第二章 ついに犠牲者が出た ホシの目星は?
ファンファンファンファン…
サイレンを鳴らして覆面パトカーが城山病院に飛び込んできた。車から鹿川と後藤が降りてきた。注意されながらも病院内を走り手術室の前にやって来た。だが、手術室のでんきはついていなかった。その横の診察室から代山が顔を出して、
「こっちだ。」
と言って、招き入れた。中には、鷲田と、滝川が上半身包帯ぐるぐる巻きで寝ていた。
「安心してくれ。多少の傷と、全身打撲だ。1日ぐらい寝ればお宅の刑事さんなんかじゃ元気になるだろう。」
と、じゃないと彼らは納得しないだろうと思いながら代山は言った。
「良かったです。ありがとうございます。じゃあ。奴らのこと頼みます。」
と、いって二人は部屋を出て行こうとした。
そこへ中山が入ってきた。
「鹿川さん。ついに、ついに、犠牲者が出ました。身元は平山誠二。横断歩道を渡ってる所を奴にはねられました。」
みんな黙り込む。
「俺たちがぱくってれば、こんな一般市民が犠牲にならなくても良かったのに・・・。」
後藤が口を開く。
少しの沈黙の後鹿川が口を開く。
「奴を探そう。もう犠牲を出さないように。」
そして三人は部屋を出て行った。
少しして代山が、
「死ぬんじゃねーぞ。ったく、そんなことってもあいつもこいつらも不死身なんじゃねえか?」
と、代山がぼそっとつぶやいた。
*
今の捜査課はさみしい。なんせ朝来、輝、陽、のアキトリオしか居ないからだ。
「ちょっと犬神さんにお願いして人回してもらうか。」
と、言って、小野を連れてきた。
すると小野が、
「こっちだって二人やられてるんだぜ。」
と、言ったが、鹿川は知らんぷりなようだ。
「そういえば例のトラックなんですが、盗難届が出されています。会社は北山運送です。」
と後藤が報告した。
「じゃあ、当たってみるか。」
と言って、中山は小野と一緒にサファリで北山運送に向かった。
「どうも、富士山署のものです。」
中山が警察手帳を出す。
「ああ、盗難車ですね。見つかったんですか?」
と会社の役員が聞く。
「その車なんですが、犯罪に使用されたようなので、盗まれた日のことを聞きたいのですが…」
と中山。
「ほんとですか・・・そのトラックの運転士は、裃高次です。今ちょっと体調を崩してるみたいで、一週間休んでいるんですよ。」
「そうですか。わかりました。そしたら裃さんの住所教えてもらえますか?」
*
「すみません。」
何回か小野が訪ねてみても居ないようだ。
「取りあえず署に戻りますか。」
と言って、サファリに乗り込み、署に帰ってきた。
「じゃあ、どうした物か…」
行き詰まる彼らに、
「小野、ちょっと出かけるぞ。」
と鹿川。二人はスーパーZに乗り込むと、例の喫茶店に向かった。
*
チリンドアが開き鹿川と後藤が入ってきた。
「どうも。」
「情報あったのカガちゃん。」
「まあね。」
「こいつ調べてください。」
後藤が写真を取り出す。
「名前は裃高次。北山運送に努めてるんだが足取りが掴めないし、例のトラクターヘッドの使用者なんだよ。ちょっと怪しいから、調べてくれるか?」
「あいよ。
工藤は写真を受け取り。胸から取り出したメモ帳に名前をメモした。
「またわかったら連絡するよ。」
じゃあ、と言うように二人は喫茶店を出て行った。
「さてといきますか。」
工藤がそう言うと、店から出て扉に掛かっている板をOPENからCLOSEにすると、鍵を閉め駐車場に行くとSA22CサバンナRX-7に乗り込み出発した。
*
後藤・鹿川がジャパンの覆面、小野・中山がZに乗り込みパトロールにでた。
後藤は交差点の角に車を停め通りの様子を疑う。
小野は城山病院通りをパトロールしている。
ブーン。トラクターヘッドが通り抜ける。それを鹿川と後藤は見逃さなかった。
後藤はアクセルを吹かしギアを入れ急発進した。鹿川はすかさず屋根に赤色灯を付ける。
ナンバーを見ると多摩11 い 92-40だ。
「絶対に逃がすなよ。」
「了解。」
鹿川がマイクを取り
「犯人を発見。現在富士山商店街通りを東へ逃走中。」
無線を入れる。スイッチを切り替え、
「今すぐ止まれ!!お前は無関係な人を一人殺しているんだ。」
呼びかけても奴はスピードをゆるめはしない。しかも右、左、角をかくかく曲がってくる。
「くっそ。前に出れねー。」
後藤は苦い顔をしている。
トラックが交差点を左に曲がると横からS30フェアレディZが飛び出してきた。
「ぐはっ。」
と、ごとう。
「バカヤロー。」
鹿川が身を窓から乗り出して言う。S30Zがどくと、
そこへ小野と中山のZ、交通課の前山と新田の430セドリックが右から現れた。
「くそっ、逃げられた。すまん。」
鹿川がいう。
「探そう。」
小野が言うと、スカイラインが右折、Zが直進、430が左折し、奴を探したが、その日彼を見つけることはできなかった。