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Cendrillon
「 」
最初は誰にも呼ばれなかった。覚えていないだけかもしれない。
「姫。」
二人の少年は私のことをそう呼ぶ。
「ガキ。」
三人の大人は私をそう呼ぶ。
「稟ちゃん。」
四人の友だちは私をそう呼ぶ。
「稟菜さん。」
その他の人。
でもこの人だけは違った。
初めて会ったときは、
「灰」
と言われた。
次になると、
「灰姫」
と言われた。
次になると、
「灰リン」
と言われた。
次……
はもうなかった。
「―――――!」
私はいつまでも灰。
私はいつまでも灰かぶり。
100コンボッ