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酔った勢いでの異世界生活  作者: ヒッソリさん
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酔った勢いでの異世界生活②妖精を授かる

壁lー゜)ヒッソリ 2話目です。まだ異世界転移前準備段階ですが、長めです。とりあえず⑨話までは構想が出来てるのでそこまではサクサク更新する予定ではあったりします。

俺達4人は目覚めると真っ暗な空間にいた。玉座ともいうような豪華な椅子が一つだけ置かれている。この景色には見覚えがある。VRMMORPGEEWの女神の間だ。俺と聡志と裕子は酔いもさめて、辺りを見回しているが、美香は真っ青な顔をして「言っちゃった・・・私、大輔に・・・」と呟いて手で顔を隠していた。俺は美香の肩に手をかけて「美香・・・」とささやくと、美香は一瞬びくっとして俺の方を見て、自分たちの異変に気が付いた。「えっ・・・大輔が若い・・・」と呟いた。その言葉を聞いて、俺も美香の顔をじっと見つめてみたが、美香も明らかに若くなっている。もともと美香は、30歳なのに20代前半に見えるくらい若く見えるのだが、今は10代に見える。


「えっと、つまり中二っぽい大魔法使い美香の風の妖精さんの魔術で、若返って異世界に転移したと言う事か。ははは、ふざけんなよ!俺を巻き込んでんじゃね~よ。俺の将来は約束されてたんだよ。なんで訳わかんね~世界に来なきゃなんね~んだ。ありえねぇ。マジあり得ないんですけど」聡志が動揺しまくって、普段の聡志とは思えない口調で叫んでいた。「そんな言い方よくないよ・・・。落ち着こうよ聡志」とそんな聡志に裕子が声をかけたのだが、それを振り払うように聡志が叫んだ。「はい?これで落ち着けって?つうか大体お前が何で俺に馴れ馴れしく声掛けてんの?美香のおまけのくせに」それを聞いた瞬間に俺は聡志の襟元を掴んでいた。「聡志・・・。お前ふざけんなよ。今の言葉マジで言ったのか?とりあえず裕子に謝れ」


転移した瞬間に一気に修羅場とか、どうなってるんだか・・・。俺は美香の告白に衝撃を受けて、転移空間と若返りに動揺し、聡志のセリフに激怒し、めちゃくちゃな気分になっていた。裕子は泣き出して、聡志は俺をにらんで、美香は聡志をにらんでいる。しばらく沈黙した空気が流れたが、聡志が口を開いた。「いや、大輔って俺が美香の事ずっと好きだった事知ってるよな。お前も俺と美香の事お似合いだってずっと言ってたよな。美香は昔から、俺と2人きりになるの避けてたんだけど、お前がお似合いとか言ってて、美香の周りに男って、俺とお前しか居なかったからなんだけど、今日は、居酒屋でお前と裕子の前で美香に告白した後で、レストランでプロポーズする予定だったんですけど、予約してるんですけど、で、なにこれ?これで俺が謝る流れなの?」


はっきり言って、この異世界転移と言う状況で聡志が完全に壊れている。俺の知ってるいつもの聡志はこんな奴じゃない。「えっと、聡志。お前今、考えてものを言ってないぞ。自分の一番の友達をおまけって言われた美香がすごい目つきでお前の事睨んでるんだけど理解してるのか?裕子、聡志はちょっと混乱してるだけなんだよ。本心で裕子の事おまけなんて言うわけないだろ。美香の俺への告白の怒りをどこに向けていいか分からなかっただけなんだよ。許してやってほしい。で、聡志に美香も。俺は美香の気持ちにずっと気が付いていなかった。そんな中で、聡志と美香がお似合いなんて言って本当に悪かった」そう言って、聡志ではなく俺が全員に頭を下げた。


一瞬、聡志が怒って何かを言いかけたようだが、こぶしを握って口をつぐんでいた。美香が裕子に声をかけて、裕子も「うん、大丈夫」と言って泣き止んでいた。その時になってやっと玉座の前に立っている女神様がいることに気が付いた。「ふふふ、お話は収まったのかしら?なかなか楽しい物が見れましたわ。演劇を見ているような素敵な気分になりました。えっと、私のお話を聞いてもらってもいいかしら?」女神さまを見て俺は思わず呟いてしまった。「女神クロウディア・・・」「あら、私の名前を知ってるなんて。えぇ私は女神クロウディア。転移の門の番人よ。あなたたち4人はメルビスと言う世界に転移される途中でここに立ち寄った事になるわ」


女神クロウディアにメルビス。EEWの設定と全く同じだ。恐らくこの後は4人とも妖精を授かることになるのだろう。地水火風4種類のどれかの妖精を選べて、その加護を受ける。メルビスの世界の人間は全員どれかの妖精の加護を受けていて、妖精は戦闘から生活までさまざまな役に立つ。属性によって効果は違うが、どれを選んでも使い方次第というところだろう。しかし、女神様のリアリティがやばい。ゲームでもキャラ人気の高いクロウディア様の外見と、透き通るようなきれいな声が現実から意識を逃避させるようだ。


「では、あなたたちには特別にランクの高い妖精を授けますわ」「えっ?」俺は動揺して思わず声を出してしまった。初期段階から上位妖精とか、チート過ぎるだろう。EEWは妖精さえ強ければ、ぶっちゃけ何もしなくても生きていけるのだ。これはラッキーと言う他ない。女神クロウディア様が呪文を唱えると、4種類の妖精が目の前に姿を現した。ノーム、ウンディーネ、サラマンダー、シルフだ。通常初めは名無しの小さなフェアリーのような外見の妖精を授かり、育成して名ありの妖精にしていくのだが、現れた妖精たちは明らかに中級妖精たちだ。そして、俺たち4人は女神クロウディアの前に横並びに並んでいたのだが、ノームにウンディーネにサラマンダーにシルフ4種の妖精たちは、全員俺の前に並んだ。


「私の主は彼しかいないでしょう」「わたくしの力はこの方にこそ相応しいですわ」「我が力はこの者にこそ相応しい」「私の力はこの人に授けたいですわ」4種の妖精達は頭を下げて俺の前に立っていた。それを見て女神クロウディア様は慌てて言った。「あらあら、妖精の皆様、この4名に一人ずつ加護を授けてくださいませ。皆で一人を選ぶなんてこんなこと初めてですわ。どうしましょう?」女神さまも慌てていたが、俺たち4人も動揺していた。「えっと、なんで大輔?」と思わず声に出した裕子の問いに女神クロウディアが答えた。「前の世界の行いの影響かと思われますね。日本と言われる場所から召喚された人間たちは、基本自然をないがしろにしてる人が多いのですが、大輔様のまとわれてる空気は珍しいですね。妖精たちはそれに惹かれているのでしょう」


確かに俺は環境破壊が大嫌いで、発展とか言って自然破壊するのが気に入らず、資本主義崩壊すればいいのにとか思っていた節がある。妖精の力と言う事は、自然の力だ。俺は女神さまの言葉に納得してしまった。と言う事は、聡志ってEEWの世界だとやばいんじゃないのか?アスファルトの道路作ったり、森林伐採したりするところの親玉のような仕事してるし・・・。などと考え込んでしまった。すると、女神さまは新たな提案をした。「分かりました。よろしいです。では、こうしましょう。ノーム、ウンディーネ、サラマンダー、シルフ。あなた達は大輔様の加護をしなさい。そして、美香様、裕子様、聡志様には、お好きな属性の下位妖精とスキルを一つ授けましょう」


そう女神さまが告げたところで、聡志が声を上げた「なんでここでも大輔なんだよ。馬鹿馬鹿しい。クロウディア様とやら、俺はそんな妖精なんかいらない。とっとと、元の場所に帰してくれ。今すぐにだ」それを聞いた俺の前にいた妖精たちが軽蔑するような目つきで聡志を見て、ノームが「何故、主様はこのような者とご友人なのでしょう?」と呟いたので俺はノームに「そんな事を言わないでくれ聡志は俺の大切な友人だ」と返すと、「失礼しました我が主」と言って頭を下げた。聡志の言葉を聞いた女神クロウディアは神妙な面持ちで聡志に告げた。「ここに来たのはあなたの運命です。美香様が呪文を唱えたからここに来たと言う認識をまずは消してもらった方がいいですね。様々な要素が組み合わさりこの場に現れたのです。お酒で朦朧とした意識、4名の男女、20時と言う時間、そして美香様の呪文。他にもありますが、どれが欠けても転移は起きなかった。つまり、あなたを抜いた3人だったら転移は起きなかったのですよ?」


「俺は今すぐ帰せと言ったのだが?下らん話はどうでもいい」それを聞いた女神クロウディアは額に手をかざして軽く頭を振ってから答えた。「分かりました。聡志様。あなたを日本に帰しましょう。ただし元の場所に元の時間と言うのは不可能です。様々な要素が奇跡的に一致する事で転移すると先に説明しましたね。今から転移の魔法をかけますが、生きていられる場所に必ず転移される等とは考えませんように。目標は日本の転移前の場所に合わせますが、ずれて当たり前と言っておきましょう。妖精の加護なしでメルビスから抜けれない可能性もあります。火山の火口の中とか、魔界などに転移されないことを祈っております。では、よろしいですか?」


「あぁ、それでいい。こんなくだらん苛つく夢はこりごりだ。とっとと始めてくれ」俺は聡志に声をかけることができなかった。美香も裕子も声をかけなかった。2人は裕子の事をおまけと言った聡志の事を許せなかったのかもしれない。「では、始めます」女神クロウディアはそう言って聴いた事のない言語で呪文を唱えると聡志の足元に魔法陣が現れ、聡志の姿はその場から消えて、女神クロウディアは倒れた。俺が慌てて駆け寄って、女神クロウディアをそっと寝かせると「申し訳ありません、少しだけ休ませてください」と消えるような声で言って目をつむった。俺はゲームの知識を思い出し、すぐそばに控えていたシルフに声をかけた「シルフ、癒しの風は使えるか?」するとシルフは「お任せください主様」と答えると女神クロウディアの周囲に柔らかな風が集まってしばらく滞在したと思ったら消えていき、女神クロウディアは目を開いた。


「ありがとうございます。大輔様。まさかすでに妖精を使いこなせるなんて。それでは、美香様、裕子様。お好きな属性とスキルをお選びください」すると美香は「私はやっぱり風属性かな?スキルは魔法関係がいいんだけどどれがいいんだろう?」と言うと女神クロウディアは、「それでしたら、習得率や威力などが上昇する魔術の加護を授けましょう。では裕子様は?」「私は土属性でゴーレム作成お願いしたいかな?」と裕子が答えると「裕子様もメルビスの事お詳しいのですね。話が早くて助かります」と言ってほほ笑んだ。そして美香と裕子の二人は妖精とスキルを手に入れた。何気に、この2人のスキルはやばい物だったりする。まず、美香のスキル魔術の加護。通常、魔導書を読みながら長期間修練を重ねてやっと使えるようになる魔法を、魔導書を読むだけで魔法を習得してしまうという壊れ性能だ。しかも覚えた魔法の威力も通常より強力になるという。


そして裕子のゴーレム作成。初期のゴーレム作成で出来るゴーレム1体で、オーガと互角以上に戦える代物だ。しかも、このスキルは使っていくと成長する。上位プレイヤーのゴーレムだけでキメラ討伐の動画を見たことがあるのだが、余りのすさまじさに爆笑したのを覚えている。どちらのスキルもレアスキルと言われるスキルで中級者レベルでは覚えられないスキルだ。俺の知ってるメルビスの世界なのだとしたら、俺たち3人だったら楽勝で生活できることだろう。俺の中級妖精4人というのは、神レベルのチートだと思う。ただでさえ強い中級妖精が4人もいるのだから、ゲームではサラマンダーを連れたファイターでキメラをソロで倒していた俺なのだから、ゲーム以上に強い性能なのは間違いない。因みにキメラとは、砂漠マップに出てくるボスキャラだ。転移先のメルビスにもいるのだろうか?


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