酔った勢いでの異世界生活⑧黒い風のギム
壁lー゜)ヒッソリ ギルド登録で名前カタカナに統一したらなんか読みづらくなった感じがあったので、⑨話までは漢字とカタカナごちゃ混ぜになってます。やっぱり全部カタカナがいいのかなぁ・・・?悩むところ・・・。
「よし、とりあえずこれで俺たち全員Fランク冒険者だな」俺がそう言ったら裕子が噴出した。「Sランクのパーティーを一人で手加減して倒せそうな人がなんか言ってるし」「えっと、とりあえずはギルドボードの依頼は無視して大輔の言うとおりに私たちのレベル上げよう」美香がそう言ってきたので、とりあえずアイテムボックスから1冊の魔導書を渡した。アイスアローだ。「えっと、これから倒そうと思ってる敵にそれなりに有効な魔法なので出発前に覚えられるかな?まぁ、間に合わなくても何とでもなるんだけど・・・」「速攻で覚えるよ。私の速読術は異世界に来ても有効だと思うからね。分厚くてWinWinで有名な黄色い表紙の経営小説知ってる?私あれ30分で読み終えたし」「美香の速読はやばいレベルだったよね。私が勧めたラノベなんて立ち読みで全巻読んで、私にネタバレするし」「あれはだって、裕子が勧めたからもう読み終えたのかと思って・・・」そんな何気ない会話をしつつ、冒険者ギルドの外に出ると、10人の男が俺たちを待ち構えていたように取り囲んだ。
5人は前回倒した男と似た服装だが、4人は少し上等な金属製の鎧を着ていて、残りの一人は少し派手な金属鎧だが使い古された感じが強者っぽい印象を与えた。その男が俺に向って話しかけた。「よう、お前だな。俺の仲間を不意打ちで4人も倒した挙句に警備兵に突き出した馬鹿って言うのは」男の言い分に納得がいかなかった俺は穏やかに言い返した。「えっと、俺は仲間の彼女たち2人に、しつこく絡んでいた4人に難癖をつけられたので、店の外で相手してあげただけですよ。そちらの部下さん?は4人共、街中で武器を抜いて妖精魔法まで使ってましたけど、俺は武器も妖精も使わず、更に手加減してあげたんですが、何処から不意打ちで倒したなんてデマが広まったのでしょうか?」
「4人も一瞬で気絶させるなんて、不意打ちに決まってんだろ!」リーダーの男が吠えた。ふむ、こいつの鎧は堅そうだ。レベルも他の奴らよりはましなので実践してみる事にしよう。「では、リーダーさん、意識を強く持ってて下さいね。これから鎧の一番頑丈な腹の部分に一撃入れますので気絶しないでくださいね。では、行きますよ」俺はそう言って、右拳に力を入れるそぶりを見せた。別にこれはやる必要はないのだが、相手に腹に強烈な一撃を入れるから防御してくれとの牽制の意味合いでやっただけだが、リーダーの男は理解したらしく腹に力を入れたのを感じたので、前回と同じことをした。瞬動からの右拳だ。リーダーの男は気絶こそしなかったが、起き上がる力はないようだ。リーダーの鎧の腹の部分は見事に拳型にへこんでいる。周りの9人は何が起きたのか全く理解できていなかった。
「と、これをあなたのお仲間の4名に仕方なくやったのですが、理解できましたか?因みに今のもかなり手加減してます。前回のと同じレベルですね。俺の仲間に手を出す相手には手加減なんてしたくないんですけどね本当は・・・。次は是非、街の外で襲ってきてください。殺す気で相手してあげますから。1回目は不注意。2回目は勘違いで許します。3回目は死んでもらいますからね」俺は威圧スキルを全快でリーダーを蔑んだ目で見降ろした後に、無詠唱で解呪を鎧にかけたら、リーダーの鎧が砕け散った。黒い風のメンバーはリーダーがやられているのに身動き一つできなかった。だが、騒ぎを聞きつけた冒険者ギルド内に居た面々が何事かと、慌てて外に飛び出してきていた。受付嬢のマリーまで居た。拳の一撃が金属鎧をへこました音が予想以上に大きかったらしい。
「ななな・・・何事ですかダイスケさん。ま、まさか、私が責任をもって受け付けた冒険者さんが、ギルド証を受け取った直後に騒ぎを起こしたのですか。わた、私の責任問題が、あわわ・・・」受付嬢のマリーは半泣きだ。「大したことじゃないですよマリーさん。前回4人の部下が素手で鎧の上から一撃受けて4人とも気絶したって言うのを信じられなかったリーダーさんが試しに同じ攻撃を鎧の上から受けてみただけです。流石はリーダーさんだけあって気絶はしなかったみたいですが、部下が気絶する威力というのは理解できたみたいで、これで終わりです。あ、そうだ、黒い風のリーダーさん。その鎧壊しちゃいましたが呪怨の鎧だと思うんだけど敵を殺す事に喜びを感じるようになるって呪いのアイテムだって知ってましたか?俺が駄目にしちゃったので、代わりにこの鎧を上げます」
そう言って、アイテムボックスから黒龍の鎧を取り出した。「これは、黒龍の鎧と言って、防御力は一級品で状態異常を無力化する効果もある品で、見た目もリーダーさんにバッチリ似合ってますよ。当然呪いの品でもありませんし、個人的には黒い風のリーダーさんって事で、シルフ系防具もいいかな?って悩んだんだけど、あえて黒を強調して、それでいて呪怨の鎧に負けない存在感と、リーダーさんの体格ですね。多分その鎧なら俺の拳でもへこまないとおもいますよ」そう言って、俺はリーダーに無詠唱でハイ・ヒールをかけて状態を起こして鎧を渡した。起き上がった黒い風のリーダーは頭を下げて俺から黒龍の鎧を受け取った。
「あ・・・あぁ、今までの無礼を許してほしい。まさかこの鎧にそんな呪いがかかっていたとは・・・。いわれてみれば確かに戦闘中の高揚感がすごかった。それと、俺の名前はギムだ。黒い風のギムだ。俺たち黒い風はお前たちに手を出さないことを約束する」「あぁ、俺はダイスケで、こっちの黒髪ロングの美人がミカで、茶髪の癖毛のがユウコだ」「ちょっと、ミカと私の紹介に差がありすぎやしませんか?」裕子がすかさず言ってきたがここはスルーする。紹介された時の美香の表情がやばかったのだ。ホホを赤らめて上目使いに潤んだような瞳で俺を見ていたのだが、俺は長時間直視する事が出来なかった。若返った効果なのだろうか?異世界に来てから、美香との距離感を保てる自信がだんだんなくなってきてる実感があった。
「ダダ・・ダイスケさん!コク・黒龍の鎧って本物ですか?そ…それをあげちゃうんですか?伝説のアーティファクトですよ。Sランク冒険者が集まって何とか討伐できる黒龍の一番丈夫な部位を使って1つしか作れない防具なんですよ。って、ダイスケさん黒龍倒したんですか?って、まさか、水晶が爆発したのって、レベル200超えてるとかじゃないですよね。ね。120でヒビだから、200だと割れるくらいか?もしかして300とか・・・」マリーは動揺しまくっていた。「いや、俺がギムの防具を壊したのは事実だからね。それと、俺の仲間に手を出さない言質も取れたし、俺が与えた良い防具を装備した男が悪行を働くなんて事が風の噂ででも俺の耳に入ったらどういう事になるかも、ギムは理解してると思うしね」「もちろんだ。黒い風は今後はギルドの討伐依頼をこなす事を生業に方針転換する。むろん方針に賛同できない連中は黒い風を名乗らせん」
と、結局騒ぎは丸く収まったのだが、レベリングの出立の出鼻をくじかれた形になり、シルバーラビットで昼食を取る事になるのだった。