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宝珠とランクと

「以上となります。何かご質問は?」


 気がつくと、冒険者ギルドの事務員による説明が終わっていた。

 考え事をして完全に聞き逃していた。

 私は慌てて一番知りたいことを聞く。


「あの、源泉と宝珠って何ですか。」


 何故かため息をつく事務員。

 私は説明の内容にあったのかとヒヤリとする。


「はぁ。いいんですけどね。どうせ聞いてない人がほとんどですし。」


 事務員のそんな小声の呟きが聞こえつつ、それでも再度説明してくれる。


「宝珠とは、特殊なモンスターが落としたりダンジョンの宝箱で見つかる珠です。これを見つけたらギルドの地下にある源泉管理官に渡してください。宝珠が源泉に捧げられることで、これまでの貴方の経験に基づいて、新しいスキルを得ることが出来ます。」


「へぇ、スキルが! ちなみに特殊なモンスターやダンジョンの情報はどこかで手に入りますか?」


「隣の部屋の受付で依頼を見てください。宝珠を落とすモンスターは基本的に、変異種のモンスターです。討伐依頼が出ているはずです。ダンジョンはこの街の近くにはないので。」


「わかりました! 早速行ってみます!」


 私は急ぎ隣の部屋に向かう。


 私が去ったあとの部屋では事務員とカーリットが顔を見合わせていた。


「あれ、大丈夫か……。もっと冷静なやつかと思っていたんだが。ランクの飛び級の推薦もしようと思っていたんだがこれは止めといてやった方がいいかな。」


「話を聞かないニュービー自体は多いですから、皆、手慣れたものですよ。無理な依頼は回さないので。実地で冒険者として育てさせていただきます。しかし、期待の新星の黎明の嘶きのカーリットさんが推薦しようとしていたなんて。そんなに見所がありました?」


「戦闘は圧倒的だったんだがな。ただ、常識はずれなところがあるから、冒険者としてはFランクからやらせた方が良さそうだ。それに、あんな状態だからな。」


「まあ、誰にでもありますよ。あれぐらいなら、微笑ましいぐらいですね。」


 そういって、苦笑いする二人であった。


 隣の部屋に着いた私。そこは依頼の受注を行うカウンターがあった。


 そして、現実を突きつけられる。

 どうやら情報の解禁自体が冒険者のランクで決められているらしく、宝珠を落とすという変異種の情報を教えてもらうことは出来なかった。

 それどころか、私のもらった冒険者カードはFランクというランクのものらしく。

 しかもカウンターのおっちゃんの巧みな話術に乗せられ、いつの間にやら薬草採取の依頼を行うことに。

 気がついたら、手には薬草の特徴が書かれた木の破片のようなメモ書きを握らされ、冒険者ギルドの外にいた。


(何だろう、いつの間にこうなった!)


 私は手の中のメモに視線を落とす。


(仕方ない、頼まれたんだからやってみるか。ディガーたちが居ればなんとかなるだろうし。でもとりあえず拠点がわりの宿を探すか。)


 私は木片をしまうと、これまた冒険者ギルドですすめられた宿に向かって歩き始めだ。



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― 新着の感想 ―
[一言] 「推薦もしようと思っていたんだがこれは止めといてやった方がいいかな」 これだけ、落ち着かない人を推薦する人は、いないでしょうね。説明を聞かない人が、35歳まで会社によく勤めることができたと…
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