表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「いいね」で回すガチャアプリ ~異世界でSNS投稿していたら、最強冒険者へ成り上がっていました~  作者: 御手々ぽんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/110

霊峰の主

 そんな重い空気を破ったのは意外な声だった。


「クウ、強敵、くる」


 空を舞っていたピノの声が上から。


「あれは誰……」と訪ねるカルファルファの声が、途切れる。

 上空にはこれまでとは比べ物にならないぐらい大きなハイヌの姿があった。


「ハイヌクイーンが、どうしてっ」とジョナマリアの叫び。


 視界を覆わんばかりの巨体。八対の翼に発達した四肢。その偉容は日の光さえ遮り、辺りは影に覆われる。

 人など一飲みに出来る大きさの口吻を開き、とどろく鳴き声。


 それは只の獣の威嚇とは言い切れないような、不思議な感情を感じさせる物だった。

 ──怒ってる? いや、悲しんでいるのか?


「くそっ、霊峰の主までもが狂ったか!?」とカルファルファが叫ぶと、手にした錫杖をハイヌクイーンへと向ける。


「クウさん、伏せて!」とその姿を見たジョナマリア。


 カルファルファの錫杖の先端についた複数のリングが振動し、空気を揺らし始める。

 すると、その振動に呼応するかのように大地から立ち上る黄色い光の粒。それは色は違えど、かつて宝珠を捧げた時に見たものと良く似ていて。源泉の光なのだと何故か理解出来た。


 源泉の光が錫杖の先端へと集まる。

 辺りに旋風が吹き始める。

 私は伏せた状態ではっとなると、スマホをかざす。投稿アプリを起動。動画を撮り始める。


 錫杖を構え、大地を踏みしめるカルファルファの後ろ姿。その正面にはハイヌクイーンの凶悪な面構え。

 吹き荒れる旋風にジョナマリアさんと良く似た美しいカルファルファの黒髪がはためく。


 その時だった。金色に輝く錫杖から一筋の光が生まれる。

 その光は、まっすぐにハイヌクイーンと錫杖をつなぐ。

 遅れて伝わってくる、音。


 錫杖から放たれた金色の光がハイヌクイーンへと到達し、光の爆発が生じる。

 目も眩む閃光。

 私は思わず、目をつむってしまう。

 これまでとは比べ物にならない風が頬を打つ。


「そんな、大源泉の光なのに……」ジョナマリアさんの声で目を開ける。

 そこには、羽で錫杖の光をガードした姿で空に佇む、無傷のハイヌクイーンの姿があった。


 ちょうどスマホの録画時間が終わった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ