覧の中から1人の若い女性だと思われるトカゲ人間を選択する。


すると選択したトカゲ人間が大きくなり、恰好が変わって地面に降り立ち、名前の札が消え去った。そしてトカゲ人間が生きているかの様に動きだし、少女に喋り掛けて来た。


『…レナ、少し待ってくれ、今日は父上から武術の訓練をを命じられていてな、あともう少しで…』


「待って!聞いてモニカ、私見つけたの!遂にダンジョンを探し当てたっ!!」


モニカと呼ばれた赤いトカゲの女性は白い道着の帯を締め直していた手を止めて、レナと呼ばれた少女をまじまじと見た。


『レナ、それは本当なのか?』


レナはレッドヴァイオレットの長い髪を振りながら上下に何度も頷いた。


「私は嘘付かない、ほらモニカこれを見て!」


レナは右手をクイっと動かし、先ほど現れた地下の階段を指輪で指した。


『えっ!?本当にダンジョンじゃないかっ!す、凄いぞレナ!!』


レナはモニカから満足のいく反応を得て、モニカ同様に興奮している。


「でしょう!だから私は直に家に帰って妹のサリアを連れて来る!」


『そうだったな、レナは妹の為に…わかった、私も直にみんなを連れて向かおう、レナ、約束を守ってくれてありがとう』


「モニカが色々教えてくれたから見つけれた、当然の事」


『ふふっ、レナはやはり他のヒュームとは違うな。…では念のために周辺の地形を記録して送ってくれ、常に《魔話クリスタル》でレナの位置は分かっているが一応な』


「わかった、…今送った」


『おおっ!早いなっ!ありがとうレナ、それじゃ』


「また会いましょう、モニカ」


レナの前に居たモニカが消え、トカゲ人間の一覧が再び浮き現れた。


レナは右手をクイっと動かし、トカゲ人間の一覧を消し、次に次に現れる看板を消していくと、レナの前には何も現れなくなった。指輪を触ってクリスタルの青い光を消し、指輪は無色に戻った。


ダンジョンと呼ばれた地下の入り口に背を向け、レナは弾むように歩き出した。


後ろに控えていたネクスはサッと横にどき、レナを通すも、その表情は険しいものになっていた。


…オイオイオイオイ、なんじゃそりゃあ?


なんてこったっ!クソっ!アレは不味いぜっ!


やっとお嬢ちゃんの目的とお名前が分かったってぇのによぉ、ダンジョン?んなもんどーでもいいっ!あの指輪だっ!指輪っ!!


位置が分かるだとっ!?


それじゃあもし今レナお嬢ちゃんをぶっ殺したら、誰かに殺されたって丸わかりじゃねーかよ!!


殺してからあの指輪を破壊しても無駄だな、結局監視してるヤツには丸わかりだ。


オレには神に見つかるなという条件があるからな、出来るだけ足は残したくねぇ。


クッソー!こんな監視社会の世界だとは思って無かったじゃねぇかよ!


位置だけなのか!?生態まで記録してたとしたらお手上げだぜ??


いや、待てよ、落ち着けネクス!


便所だとか、カップルがおっぱじめてる時も監視してると思うか?


オレは思わねぇな。


スマートに殺るなら、自宅の部屋とかしかねーなこりゃ。


それか、指輪を外してるかもしれねぇ風呂の時か寝る時もアリだ。


ふぅ、パーティ会場の手前でレナお嬢ちゃんを殺すプランが台無しだぜ。


だがまあ、レナお嬢ちゃんが今度こそ案内してくれるみてぇだしよ、遅刻しなけりゃ大目に見てやろうじゃねぇか。


どのみちオレの手でぶっ殺してやるんだからよぉ。


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ヤル気が出ます!

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