表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/111

第75話 敵の名前まで

「なんで……」


 あまりの事にわなわなと震えるフリル。


「なんで、お前、お姉さまのこと名前で呼んでんだよ!?」

「え? そこ?」


 え? そこ?


「で、でも、一応半日行動を共にしましたし、見知った人ですし……」


 まあ、気持ちは分かる。


「見知った奴でもあいつは敵だ!」

「いえ、敵でもライサナさんはライサナさんですし」


「じゃ、じゃあ、あいつもパンツで呼べよ!」

「知りませんし、夜は全裸でしたし」


「じゃあ、ノー……はもういるし……って、てめえ、それ見てたのかよ!?」

「み、見てません!」


 何故嘘を吐いた?


「ちなみにどんな裸だったんだ?」

「全然筋肉質じゃなく、柔らかそうで……あっ! 見てません!」


 すぐばれたので説教された。


「あいつのパンツか……どうだったかな?」


 メンバーの半分くらいがそんなんどうでもよくない? って思っていた。

 そうでないメンバーのうち一人は、ぼーっとしてて聞いておらず、別の一人はそいつをより叫ばせるためのフィンガーテクニックを考えていた。

 

 考えてるのは、フリルとレザーだけで、レザーはただの妄想なので、フリルだけが考えていた。


 まあ、他の子は考えてもそもそも知らないんだけど。


 フリルは孤独に考えていた。

 幼い頃、というか、家出する前、もう思春期も迎えていた頃まで、姉に会う度に、たとえそれが公の場であろうと、パンツを確かめられ、フリルを穿いていたら、遠慮なく破壊された。


 破られたというよりも粉々にされた。


 部屋に帰ってくると、全てのパンツが粉々にされていたこともあった。

 そこには優しさか、弱者への哀れみか、使い古しのパンツが入っていることもあった。


 おそらく、いらなくなった自分のパンツを入れておいたのだろうが、そのときの素材は──。


「……シルク」


 いきなり言い出したので、みんな少し驚いた。


「そうだ、シルクだ。奴はシルクだな?」

「そうですか」


 パンが無表情に相づちを打つ。

 尊敬するフリルさんに「どうでもいいよ」とは言えず。


「どうでもいい」


 聞いていないと思っていた、怖いもの知らずというか、本当に怖いという感情を知らなそうなノーが言う。


 この後何がどうなったか、言わなくても分かるよね?

 まあ、一言で言うなら、色々あって最後にはこんなことになった。


「あーーーーーーーーーっ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ