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第97話 各個戦略

「ではまず、ストライプさん」

「何にゃ?」

「技を変幻自在には出来ないのですか?」


「既に変幻自在だにゃ!」

「そうですか。ではそのパターンを増やしてみたいと思います。試してもらってもいいですか?」


 パンは変幻自在ではないと思っているが、それを言い合っても何の意味もないので、スルーして話を進めた。


「魔法はどんなものが使えますか? 呪文は必要ですか?」

「呪文はあまり好きじゃないにゃ!」

「なるほど、では速く使える魔法にはどんなのがありますか?」


 正直なところ、これまで恐怖の対象としてきてほぼ単体で話したことのないストライプ相手に、パンが色々聞いてから、新しいコンビネーションを的確に伝えている。

 しかもそれがかっちり決めるのではなく、相手の反応や状態によって分岐していくようで、頭はそこまで良くはないが、速攻即決が可能なストライプに向いているコンビネーションになっていた。


 なるほど、あれなら一つのコンビネーションを複数回使っても覚えられにくい。

 ストライプが激高して攻撃しないかとフリルは心配していたが、どうやらその心配はないようだ。

 あと、妙に肩をすり寄せて来るリボンを何とかしたいのでそれどころじゃない。


「おい、リボン」

「え? な、なに?」


「肩が当たってるんだが」

「肩くらい当たるわよ、狭いんだし」


「いや、広場だろ、ここ」

「そうかも知れないわね。でも、パワースポットはここにしかないのよ」


 何言ってんだこいつ。


「とにかく、ちょっと離れろって」

「いいじゃないちょっとくらい。あ、それよりも技の練習に付き合ってあげてもいいわよ?」

「技の練習?」


「その……さっきストライプにしてた技、完成させる必要があるんじゃないの?」

「はあ?」

「私だって嫌よ! でもね、付き合ってあげてもいいかなって……勝つためだから仕方がないわね? 誰かがやらなきゃならないからね?」


「いや、あれ、もう使わねえよ?」

「本当は嫌なんだけど……叫ぶのなんて恥ずかしいけど、でも、私が犠牲になれば……って、ええっ!?」


 なんかもう、物凄く驚くリボン。


「何でよ!? あれで勝てるじゃないの!」

「勝てねえよ。それに、実の姉のおっぱい揉むとかどうなんだ? 少なくとも俺は嫌だよ」

「じゃあ、勝てるかどうか私で試しなさいよ!」


 ぐいぐい来るな。

 興奮気味に詰め寄って、フリルの手を自分の胸に当てるリボン。

 もう完全にそっちになったったね、この子。


 それでも引き離され、絶望したような表情で落ち込んでいるところを、話を抜け出したストライプに襲われ、胸を他の女に蹂躙されてしまった。


 リボン、可哀想。


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