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第90話 七本の矢

 ワインの手に、矢が十本掴まれている。

 あれを一気に射て、その全てを的中させることが出来るのがエルフの人智を超えた器用さだ。


「ドット、貴女には何の恨みもないけれど。エルフはどうしても魔族が敵なのよ」


 ドットの攻撃をひらり、と躱す。


「だから、本気で行かせてもらうわ……!」


 そして、十本の矢を引き──。


時間差の矢地獄(ヘル・アロー)!」


 それは、十本の矢を時間差で撃つ技。

 一斉よりも隙が多いように思えて、その、微妙なずらし具合で、敵の振り払いを抜ける矢が出てくるのだ。


 まあ、名前がダサいけど。


 ドットはこれらを全て見抜いて、払い落とす矢と避ける矢を見極めなければならない。

 そして、その配列は極めていやらしく構成されており、払う、避けるを同時にすることが困難になっている。


 それを何とか払い、避け、最後の一本を──。


時間差の矢地獄(ヘル・アロー)!」


 最後の一本を何とか避けた瞬間、第二弾が放たれていた。

 先ほどとは、全く違う配列。


「くっ、ぐ、ぐぁぁぁっ!」


 三本目までは、それでも避けられた。

 だが、それ以上は無理だった。

 四本目がドットの方に突き刺さり、五本目は叩き落したが、激痛に身動きが鈍くなり、六本目からは全て突き刺さった。


「ワインの勝ち! おい、ノー!」

「何か用か」


「用かじゃねえ! さっさとドットを治してくれ!」

「うむ」


「おそいにゃ! ノーいつもそうだにゃ! お仕置きだにゃ!」

「あーーーーーーーーーっ!」

「そんなことやってる場合じゃねえ! さっさと治してくれ!」


 ノーは立ち上がると、手を掲げ、何かの呪文を唱え始めた。


「聖なる神よ、そのご加護をあーーーーーーーーーっ!」

「呪文中はやめろ!」

「隙だらけだったにゃ!」


「ちょっと待ってください! 魔族の方に聖なる治癒は大丈夫なんですか?」


 パン危惧。


「確かにそうかも知れねえな……おい、ノー、聖なる魔法以外で治癒ってないのか?」

「水魔法がある」


「あるなら最初からそれを使うにゃ!」

「あーーーーーーーーーっ!」

「いいからさっさとやれ!」


 ちなみにドットは激痛にぴくぴくして半死状態になってた。


「治れ」


 呪文とか何もなく、ノーがそう言ったらぽん、とその瞬間にドットが治った。


「あ……」


 少しの間、呆然としていたドットは、自分が負けたことを思い出し、あと、瀕死状態だったドットに寄って来て、何の前触れもなくスカートをめくってドットのドットを見ているストライプに呆然としていた。

 特に後半。


「負けたお仕置きだにゃ!」

「あーーーーーーーーーっ!」


 ドットに、七本目の矢が突き刺さった。


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