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第82話 ドットの強さ

「私は魔族剣術と、魔法──悪魔法の使い手です」


 なるほど、ぜんぜん分からん。

 パンも知識として悪魔法の原理は知っているが、魔族剣術は聞いたこともないし、悪魔法もどんなことが出来るかも分からない。

 更に、もっと単純に、ドットがどのくらい強いのかが一番知りたいのだ。


 かと言って、「あなたはどのくらい強いんですか?」などと、失礼で聞けない。

 自分が強ければともかく、自分は弱いのだ。

 ここは誰か、空気の読めない人が聞いてくれないかなあ、などと考えていた。


 空気の読めない分野の第一人者と言えば、ノーだ。

 さっきも明らかに空気を読めない発言をして、叫んでいる。

 彼女に言ってもらえればいいのだが、そもそもドットの強さとか興味なさそうだ。


 他にストライプもいる。

 彼女なら聞きそうだが、今度は逆にストライプに弱点を教えたくないドットが言うだろうか?

 というか、聞いた瞬間にフィンガりそうなので警戒するだろう、何だフィンガるって。


 では誰が?

 ワインはどうだろう?

 賢くて状況を理解する彼女は、だが時々妙に空気が読めないときもある。

 それが今この瞬間に訪れないだろうか?

 また、強い彼女にはそれを聞く資格がある。


 強いと言えば、やはりフリルだろう。

 気になるのは同じだろうし聞いてくれないだろうか?


「ちょっと俺、気になるんですけど、ドットさんはどれくらい強いんですか?」


 お前が聞くんかい。


「もちろん、魔族ですから人間よりは強いと思っています。ですけど、シルクを人間とするなら、あれよりは弱いです」


「そうなんですか、へー」


 レザーは納得してしまったが、普通の人間とシルクの差が大きすぎて何の参考にもならなかった。


「なあ、それじゃあ、ストライプとどっちが強いんだ?」

「もちろん私ですね。ケットシーハーフごときに私がぁーーーーーーーーーっ!」


 勝てないみたい。

 とは言え、強さには相性というのがある。

 ノーはおそらく、かなり高度な魔法使いなのだろうが、ストライプとの相性は最悪だ。


「しょうがねえな、俺とやるか?」

「え?」


 フリルは立ち上がって剣を手に取る。

 ちなみに好き勝手騒いでるけど、ここ、食堂だからね?

 食堂のど真ん中で、女の子の尻穴に指突っ込んだりしてたのよね。


「さあ、そろそろ外に出てよ、やろうぜ?」

「え? え? でも私、シルクには全然勝てなくって……」

「俺も全然勝てねえよ。勝てると思ったこともねえ。それにな、別にお前が憎くて戦うわけじゃねえんだ。お前の特性を見極めたいってだけだ」


「手加減、してくれますか……?」

「必要ならな。だが、俺はそんな必要ねえと思ってるんだが」


 フリルが外に出て行ったので、慌ててドットも続く。

 そして、パンが会計を済ませて全員が出て行く。


「さあ、やろうぜ?」


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