表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「いいね」で回すガチャアプリ ~異世界でSNS投稿していたら、最強冒険者へ成り上がっていました~  作者: 御手々ぽんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/110

降下して

 私は一つため息をつくと、そっとジョナマリアの手を取る。

 相変わらずひんやりとしていて滑らかな手。


 これから穴に落ちるのに感じていたのとは、別の意味で脈が速くなる。


 繋いだ手をきゅっと握られ思わず、ピクッと反応してしまう。


「最初はしっかりと握っていないと危ないですよ?」と首を傾げ告げるジョナマリア。


「はい……」


「見本を見せるから、こっちを見てもらえるかな?」声音に笑いの気配が忍んでいるカルファルファの声。


 変に緊張した私は、そんなからかう様子に気がつかず。言われた通り、穴の縁に立つカルファルファの方を向く。


「まず、こんなふうにらまっすぐ前に、飛び込む」


 と、ピョンと穴に向かってジャンプするカルファルファ。

 私はその様子を見て、思わず繋いだままだったジョナマリアさんの手をきゅっと握りかえしてしまう。


「両手は左右に広げて、膝は曲げた方が安定する」


 と、穴に少し沈んだ場所で浮きながら続けるカルファルファ。


「慣れてると体を倒すだけで上下動出来るのだけど、最初はこうやって穴の壁を手で押してあげるといい」と回転を加えて下へ回りながら降りていくカルファルファ。


「じゃあ、先に行っているから。ごゆっくりー」と穴に反響しながらだんだんと小さくなる声。


「じゃあ、私たちも行きましょうか」と言うと、私の手をひいて穴の縁へ向かうジョナマリア。


「は、はいっ」私も気合いを入れなおす。


 改めて覗きこむ縦穴は、全く底が見えない。ちらっと見えたカルファルファらしき人影もすぐに消えてしまう。


 無意識にごくっと喉が鳴る。

 ジョナマリアが繋いだ手を折り畳むようにして、肩を寄せてくる。

 ジョナマリアを、肩越しに感じる。


「くっついていた方が安定するんですよ。さあ、せーのっで、行きますよ?」


 言葉を失ったかのように、頷くことしか出来ない私。

 目の前の穴やこれから落下していくことが遠くに感じる。

 頭を占めているのは、ただ、ただ、肩越しに存在を主張してくるジョナマリアなことで。


 それでもジョナマリアの声と動きに合わせ、一緒になって穴へと飛び込む。


 閉じてしまっていた目。

 感じるジョナマリア。

 すぐに、内臓が内側から押し上げられるような気持ち悪い感覚が襲ってくる。


 ゆっくり目を開けると、隣には間際にこちらを見ているジョナマリアの瞳。


「じゃあ、下降していきますね」


 そして始まる、急降下。


 ──は、はやいはやいはやい! はやすぎる! これはジョナマリアさんキミマロに乗ってもけろっとしているわけだ。


 高速で回転する目の前の縦穴の壁。

 相対物があることでより一層速く感じる体感速度。

 私は悲鳴を上げないよう必死になりながら、ジョナマリアと共に縦穴を下降していった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ