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盗賊の襲撃

 帰ってきた血吸コウモリ達。


 口々にきぃきぃと鳴いている。何となく、虫の知らせで何かあった雰囲気は伝わってくるが、ジェスチャーすら出来ないコウモリ達ではいったい何があったのか、さっぱりだ。


 私は、偵察の真似事はさすがに無理だったかと、その様子を見ながら思う。しかし、ディアナが進み出てくると、木の枝にぶら下がったコウモリ達とまるで会話するように話し出す。その様子を見ていたショウが、私の注意をひくと、そのまま地面に指で絵を描き始める。


 ショウはディアナ達の話を聞きながら、まず矢印のようなものを描く。その先に、何かの動物と人らしき絵。そして、そして剣のような絵が動物に向けられている。


 私は必死に解読しようとがんばる。


「矢印は方向かな? あっちの方向?」


 何故かディガーがサムズアップして答えてくれる。どうやらディガーは答え合わせ要員になったらしい。


「で、これは誰かが襲われてる?」


 再びサムズアップしてくるディガー。


「わかった、取り敢えず様子が見えて向こうから気づかれないギリギリまで行けるかな?」


 私が話した内容を聞いて、ディアナが血吸コウモリ達と何か話している。


 ディアナがこちらを向いて一つうなずいた。


「よし、取り敢えず人里の手がかりだ。だだ、どれだけの事が出来るかはわからないから、無理のない範囲でいこう。私自身と皆の命を大事にする方針で。いいかな。じゃあ、案内、頼むね。」


 再び飛び始める血吸コウモリ達。

 そのあとにディアナが続き、私はディアナの後を追う。

 ディガーとショウは私の後ろ側、左右に別れて着いてきてくれている。どうやら後方を警戒してくれているみたいだ。

 頼もしい。


 しばらく早足で移動する。

 しかしすぐに私は、ゴブリン達もコウモリ達も、私に合わせて移動速度を抑えてくれていることに気がついてしまう。


 私は一回移動を止めると、スマホを操作する。


「これ、使うか。今が使うべきとき、だろう。」


 私は自分自身に言い聞かせるようにそう呟くと、スマホのリザルト画面から駆け足スキルを習得してしまう。


 そこからは移動速度が格段に上がる。

 どうやらこの駆け足スキルは走る早さの向上と、走るときの体力消費を減らす感じだ。

 あれから結構走って、普通ならへばっているはずなのに、軽い疲労感しか感じない。


 そうこうしているうちに、草原から林と言えないぐらいの木が生えている場所まで到着する。すると、ついに血吸コウモリ達が飛ぶのをやめ、木の枝に止まる。


 同時にしゃがみこみ、藪にかくれるディアナ。私もあわててかがんで隠れる。


 そっと藪の上から前方を視線を向ける。遠目に、なにやら争っている様子が見える。


 私は一所懸命、目を凝らす。


「あれは馬車が、襲われているのか。どうやら人同士で争っている! 良かった、取り敢えず人はいるのは確定だ。後はどうするかだけど……」


 どうやら、襲っているのは盗賊みたいだ。ぼろぼろの服を着て手にはクワや鎌をもち、目を血走らせて戦っている。どの盗賊も痩せてガリガリののようだが、数だけで言えばかなりの数の盗賊がいるみたいだ。しかし、粗末な身なりというのもあり、まるで餓えた難民にも見えてしまう。


 それに対し、馬車を守ろうと数人が剣を振るっている。

 装備もバラバラで盗賊と戦う人たち。


「あれは正規軍とかじゃなさそう。バラバラの装備だし、どうやら歴戦の戦士と言うには、若い感じがする。」


 装備は馬車を守る人たちの方がまともだ。しかし、多勢に無勢、どんどん盗賊達が押している雰囲気がする。


「あれは、もしかして馬車を守る新人冒険者に盗賊が襲いかかっているのか。しかもこのままじゃあ冒険者、負けそうだし。仕方ない、手を貸してみようかな。それにうまく行けば人里まで連れていって貰えるかもだし。」


 私は事態に介入することを決意した。



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