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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

最硬の異世界勇者様

作者:phantom
短編の中に凝縮しました。
「さあ目当ての獲物も手に入ったし豪華な夕食になりそうだ」

俺は猪のモンスター ワイルドボア を仕留め、手早く血抜きをし
周囲の気配に気を配りながら、解体作業を始める。

この世界に転位してから俺は充実していた

肉体労働系の工場で働いていた俺は、職場の同僚と一緒に白い光に包まれこの世界
【ガイアス】へ召喚されたのだ。

!?


 周囲に何者かの気配を感じとっさに身構える、手には、1mほどの柄の先に金属の塊
ハンマーである。 

 茂みから全身緑色の子鬼ゴブリンが3体
「ギャギャ」耳障りな声を上げている

「獲物の匂いに釣られてきやがって!」

 獲物をかっさらおうと近づいてきたコブリンに横薙ぎの一撃を叩き込む
グシャリと手に鈍い感覚が残る
コブリンはそのまま動かなくなり
俺は残りのゴブリンを睨みつける 

コブリンは怒っているのか威嚇してくる

 そのうち一体が棍棒を手に、駆け出してきた
俺は振りかぶった棍棒に合わせハンマーを当てる
棍棒はその場に落ちコブリンの手はあらぬ方向へ曲がっている
そのまま遠心力でゴブリンの腹めがけて振り抜く
ゴロゴロと転がり動かなくなるコブリン

「残りは1体だな」

仲間があっさりとやられたコブリンは背を向け駆け出して行った

「逃がすかよ」

 近くにあった棍棒を拾い上げ
コブリンめがけてブン投げる
見事ゴブリンの頭部に命中し
戦闘はあっさりと終った


「解体する手間が増えちまったな」


 コブリンからは魔石と討伐部位の右耳くらいしか取れないのだが
ワイルドボアの解体を優先することにした

「ゴブリン解体した後に夕食の解体は抵抗あるしな」

解体も終えた俺は家路急ぐ



王都【アリーシア】

町のギルドへと向かいまずは換金だ

「買い取りを頼みたい」

ギルドの買取カウンターへワイルドボアの毛皮と魔石、牙、肉、コブリンの魔石と右耳を置く

「きれいに解体されていますね。」

「そのほうがいいんだろ。」

「はい、肉もきちんと血抜きされていますし毛皮も斬りあともありませんし、
通常より高めに買取させていただきます。」

「期待してるぜ」


毛皮が12000エリス
肉が36000エリス
牙が8000エリス
魔石4つで8000エリス
コブリン討伐で6000エリス
合計70000エリスでよろしいですか?

「ああそれでいい」

金貨7枚を受け取りギルドを出る

この国の金の単位はエリス
石貨  1エリス
鉄貨  10エリス
銅貨  100エリス
銀貨  1000エリス
金貨  10000エリス
1エリス=1円と考えていいみたいだ


つまり今日の収入は7万円とボア肉だ

 すべて買い取りに出さず、おいしそうなところはきちんと確保している
なんせ買取はキロン、いくらだからな

 キロンはキロと同じ単位でいいらしい
この国は昔から召喚していたから、異世界勇者の仕業なんだろうけどな

「師匠今夜はご馳走ですよ」

家に着いた俺はエールを飲んでいるドワーフの鍛冶屋ドランにボア肉の塊を見せる

「おおっちょうどつまみが欲しかったんじゃ」

「今準備しますからね」

 俺は裏の畑から野菜を収穫し
自慢の包丁で肉を切り分け
下ごしらえをする

「今日は焼肉にしました」

 工場にあった炭と鉄板を使い即席の焼肉テーブルを作り
肉を炙っていく

「お前さんもずいぶん子慣れてきたじゃねえか」

「師匠のおかげですよ」

 焼けた肉をたれに漬けエールで流し込み
また肉を炙る

「ひょろひょろのひよっ子が3日で逃げ出すかと思えばいっぱしの職人になりおって」




召喚勇者として職場の同僚と異世界転移した頃を思い出す。





白い光に包まれた俺は一人白い世界にいた

「初めまして伊東 瞬さま私はガイアスの女神エリスと申します」

 目の前には金髪の絶世の美女が椅子に座り微笑んでいる
俺のいつの間にか椅子に座っていて周りはセンスのいい部屋に変わっていた

女神?これは!異世界転生ってやつか!

「あなた方は私の管理する世界に強制召喚されたのです」

 よし!予想通りだこれで俺もラノベの主人公の仲間入りだぜ

「強制召喚のために私には止める方法がありません、お許しください」

「女神様が謝る必要はありませんよ、悪いのは召喚した者じゃないですか」

「私の管理する世界の子供たちのしたことは私の罪でもあります」

「それよりも俺が行く異世界について教えてもらえますか?」

「はい、文明は中世レベル、剣と魔法の世界、モンスターいる危険な世界です」 

 テンプレ通りだな

「俺がそんな危険な世界で生きていけるでしょうか?」

 「はい、ガイアスにはレベルやステータス、スキルといった概念があり
異世界から召喚されたものは一般的な人の10倍程度のステータスが与えられます」

?何か引っかかる

「私からも女神の加護と希望するスキルこれからの生活に役立つ品を与えます」

「あなた方と言いましたがここには俺しかいないのですが他の人は?」

「私がこの神界に呼び止められたのはあなた一人です」

「それだと俺だけ遅れて召喚されるってこと?」

「いえ、この世界は時間の概念の外側の世界なのでそんな事はありませんよ」

時間はたっぷりあるってことか

「それとガイアスでの異世界召喚は何度目ですか?」

びくりとする女神!

「151回目の召喚になります」

そんなに多いのか精々10回くらいだと思っていたが

「止められなかったのですか?」

 「王都アリーシアで、年に1度異世界召喚の儀式が行われ、
今回が151回目です、強制召喚のために……
私には止められないのです。全能神様ならあるいは……」

どうやら相当な力らしい

「何人召喚されたのですか?」

「あなたで3514人目です……」

「ガイアスにいる異世界人は何人いますか?」

「136人です……」

ずいぶん少ないな

「王都アリーシアでは先代の扱いはどんな感じでしたか?」

 「はい、召喚勇者として、ガイアスでの一般知識、戦闘訓練を経て、一年後のダンジョンによる最終試験を経て戦場へと送り出されます。生き残った者は貴族の護衛、騎士団へ回されます。」

ブラック企業も真っ青だな

「召喚はアリーシアのみですか?ほかの国も?」

「異世界召喚は秘中の儀アリーシアのみです」

「なるほどな」

「私には止めることができません……許してください……」

「俺が止めてやるよ」

「?!えっ」

「俺がそのアリーシアの異世界召喚の最後の一人になってやるよ」

「そんな…………」

「さて女神様協力してくれよ」 

「はい、最高の加護とあなたが望むスキル1つ差し上げますこの部屋の物もすべて差し上げます」

「では加護から頼む」

突然女神が俺の唇を唇でふさぐ

!? 突然のことでテンパりそうだが、ポーカーフェイスだ

「これで加護はもらえたのかな?」

女神はニコリと微笑み

「【女神の接吻】最大級の女神の加護です」

【異世界言語】
【鑑定】
【マジックボックス】
【スキル習得率アップ】
【レベルアップ率アップ】
【レベル上限アップ】
【ステータス上昇率アップ】
【状態異常無効】 
【全魔法適正】
【豪運】

これらの複合スキルは私が与えられる最大級の加護です



思っていたより凄いな、これだけでチート主人公じゃねえか!

「はい、次はスキルですね」

 加護の内容次第では欲しかった【マジックボックス】か成長スキルも考えていたが
チートスキルが増えたこともあるし慎重にいくか 

「種類がたくさんありますのでこちらからお選びください」 

部屋の本棚から1冊の本を取り出し俺に手渡す

結構な数のスキルがあり詳細が詳しく書いてある

文字が読めるのは【異世界言語】の影響だろう

気になるのは【複製】スキルだな

レアなアイテムを複製できればそれだけで有利になれる

「スキルは【複製】スキルにするよ」

「はい、【複製】はユニークスキルに分類されるのでレベル1ですがよろしいですか?」

「ああ、頼む」

またキスされるのかと期待したが女神の掌から光の球が生まれ俺の胸に吸いこまれた

「これで終わり?」

「はい、これで複製スキルはあなたのものです、
レベル1なのでレア度1のアイテムとスキルは複製できますよ試してみますか?」

スキルまでとは鬼チートだな

「どうすればいいんだ」

【対象に手を触れ複製と声に出せば発動しますよ」

「【複製】」 
俺は目の前の本にスキルを使用した

 本が2冊に増え、ページをパラパラとめくってみた
質感も文字もシミまでも再現している

「予想以上だな」 

「今度は私に使ってみてください」 

?!

 「生物には作用しないようになっていますので
私のスキルが対象ですが…」

 女神の手を取りスキルを発動する
「【複製】」

【鍛冶】スキルを取得しました
【細工】スキルを取得しました
【裁縫】スキルを取得しました
【調合】スキルを取得しました
【木工】スキルを取得しました
【採掘】スキルを取得しました
【採取】スキルを取得しました
【農業】スキルを取得しました
【料理】スキルを取得しました
【解体】スキルを取得しました
【剣術】スキルを取得しました
【短剣術】スキルを取得しました
【槍術】スキルを取得しました
【弓術】スキルを取得しました
【投てき】スキルを取得しました
【盾術】スキルを取得しました
【槌術】スキルを取得しました
【生活魔法】スキルを取得しました
【火魔法】スキルを取得しました
【水魔法】スキルを取得しました
【土魔法】スキルを取得しました
【風魔法】スキルを取得しました
【光魔法】スキルを取得しました
【闇魔法】スキルを取得しました
【回復】スキルを取得しました
…………………………………………
…………………………………………
…………………………………………
……………………………………………………………………………………
複製に失敗しました、スキルレベルが足りません
複製に失敗しました、スキルレベルが足りません
複製に失敗しました、スキルレベルが足りません
複製に失敗しました、スキルレベルが足りません
複製に失敗しました、スキルレベルが足りません
複製に失敗しました、スキルレベルが足りません

…………………………………………
…………………………………………
複製レベルがあがりました
…………………………………………
……………………………………………………………………………………
複製に失敗しました、スキルレベルが足りません
複製に失敗しました、スキルレベルが足りません
複製に失敗しました、スキルレベルが足りません
複製に失敗しました、スキルレベルが足りません

…………………………………………
…………………………………………
複製レベルがあがりました
…………………………………………
……………………………………………………………………………………





 膨大な量のスキルが手に入った、複製のスキルレベルも一気に5まで上がった

「私からのサービスです」

 大量のスキルが頭の中にあふれてきて処理が追い付かない

「なんか頭がクラクラする少し眠らせてくれ」 

「では、こちらの部屋で休んでください。この世界は魔力も減らないし体力も減りません
時間も気にせず使えます」

「ゆっくりお休みください」 



目の覚めた俺は、この神界でスキル上げをすることにした
女神も積極的に協力してくれている











「おはようございます」

「お食事の用意できていますよ」 

「エリスの作る飯はうまいな」

「シュンさんのために心をこめてつくったんだからね」

 時間を気にしないのをいいことに1年ほどこの部屋の中にこもっていた
残念ながら戦闘系のスキルは相手にダメージを与えないと上がらなくて断念した
流石にエリス相手にできないしな

上がったのは【料理】スキルと【生活魔法】【話術】くらいか

 アイテムの中にふたつセットで片方の球を割ったらもう片方の球の球へワープする
【転位球】や持っているだけで石の魔力で会話できる【念話石】
なんて青いネコ型ゴーレムの出しそうな面白アイテムもあった


【複製】スキルも10まで上がりカンストしている

エリスの持っているスキルも習得可能なものはすべて手に入った

それで俺の持つスキルが変化した


【オールスキル】


ユニークスキルを除く、すべてのスキルを習得した者だけが、手に入れる複合スキルだ

強力なスキルが手に入ったのはいいのだが、それはエリスとの生活の終わりを告げていた


「行かれるのですね」

「ああ、流石にエリスに甘えすぎたな」

「悲しんでばかりいられませんね」

「約束は守るさ」

「行ってらしゃい」

「行ってきます」

白い光に包まれ俺は異世界へと旅立った









石作りの重厚な造りの室内だった、俺の周りには見知った顔ぶれが何人もいた

「あれ?どこだここ?」
 「何があったんだ?」
「よっしゃー!」


「ようこそアーリシアヘ、異世界の勇者様。」
「私はこの国の魔道大臣ミハエルと申します」
「早速ですが国王がお待ちです私についてきてください」


 老人にしては素早い足取りで、周りを見ている余裕がないほどだ、
そんなに急いでいるのだろうか?


 兵士に囲まれ謁見の間に通される
「国王様勇者様方が到着されました」



「私はこのアリーシアの国王【ゼンチナル=サンゲン=アレーシア】である」

「今この世界は魔王復活の危機に瀕しておる」

「魔王を打ち取れるのは【勇者】のみ」

「そこでおぬしらを呼び寄せたのじゃ」

「このアリーシアの名に懸け魔王を打ち取ってまいれ」


 なんか感情のこもってない棒読みのセリフだな、毎年の召喚儀式の使い回し
感が半端ねえな。魔王云々も胡散臭いし。



 王の一方的な、言葉が終わると兵士たちに連れられ俺たちは、
大部屋へ連れていかれた。


 魔道大臣ミハエルが申し訳なさそうに声を出す 

「大変申し訳ありません。」

「どうかこの国を救ってください勇者様」

「このままでは魔族にこの国は乗っ取られてしまいます」

「魔王復活までこの城で訓練をし力を蓄えてください」

「勇者様のお力でどうかお願いします」

 言ってることは王と同じだしこれも使い回しなんだろうな



「勇者様だってよ」
「魔王ってどんくらい強いんだ」
「ハーレム、ハーレム」





「勇者様お食事の準備ができるまでこちらでお待ちください」 


「どうすんだよ」
「俺が勇者」
「あれっ?なんかみんな見た目変わってねえか!」


周りを見渡すとみんな若返っている、個人差はあるが顔の張りが全然違う
これも異世界に来た影響なのか? 

一番若い奴は高校生くらいになってるし白髪だった親方も黒髪に

俺も若返っているのか?

全員が高校生くらいになってそこから変化はなくなった


「お食事の準備ができました」

ミハエルに向け声が飛ぶ!


「どうなってんだ!」
「あんたらの仕業か」
「髪が戻ったありがとう」


 「勇者様を呼び出す際に魔王に対抗するために成長率の高い
全盛期の一歩手前の状態に戻す術式が組み込まれていましたが
それが原因でしょう」

「これも勇者様の身を案じてのこと勇者様のためでございます」



 ほんとこの国は最悪だな無作為に拉致して、姿まで変えさせるとは
これじゃあすぐに日本に帰っても
自分は若いままってことだろ
事実上帰る方法があっても潰されたもんじゃねえか!


それを毎年行っているとは、1年以内にこの国をぶっ壊さないとな!


 若い奴はミハエルの話に納得がいったのか文句もなくなり
年配の先輩たちは若返ったのに感謝しているくらいだ





食事は立食式で日本風の味付けや見た目のものが多かった

召喚勇者が広めたのか王族や貴族なら日本食が食えるってことか

「天ぷらウマー」
「寿司こっちもう空だぞ」
「日本人ならカレーでしょ」

食事が終わると個室に案内され就寝となった



 翌日からはガイアスでの一般知識の座学が主だった
国の歴史やモンスターの生態、ダンジョンの知識
亜人、魔法
同僚たちは興味があるようで講師の学者に質問しまくりだ

「エルフはどこに行けば会えますか?」
「亜人とモンスター娘の違いは?」
「ドワーフはロリ巨乳ですか?」


大丈夫か異世界召喚?


 一月の座学が済みこれからは戦闘訓練だ。
各々希望武器を選び騎士団員に個別に教えを乞う形で進める


 一番人気は魔法だったが、魔力が足りないとか、適性が無いとか、
理由をつけて断られたらしい、反乱対策だろう。

 過去にあれだけの人間を召喚したんだ魔法を覚えた
奴が反乱起こしてこの国に痛手を負わせたのだろう。



    結果
  一番人気が【剣術】10
  二番人気が【槍術】5
  三番人気が【弓術】4
  四番人気で【短剣術】3
  五番人気で【斧術】2
  となった。



俺はただ一人【槌術】を希望した


 【剣術】スキルは人数が多いためギルドにも依頼を出し王国のトップクラスの冒険者、
元冒険者の剣術道場の道場主
など王国でのスキルの高い上位10名が受け持つことになった

【短剣術】はギルドに一任することになった、騎士道ととは相性が悪いらしい


 騎士団員に高レベルの【槌術】がいないためギルドへの依頼となり
町一番の【槌術】が冒険者ではなく、鍛冶屋のドワーフドランへの民間人への個人依頼
という一風変わった形となった







 俺は兵士に連れられドランの元へ向かう
ドランの家へ到着すると兵士に家の前で待たされた

 少し長くねえか……

しばらくすると疲れきった顔をした兵士が家に入るように言う
どうやらここからは俺一人で兵士は帰るようだ

「初めましてシュンです、よろしくお願いします」

「お前さんかい、わしに教えを請いたいっていうのは」

「はい、一生懸命頑張ります」

「お前さん、今日からここに住み込みな、それとわしのことは師匠と呼べ」

「はい、師匠」




 翌日から師匠の後に続き鍜治場に入る

心地よい金槌が鉄をたたく音と炎の熱気がすごい

 騎士団員や冒険者とは違い俺への戦闘訓練はメインの仕事ではなく
あくまで副業なのだ
鍜治場は力仕事だ
水も大量に運ばなければならないし、この熱気の中、炭や道具の準備で動き回るだけで
汗だくだ、体力つけなきゃな



 一月ほど経つと師匠の金槌の音でその日の師匠の気分がわかるようになった

「今日はずいぶんご機嫌ですね」

 桶いっぱいの水を軽く片手で持ち声をかける
俺もだいぶ力ついたな、初日は半分の量でもいっぱいいっぱいだったのが

「お前さん打ってみな」

 鍛冶スキルなら俺もあるし
手順も毎日見ているからわかる
ここはいいとこ見せないとな

金槌の重さがズシリと来る、こんなに重かったのか

俺の腕が悲鳴を上げるそれでも鉄を叩く

全然だめだ師匠の音と全然違う!

渾身の力を込め叩く、音が近づくが……

まだ足りない……

熱気により汗が目に入るが構わない

俺は力の限り鉄を叩き……

何とか1本の包丁を打ちあげた

「はじめてにしては上出来上出来」


「今日から鍜治場好きに使っていいぞ」

師匠に認められたことが、一番うれしかった




 さらに一月経った頃には
金槌の重さにも慣れ音もずいぶんと良くなった

今では師匠の仕事の一部を俺に任せてくれている

「お前さんにお客さんだぞい」

 誰だろ?この世界の知り合いはほとんどいないはずだが
客はここへ俺を連れてきた城の兵士だった!

「勇者様の訓練の報告のため様子を見に参りました」

訓練?!

 俺は【鍛冶】スキルじゃなく【槌術】スキルあげるためにいるんだった
慌てて【オールスキル】の詳細を調べる

 【鍛冶】が8まで上がっていためちゃくちゃうれしい
じゃなかった

【槌術】はなぜか8まで上がっていた

「レベル8ですかそれはすごい」
「さすが勇者様」

 笑みを浮かべた兵士は嬉しそうに城へと向かっていった
戦闘系のスキルは実戦でしか上がらないはずなのに……

「師匠【鍛冶】スキルだけじゃなく
【槌術】スキル上がっていたんですけどなぜかわかりますか?」

「お前さん毎日叩いとったじゃろうが」

「俺は鉄を叩いただけでモンスターとまだ戦ってませんよ。」

「お前さん鉄を叩くときただ力任せにたたいたわけじゃなかろう」

「はい、鉄の息吹を感じてどのタイミングでどの角度でどんな力加減でってところでしょうか」

「鉄をモンスターに置き換えてみい、りっぱな実戦やわい」

師匠は高笑いを酒場へと向かっていった





 さらに一月後
【鍛冶】【槌術】ともにレベル10まで上がった
師匠にこのことを告げると大喜びしてくれた

 なんでもドワーフの鍛冶屋は【鍛冶】【槌術】ともにレベル10
になって一人前らしい

「鍛冶は奥が深いここからお前さんの鍛冶道の始まりじゃぞ」

 俺のの鍛冶道か……

「お前さんに見せたいもんがある、ついてこい」

 いつもの鍜治場だ、金床を指さし 
これがなんだかわかるかいて顔をしている
道具の名前のおさらいじゃないだろうし 


 毎日この上で鉄を渾身の力で打っていたんだ
考えれば一つ疑問に思ったことがある

この金床、傷1つなく凹みもヒビもないんだよな

「これいったい何でできているんですか?」

 ニヤリと笑う師匠
どうやら正解みたいだ

「アダマンタイトじゃよ」

伝説の金属がこんな身近にあったとは

「正確にはアダマンゴーレムの指じゃ」

 100年前の魔王討伐時【悪夢の守護神】の名の殺戮兵器
打撃、斬撃はもちろん すべての魔法を反転し打ち消す反魔効果
魔王を倒した勇者でさえ戦いを避け
魔王を打ち取ったために眠りについたとされる

「わしらはこれで武器を打つのが夢なのじゃよ」

「お前さんにわしらの夢の一部を託す」

 師匠が石造りの壁にハンマーでヒビを入れる
大きな音とともに壁から巨大な腕が現れる
アダマンゴーレムの右腕 
所々パーツが欠け、作りかけのプラモみたいだ

「好きなだけ持っていきな」

俺は親指を選択し根元から引っこ抜く

師匠との別れを告げる







 王城に戻った俺は、異世界召喚妨害の準備を始める。
兵士に師匠からの命令だからと、鍜治場を作ってもらい、
作った武器を売るためにギルドへ、定期的に通う許可も下りた。

【槌術】レベル10の恩恵だろう

ここからは命がけの綱渡りだ






 今日が異世界召喚儀式の日だ!
今回はかなり大規模の召喚が行われるらしい

俺がこの世界に立ってから1年過ぎた

俺は最終試験のダンジョン試験で姿を消し死んだことになっている。

 城の中へ忍び込み【隠密】スキルを発動させる
石造りの室内には巨大な魔方陣が広がっており
6人の神官らしい人物が個別に呪文を唱えている

間に合わないのか……

 魔方陣が徐々に光を強め輝きだす
6人の神官が一斉に一つの呪文を唱える

【今だ!】

魔方陣に人影が現れる20人、50人、80人

 どんどん増える人影その数160になろうというあたり俺は魔方陣の中心を打ち抜いた
人影は消え光の跡も消え去った

「貴様何者だ!」

「あんたらの召喚した異世界勇者様だよ!」

 右腕には1mほどの柄の先に金属の塊
この世界で一番固い物質アダマンタイトである
異世界召喚の儀式を阻止するためには

【魔法の息吹を感じてどのタイミングでどの角度でどんな力加減でどんな武器で叩くか】

その刹那のずれも許さない精密さが必要だったのである

「これで異世界勇者様は俺一人になったわけだな!」 

 俺は渾身の力で最硬のハンマーを振り下ろす
兵士たちは逃げまどい、神官とミハエルは屈強な兵士より
速く風のようにかけ去っていった。
この日王都から城が消え去った。


 ちなみに王は翌日玉座で眠っていたところ
民衆に囲まれ王位返上したそうな







 俺はギルドへ緊急依頼を定期的に出していた
緊急依頼はすべてのギルドへ張り出される
緊急依頼の中に日本語で書いたのだ

「日本へ帰りたければ王都のドワーフの鍛冶屋ドランに会え」

 師匠に渡した大量の転位球 
俺のユニークスキル【複製】で作った
割ったら俺の持つ転位球へ向かうワープ装置だ
それと念話石、俺の合図で転位球を使い
魔方陣の中へ入ってもらい

 反魔のハンマーで反転させ
異世界召喚を逆流させ
異世界送還に反転させる

 アダマンタイトは固すぎて加工できなかったので
柄の部分でアダマンタイトを包む形にした

師匠に見せたら失笑されたが
これも人の知恵だのと高笑いしていた




 俺はいま町の教会に祈りに来ていた
女神エリスを祭るエリス教教会である
俺は目を閉じ

「約束守れたよ」

 この思いは彼女に届いただろうか?
なんとなく彼女が近くにいる安らぎがある
約束守れなかったらかっこ悪いからと今まで避けていたのだが、
今まで来なかったのがバカらしくなってきた。
これから毎日来るよ。

「行ってきます」

教会を出て師匠のところへ猪肉でも土産に行こうかと思っていたら



「おかえりなさい」
!?エリス?!


シスターだった


金髪の美女が微笑んでいる

「シュンさん今まで来ないと思ったらそんな理由で来なかったんですか。」

「ほんとにエリスか」

「はい、シュンさんと一緒に【ガイアス】に
転生してきちゃったんですよ」


「女神の仕事は?」

「有給休暇でこの世界で80年分使っちゃいました」

「今から師匠のところへ行くんだが一緒に来ないか?」

「はい、シュンさんの行くところでしたらどこまでも」
感想もらえたらうれしいです。

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