酔った勢いでの異世界生活⑪天然ジゴロ
壁lー゜)ヒッソリ 天然ジゴロ説明回…。
俺たち3人は、夕食の前にシルバーラビットに戻ってきた。夕食時は食堂にお客さんが多いようだ。その中に見知った男性8人組が居て、黒い鎧を着た男が俺に声をかけてきた「よぉ、ダイスケさん。この鎧やばいな。今日はオーガにかち合っちまってな、もろに一撃喰らっちまってこりゃやべぇかもって思ったのに、この通り、ほとんど無傷で倒しちまった。ダイスケさんのおかげだ。ありがとな」うん、黒い風のギムだ。当然覚えている。男だから名前覚えないとかはないぞ。「あぁ、役に立って何よりだ。その調子で治安を良くしてくれたら俺もうれしいよギム」そう言って俺は軽く挨拶を交わして空いてる席に座った。
夕食時は親父さんが担当してるみたいだ。確かパーンさんって名前だったな。エミリの印象が全くない。ただ、体格はいいが温和そうな顔をしている「おっ、君たちがダイスケさんにミカさんにユウコさんだね。娘から色々聞いてるよ。君たちみたいな同年代のお客さんって珍しいから、仲良くしてくれてたみたいで嬉しいよ。ただ、ヒラメは残念だったな。あれは母親直伝の俺の心を捕らえた特別メニューで・・・と、これ以上言うとエミリに怒られちまうな。まぁこれからも仲良くしてやってくれると嬉しい」それを聞いたミカが、一瞬机をガタッ!っと鳴らしてユウコとヒソヒソ話を始めていたが、女子話を聞くのが怖かったのであえて聞き耳スキルは使わなかったので何を言っていたのかは不明だ。
「えぇ。食べれませんでしたが気持ちは受け取りましたよ。料理経験ありますので見た目で分かります。あれは手間がしっかりかかっていて気持ちがこもってるのが分かりましたから」俺はパーンさんにそう言ってほほ笑んだ。それを聞いたミカが「え、えっと、ダイスケ?母親直伝の父親の心を捕らえた特別メニューの気持ちを受け取ったって意味わかってる?これが天然ジゴロっていう意味なの?」と俺とユウコの顔を交互に見つめながら呟いていた。えっと、俺は何かまずいことを言ったのだろうか?母親から受け継いだ料理を出すほど俺に感謝してくれてたって事だよね?美味しく食べることはできなかったけど、どういたしましてって気持ちだったんだけど、何をミカは気にしているのだろう?
「ははは、天然ジゴロか。この整った顔で素でこのセリフを言ってるところなんかは、まさしくだな。今のセリフをエミリが聞いてたらと思うと、父親としては喜んでいいのか解らないなぁ~」とパーンさんが笑いながら言った。「ダイスケ、ここは説明してあげよう。ジゴロって言うのは女の金銭を当てにして女を恋に落とす人の事を言います。天然と言うのはギャグとかで考えるとわかるよね。この人、天然だって。狙ってない素の状態の天然ギャグ。つまり、狙わず素の状態で女を恋に落とす。これが天然ジゴロだよ」ユウコが語りだした。
「さっきの会話で言うと、母親直伝の父親の心を掴んだメニュー。パーンさんに公表された時点でこれはプロポーズとも考えられるのだけど、天然さんはそんな事考えない。そして気持ちを受け取った。と言うセリフが自然と出る。これはプロポーズを受けますよ。とも取れてしまうのだけど、天然さんの頭にはそんなことは全く理解できない。エミリさんが聞いていた場合、ダイスケもエミリの事好きなんだ。と言う気持ちになりますね。でも天然さんにはそんな気持ちが全くない。ここまで説明しましたが理解出来ましたでしょうかダイスケ?」
「いや、分からない。あの料理は感謝の気持ちで出されて、俺はいえいえ気持ちだけで嬉しいですよって気持ちで答えたのに、なんで俺がエミリを好きって話になるのかサッパリなんだけど?」
「ダイスケおめでとう!理解できない君は天然ジゴロだよ」ユウコがそう締めくくった。