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間違いを一切犯さない人間なんて、いない。
言い訳にしか過ぎないかもしれないけど、失敗は人を改心させる。これだけは確かだ。
不器用、なんて言ったら聞こえはいい。
でも俺の場合は確実に、馬鹿という言葉しか似合わなかった。
どうしても遂行したい事の為に、あの手を握る為に、俺は初めて結婚指輪を外す事になる。
数値化される世界は、どこまでも数値化にしか過ぎない。
それを分かっていたのに、選択を間違えた。
金よりも大事なものってあると俺は思う。
絶対にあると、思う。
俺はそれを持ってる。
でも途中で見えなくなるから、厄介だ。
たまに、どうしようもなく泣かせたくなる。
涙を枯らそうと思う事がある。
涙が枯れたら笑うしかなくなるような気がした俺は、金であいつを笑わせようとした。
女友達にビンタされて気付いたのは、あいつがどうしようもなく優し過ぎる事。
そして、自分が最低過ぎる事だった。
完全に別人になるなんて、無理な話。
心の奥底にいる奴を忘れる事も出来なければ、忘れようとも思えない。
俺の中で核のように居座る女を、俺はやっぱりどろどろに甘やかしてやりたかった。
言い訳ばっかりする俺だけど、でも帰る場所は、帰りたいと思う場所は、あそこしかない。
あいつの隣しかない。
非細工




