酔った勢いでの異世界生活③チュートリアル
壁lー゜)ヒッソリ ちょっと更新早すぎ?
壁l三サッ!
「では、こちらの中からお好きな武器をお選びください。そして、こちらの魔法陣までお越しください。3人バラバラに転移されますのでご注意を、転移先でゴブリンを10匹退治していただきます。メルビスのモンスターの中では一番最弱のモンスターですので、ご安心を。ゴブリンを10匹倒すと、魔法陣が浮かびますのでそちらに乗るとアルクの街の傍の草原に転移されます。そこで3人が合流することになります。では、皆様よろしいですか?」女神クロウディアはそう言って俺達3人を魔法陣の方へ誘った。そして俺は片手剣を選んで魔法陣を通った。美香は杖で、裕子はショートソードを選んでいた。魔法陣を通ると意識が揺らぐ感覚があり、俺は思わず目をつむった。そして目を開けると、先ほどまでとは変わって、狭い部屋の中に俺一人だけいるようだ。その部屋は小さな部屋で、木箱が一つ置かれていて、一つしかない出口の方から明かりが漏れていた。
俺はおもむろに木箱を開けると、中には背負い袋があり、中には短剣と、保存食のようなブロック型の食べ物っぽい物と、赤い色のポーションと、銀貨が10枚入った小袋が入っており、何故か俺には、魔石取得用の短剣と保存食と回復薬だと一目で分かった。そして俺は現状がEEWのチュートリアルだと理解していた。このアイテムを取って、外に出るとゴブリン退治が始まり、10匹倒すとまた転移されるのだ。だが、俺は気になる事があった。もしこれがβ版のチュートリアルだとしたら小技があるのだ。俺は「試してみるか」と誰に聞かせるわけでもなく独り言をつぶやいて外に出た。外に出ると、前の方に洞窟のようなものがある広い草原で、太陽の光がまぶしかった。その洞窟の入り口に2匹の生き物がいた。こちらには気がついてないようだ。あれがゴブリンだな。俺は一目見て、それがゴブリンであると理解できた。
俺がそのまま洞窟に近づいて行くと、2匹のゴブリンは俺に襲い掛かってきた。精霊魔法で瞬殺しても良かったのだが、剣での戦いに慣れるべきだと思い俺は片手剣を構えて、ゴブリンに対峙した。1匹目のさびた剣を振りかざしてきたゴブリンの剣を俺の片手剣ではじき返して、棍棒で殴りかかってくるゴブリンの頭を狙って片手剣で斬りつけると、棍棒装備のゴブリンが頭をそらしたので、左肩口まで俺の剣が斬りつけていた。ゴブリンはその一撃で倒れた。そして俺はもう一匹のさびた剣を持つゴブリンもそのまま片手剣一振りで倒していた。うん、弱いね。体育の授業で剣道を少しやったことがあるだけなのに、自然と剣を使うことができた。料理屋で働いた事があるので、生き物を殺す事にも抵抗がないみたいだ。この事で俺は、リアルとゲームの違い、グロ耐性に問題がないことを確認できた。
俺が、倒れているゴブリンの身ぐるみを剥いでいて、ふと思い立ち、「ストレージ」と声を出すと、アイテムボックスが現れた。ゲームのEEWの無限アイテム収納ボックスだ。俺は、アイテムボックスが使えることに安堵して、ゴブリンの戦利品をアイテムボックスに収納した。何故か、心臓の位置に魔石があると理解できて、ゴブリンの魔石を2匹分取り出していた。自然と倒れているゴブリンの心臓部に短剣で無意識にえぐっていたのだ。その際も不快感などはなかった。そして、2匹のゴブリンの魔石を取り出すと、洞窟の中から別のゴブリンが2匹現れていた。俺は2匹づつ退治、戦利品収納を繰り返して、10匹倒すとゴブリンは出てこなくなり、洞窟の中が光っていた。ゲームのチュートリアルだと、このまま洞窟に入ると魔法陣があり、そこに入るとチュートリアルクリアになるのだが、俺は洞窟に魔法陣を見つけると、その魔法陣を避けて、突き当りの壁を調べた。
すると、微かな出っ張りがあったので、それを押すと、突き当りの壁が崩れてその先に階段が現れた。「ふむ、これはβ版だな」俺は思わずニヤけてしまった。チュートリアルで死ぬとどうなるのかは不明だが、まだ本格スタート前なら恩恵がある可能性もあるので、無茶してみようと思ってしまった。小技には、それだけの価値があるからだ。999階まである隠しダンジョンである。999階隠しダンジョンはβ版のみで、余りにもチート過ぎると言う事でアップデートで消されたダンジョンなのだ。このダンジョンを攻略するだけで、ほぼ装備の全てが揃って、レベルもカンストしてしまうと言うトンデモダンジョンだ。運営が何を考えて、チュートリアルでこんなものを作ったのか神経を疑うところだが、正式スタートではこの隠し階段は封印されていた。この階段の事を知っているプレイヤーは殆どいない。ネット検索でも出てこなかった。俺は、操作ミスで、本当にたまたま発見していたのだ。そして俺は、気合を入れなおして隠し階段を下りて行った。
目が覚めると俺達3人は草原にいた。視界の右側には街道があり、その先には外壁に囲まれた街の入り口が目に入る。門番が2人いるようだ。そして、俺は美香と裕子に声をかけようとして、真っ青な顔をした美香に気がついて「おい、美香大丈夫か?」と声をかけると、「う、うん、平気だよ大輔」と少し震えながら、か細い声で答えた。「っていうか、大輔。何その装備!」俺の声に振り向いて直ぐの裕子の第一声である。「ん、チュートリアルのダンジョン攻略したらこうなった」俺がそう言うと、裕子は「ダンジョンって何?ゴブ10匹で終わりじゃなかったの?」と、俺の装備を見て驚いていた。「どうやらチュートリアルはβ版だったみたいだよ。β版のみ魔法陣の奥の壁に隠し通路があって階段降りると999階のダンジョンが出てくるんだよね」俺は軽く説明をしてから装備の説明をした「この剣は神殺しの剣で、この盾は王者の盾で、鎧は神秘の鎧だね。因みに、スキルも大量ゲットしてるよ。ゴーレム作成もカンストしたよ」
「何、そのめっちゃ強そうな装備、聞いたこともない装備なんですけど。なんでチュートリアルでそんなの手に入るの?っていうか、999階攻略したの?」裕子は驚きの表情で俺に聞いてきた「ん、4回攻略してきたよ。999階攻略したら入り口にワープしたから4回行ってきた。ゲームじゃなくリアルだから、限界まで強くなっておこうと思って」俺がそう言うと裕子はあきれ顔で「いやいや、やばすぎでしょ、初めの街に入ってもいないのに世界最強状態?私も美香も弱いままなんだけど・・・」と言ったので、アイテムボックスから装備を取り出して2人に渡した。「とりあえず、裕子には雷神の小剣と、炎竜の盾と精霊王のローブ。美香には精霊王の杖と、風神のローブ渡しておくね。他にもアイテムもお金もどっさりあるから、欲しいものあったら言ってくれればあげるよ」そう言って、2人に装備を渡した。異世界生活スタート前のお話である。