第88話 瞬間の勝負
「次はドットさんがいいですね」
「ドットにゃ?」
まだ少しひりひりするお尻を気遣いながら、パンがストライプに進言する。
ドットの戦いはさっき見たので、どちらかというとノーを見たいのだが、動きの遅いノーにリボンは相性が悪いので、後回しにした方が良さそうだ。
そして、リボンに相性が良さそうなのはドット。
彼女にリボンを倒してもらってから、飛び道具を使うワインに倒してもらってノーを登場させた方がいいだろう。
「確かにそうにゃ! お前、賢いにゃ!」
「あ、ありがとうございます」
頭を撫でられて複雑な気分で笑うパン。
その手はこれまで何人もの穴に指を入れて来て洗ってないのだ。
「私が行っても勝てる相「うるさいにゃ!」」
「あーーーーーーーーーっ!」
どうしてこの人は余計な事を言うのかなあ、といつも思うけれど、多分これ、この人はボケとツッコミ的に思ってるのかなあ、と、なんとなく納得するパン。
「じゃ、ドット、行くにゃ!」
「分かりました」
ドットが軽く身体を解す。
「大事です」
「じゃあ行くぞ? 始──」
パァン!
「くっ!」
「……え?」
あまりに一瞬の出来事だったのでついて行けないほどだった。
まずは開始の合図と共に、さっきと同じように、リボンが後ろに回り込んだ。
触れるとまずいのは分かっているけれど、リボンは触れなければ倒せないので、顎に一撃食らわせて気を失わせようとした。
が、それに感づいたドットが電流を流し、リボンはギリギリでそれに気づいて触れずに手を離した。
あまりの速度に、ついていけない者もいて、ついていけた者も、見た後から見たものを分析して、ああなるほどね、と思っただけだ。
「やるわね……」
開始直後の速攻に賭けていたリボンは、いったん離れて、次の策を考える。
「そちらこそっ」
だが、それを待ってはくれないドットが、リボンに飛びかかる。
それを何とか避け、気配を消したリボン。
「あ……れ?」
誰もいない、何も見えない。
確かにそこにいるはずなのに、存在していないかのように気配を消している。
「………… 」
ドットは目を閉じて集中する。
リボンには恐らく致命打となる攻撃とともに気配を現すだろう。
その瞬間、電流を流す。
早い方が勝ちだ。
緊迫の、時間──。
「ドット、勝ったらノーのパンツ無理矢理脱がせてあげるにゃ」
「存在しないものは脱げない」
反応したら負けだ。
「だったら、これを取るにゃ!」
「陰毛は痛い」
「痛そうに思えないんだけど!?」
「来たっ!」
思わず突っ込んだ、リボンの声のする方向に動き──。
パァン!
「んぎゃっ!」
電撃を食らわせた。
「あががが……」
リボンはしばらく震えていたが、ぱったり倒れた。
「あー……ドットの勝ち」
のちにリボンは「卑怯すぎるわよ!」と語ったという。




