第98話 指令の出し方
「まあ、これだけあればなんとかなりますかねえ……」
ストライプにいくつかのコンビネーションを仕込んでみたが、それでもまだ変幻自在とは言えず、ただ、短期間には限界もあるため、ここで妥協するしかない。
他の子もいろいろ戦略を考えなければならないので、一人ではこれが限界だ。
「では、次の方に行きましょうか、ブラックさん」
「私かい?」
「はい、踊りの効果を味方だけにする方法を提案したいのですが」
パンが一人一人、アドバイスを送っていく。
そんな頼もしい最年少を眺めているフリルだが、手が身動き一つ取れなくなっていた。
「……なあ、リボン。そろそろ離してくれねえか?」
「嫌」
フリルはずっとリボンにくっつかれて、いや、手を胸に当てさせられていた。
押しても動かしても揉んでしまう。
引こうとする手をがっちりと捕まれている。
もう、どうしよう、これ? としか考えられなくなっていた。
いっそのこと、お望み通り激しく揉んでやれば満足するのだろうが、何かを失いそうでもある。
今更かと思うだろうが、さっきもワインに引かれたし、多分何も言わないだけで他の子も引いてたので、これ以上は引かれたくない。
とは言え、この状況を解決する手段が浮かばない。
だから、手のひらに力を込めず、ただ動かないよう、緊張しているしかないのだ。
「…………」
「睨まれてもな」
ちょっと手に力を入れただけで、期待するような目で見られるのは、さすがに勘弁してほしい。
「私はあんたが揉むまで離す気は──」
「それで、リボンさんは、気配を消したまま高速移動出来ますか?」
「!?」
いきなり話しかけられて怯むリボン。
「あ、うん、出来るわよ? ただ、トップスピードは落ちるわね」
それは仕方がないだろう。
高速移動と言うのはそもそもが風を切る。
風を切れば、どうしても気配となる。
ただ、気配を消してそれなりの速度で移動すれば、人は瞬間移動したと錯覚するため、驚異に感じる。
剣を突きつけられつつそれをそれを見抜いたパンに驚きを隠せない。
「では、速度特化と気配特化の気配消し高速移動を使い分けましょう」
「あ、うん、それなら出来るわ」
「それで、作戦はこれから立てるんですけど、どうしても作戦通りに行かないことも出てきます。そういう時のために、その場で指示をすることがありますので覚えておいてください」
「う、うん」
「私が、『リボン、高速、ケ2』と言いますのでそうしたら、リボンさんは高速特化でケットシーの二匹目に突撃してあーーーーーーーーーっ!」
目の前のパンがいきなり叫んで、びくってなるリボン。
「ケットシーをペットみたいに言うにゃ! 一人二人っていうにゃ!」
ケットシーハーフに怒られた。




