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ドォアテアルの街

 馬車に揺られること数時間。

 私はその間に、ベニートから、ここら辺の常識を聞いていた。自身のことは遠い遠い、ニッポンという国から流れてきたばかりでと説明する。訝しげ半分納得顔半分取った感じで、それでも私の話を受け止めてくれた。


 そうして、ドォアテアルの街の街が見えてきた。

 だんだんと平地が畑に変わり、ポツリポツリと小屋のようなものが点在している。

 さらに進むと家屋や商店らしきものが増えてきて、一気に街らしくなってきた。

 ベニートが解説してくれる。


「ここら辺は正確にはドォアテアルの街の周りに人が集まって出来た下町で、正確にはドォアテアルの街ではないんですけどね。」

「もともとFランク以下のモンスターしか出ないのと、街の守備隊が定期的にモンスターの駆除をしているので、城壁の外でも民が生活できているんですよ。」


「ほー。なるほど。じゃあその城壁の中が正確にはドォアテアルの街ってことですか。あっ、あれが守備隊ですか?」


 私は前方からやってくる揃いの鎧をまとった騎馬の集団を見つけ、ベニートにたずねる。


「おや、本当だ。そうですそうです、あれがこのドォアテアルの街が誇る守備隊です。」


 ベニートは私に答えながら馬車を街道の脇に寄せる。

 私はスマホを取り出すと、投稿アプリを起動してカメラを向ける。


(揃いの鎧の騎馬隊とかカッコいいな。しかも鎧や鞍の補修してある跡とかがリアル過ぎる。歴戦の戦士って感じがすごい。)


 守備隊が通り過ぎる時に、かしゃりと写メる。

 馬の蹄の音にかきけされて、写メの音は聞き咎められることもなく、守備隊は通りすぎていく。

 いや、一人の目付きの鋭い隊員が、チラリと一瞥してくるので、私はとっさに頭を下げておく。


 無事に守備隊をやり過ごすと、さっそく先ほどの写メを投稿しておく。

 ベニートが馬車を進め始めながら聞いてくる。


「そういえば、クウ殿のお持ちのその四角い板は魔法具ですかな? 見たことのない形をしていますね。」


「魔法具? ええ、そのようなものです。ここらへんの魔法具はどのような形をしているのが一般的何ですか?」


 私が困ってベニートに話を振ると、ベニートは嬉しそうに魔法具について熱く語り始める。

 どうやらベニートの専門は魔法具の取り扱いらしい。一般的らしい杖型から、変わった形のものまで、様々な種類の魔法具があることが判る。耳を傾けていると、いよいよ城壁が見えてきた。


 城壁の入り口には衛兵の姿があるが、特に検問や入場税等は無さそうで、皆そのまま行き来している。


 城壁を抜けると、目に入ったのは一面の鮮やかな黄色だった。

 建物を構成する石が黄色味がかっているようで、街全体が黄色に見える。


「驚かれたでしょう。ここら辺の建物は全て黄晶石という石をメインに作られているんですよ。何でも昔は近くに黄晶石の石切場があったらしく。まあ、今ではすっかり全てとりつくしてしまっていて、新しい建物には使われて居ないんですがね。それでも、街の住人はこの景観に誇りを持っているんで、新しく建てたら黄色に塗るのが習わしになっているんです。」


 というベニートも街の景観に誇りを持っている一人なのか、そこはかとなく自慢気であった。


 そのまま馬車は進んでいく。


「さあつきました、ここがリック商会の本部になります。」


 目の前には立派な商店が建っていた。

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